asahi.com 膨大な量のおからを不法投棄 容疑の産廃業者逮捕 千葉
記事には,件の会社が同社敷地に1都4県から回収したおから約1万8000立方メートルを不法投棄した疑い,とある。この「同社敷地」は賃借地のようだが,自己所有地への廃棄物の不法投棄については,既に,最判H18.2.20があるところ。
これは,アルミニウム再生精錬事業を行う会社が,事業過程で生ずる汚泥,金属くず等々を工場敷地内の素掘りの穴に埋めて覆土するという行為を繰り返していたというもの。最高裁は,工場敷地内への積み置きは廃棄物をみだりに捨てたことにはあたらないとの被告会社の主張につき,次のように判示。
しかし,本件各行為は,本件汚泥等を工場敷地内に設けられた本件穴に埋め立てることを前提に,そのわきに野積みしたというものであるところ,その態様,期間等に照らしても,仮置きなどとは認められず,不要物としてその管理を放棄したものというほかはないから,これを本件穴に投入し最終的には覆土するなどして埋め立てることを予定していたとしても,法16条にいう「廃棄物を捨て」る行為に当たるというべきである。また,産業廃棄物を野積みした本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されるものと見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかであり,これと同旨の原判断は正当である。
総計5万立方メートルという投棄量,ちょっと想像がつかないが,肥料生産会社の言う「肥料の原料」が通用しないくらいだから半端な量ではないのだろう。
産業廃棄物処理法第16条の「何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。」は,「捨て(る)」の文言から,賃借地はともかく,自己所有地は規制の対象から外れるように読めないこともない。しかし,それでは「生活環境の保全及び公衆衛生の向上」は覚束ない。所有権と言えど,万能の権利ではないということなのだろう。
判例検索システム 平成11年03月10日 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,廃棄物の排出を抑制し,及び廃棄物の適正な分別,保管,収集,運搬,再生,処分等の処理をし,並びに生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは,ごみ,粗大ごみ,燃え殻,汚泥,ふん尿,廃油,廃酸,廃アルカリ,動物の死体その他の汚物又は不要物であつて,固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは,産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは,一般廃棄物のうち,爆発性,毒性,感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは,次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち,燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物,船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは,産業廃棄物のうち,爆発性,毒性,感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
6 この法律において「電子情報処理組織」とは,第十三条の二第一項に規定する情報処理センターの使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と,第十二条の三第一項に規定する事業者,同条第二項に規定する運搬受託者及び同条第三項に規定する処分受託者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
(国内の処理等の原則)
第二条の二 国内において生じた廃棄物は,なるべく国内において適正に処理されなければならない。
2 国外において生じた廃棄物は,その輸入により国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう,その輸入が抑制されなければならない。
(国民の責務)
第二条の三 国民は,廃棄物の排出を抑制し,再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り,廃棄物を分別して排出し,その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により,廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第三条 事業者は,その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は,その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに,物の製造,加工,販売等に際して,その製品,容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し,適正な処理が困難にならないような製品,容器等の開発を行うこと,その製品,容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により,その製品,容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は,前二項に定めるもののほか,廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 市町村は,その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り,及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに,一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては,職員の資質の向上,施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
2 都道府県は,市町村に対し,前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めるとともに,当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況をはあくし,産業廃棄物の適正な処理が行なわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。
3 国は,廃棄物に関する情報の収集,整理及び活用並びに廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り,並びに国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずるとともに,市町村及び都道府県に対し,前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること並びに広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならない。
4 国,都道府県及び市町村は,廃棄物の排出を抑制し,及びその適正な処理を確保するため,これらに関する国民及び事業者の意識の啓発を図るよう努めなければならない。
(清潔の保持)
第五条 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には,管理者とする。以下同じ。)は,その占有し,又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
2 建物の占有者は,建物内を全般にわたつて清潔にするため,市町村長が定める計画に従い,大掃除を実施しなければならない。
3 何人も,公園,広場,キャンプ場,スキー場,海水浴場,道路,河川,港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
4 前項に規定する場所の管理者は,当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。
5 市町村は,必要と認める場所に,公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け,これを衛生的に維持管理しなければならない。
6 便所が設けられている車両,船舶又は航空機を運行する者は,当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。
(基本方針)
第五条の二 環境大臣は,廃棄物の排出の抑制,再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には,次に掲げる事項を定めるものとする。
一 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
三 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
四 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的事項
五 前各号に掲げるもののほか,廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
3 環境大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,関係行政機関の長に協議するとともに,都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
(投棄禁止)
第十六条 何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。
(焼却禁止)
第十六条の二 何人も,次に掲げる方法による場合を除き,廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準,特別管理一般廃棄物処理基準,産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
一 第七条第一項若しくは第六項,第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行つた者
二 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項,第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可(第七条第二項若しくは第七項,第十四条第二項若しくは第七項又は第十四条の四第二項若しくは第七項の許可の更新を含む。)を受けた者
三 第七条の二第一項,第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業を行つた者
四 不正の手段により第七条の二第一項,第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の変更の許可を受けた者
五 第七条の三,第十四条の三(第十四条の六において準用する場合を含む。),第十九条の四第一項,第十九条の四の二第一項,第十九条の五第一項又は第十九条の六第一項の規定による命令に違反した者
六 第六条の二第六項,第十二条第三項又は第十二条の二第三項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
七 第七条の五,第十四条の三の三又は第十四条の七の規定に違反して,他人に一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行わせた者
八 第八条第一項又は第十五条第一項の規定に違反して,一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を設置した者
九 不正の手段により第八条第一項又は第十五条第一項の許可を受けた者
十 第九条第一項又は第十五条の二の五第一項の規定に違反して,第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項又は第十五条第二項第四号から第七号までに掲げる事項を変更した者
十一 不正の手段により第九条第一項又は第十五条の二の五第一項の変更の許可を受けた者
十二 第十条第一項(第十五条の四の七第一項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物を輸出した者
十三 第十四条第十三項又は第十四条の四第十三項の規定に違反して,産業廃棄物の処理を受託した者
十四 第十六条の規定に違反して,廃棄物を捨てた者
十五 第十六条の二の規定に違反して,廃棄物を焼却した者
十六 第十六条の三の規定に違反して,指定有害廃棄物の保管,収集,運搬又は処分をした者
2 前項第十二号,第十四号及び第十五号の罪の未遂は,罰する。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」の関連条文
(産業廃棄物)
第二条 法第二条第四項第一号 の政令で定める廃棄物は,次のとおりとする。
一 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),パルプ,紙又は紙加工品の製造業,新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。),出版業(印刷出版を行うものに限る。),製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され,又は染み込んだものに限る。)
二 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。),パルプ製造業及び輸入木材の卸売業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四 食料品製造業,医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二 と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項 に規定すると畜場においてとさつし,又は解体した同条第一項 に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 (平成二年法律第七十号)第二条第六号 に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号 に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五 ゴムくず
六 金属くず
七 ガラスくず,コンクリートくず(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八 鉱さい
九 工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二 大気汚染防止法 (昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項 に規定するばい煙発生施設,ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項 に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し,及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて,集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号,第三条第三号ヲ並びに別表第一を除き,以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1),第八号及び第十一号,第三条第二号ホ,第三号ヘ及び第四号イ並びに別表第一を除き,以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き,以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き,以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き,以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き,以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては,事活動に伴つて生じたものに限る。)
十三 燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類,前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで,第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては,事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて,これらの廃棄物に該当しないもの
記事には,件の会社が同社敷地に1都4県から回収したおから約1万8000立方メートルを不法投棄した疑い,とある。この「同社敷地」は賃借地のようだが,自己所有地への廃棄物の不法投棄については,既に,最判H18.2.20があるところ。
これは,アルミニウム再生精錬事業を行う会社が,事業過程で生ずる汚泥,金属くず等々を工場敷地内の素掘りの穴に埋めて覆土するという行為を繰り返していたというもの。最高裁は,工場敷地内への積み置きは廃棄物をみだりに捨てたことにはあたらないとの被告会社の主張につき,次のように判示。
しかし,本件各行為は,本件汚泥等を工場敷地内に設けられた本件穴に埋め立てることを前提に,そのわきに野積みしたというものであるところ,その態様,期間等に照らしても,仮置きなどとは認められず,不要物としてその管理を放棄したものというほかはないから,これを本件穴に投入し最終的には覆土するなどして埋め立てることを予定していたとしても,法16条にいう「廃棄物を捨て」る行為に当たるというべきである。また,産業廃棄物を野積みした本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されるものと見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかであり,これと同旨の原判断は正当である。
総計5万立方メートルという投棄量,ちょっと想像がつかないが,肥料生産会社の言う「肥料の原料」が通用しないくらいだから半端な量ではないのだろう。
産業廃棄物処理法第16条の「何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。」は,「捨て(る)」の文言から,賃借地はともかく,自己所有地は規制の対象から外れるように読めないこともない。しかし,それでは「生活環境の保全及び公衆衛生の向上」は覚束ない。所有権と言えど,万能の権利ではないということなのだろう。
判例検索システム 平成11年03月10日 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,廃棄物の排出を抑制し,及び廃棄物の適正な分別,保管,収集,運搬,再生,処分等の処理をし,並びに生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは,ごみ,粗大ごみ,燃え殻,汚泥,ふん尿,廃油,廃酸,廃アルカリ,動物の死体その他の汚物又は不要物であつて,固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは,産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは,一般廃棄物のうち,爆発性,毒性,感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは,次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち,燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物,船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは,産業廃棄物のうち,爆発性,毒性,感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
6 この法律において「電子情報処理組織」とは,第十三条の二第一項に規定する情報処理センターの使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と,第十二条の三第一項に規定する事業者,同条第二項に規定する運搬受託者及び同条第三項に規定する処分受託者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
(国内の処理等の原則)
第二条の二 国内において生じた廃棄物は,なるべく国内において適正に処理されなければならない。
2 国外において生じた廃棄物は,その輸入により国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう,その輸入が抑制されなければならない。
(国民の責務)
第二条の三 国民は,廃棄物の排出を抑制し,再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り,廃棄物を分別して排出し,その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により,廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第三条 事業者は,その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は,その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに,物の製造,加工,販売等に際して,その製品,容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し,適正な処理が困難にならないような製品,容器等の開発を行うこと,その製品,容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により,その製品,容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は,前二項に定めるもののほか,廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 市町村は,その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り,及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに,一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては,職員の資質の向上,施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
2 都道府県は,市町村に対し,前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めるとともに,当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況をはあくし,産業廃棄物の適正な処理が行なわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。
3 国は,廃棄物に関する情報の収集,整理及び活用並びに廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り,並びに国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずるとともに,市町村及び都道府県に対し,前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること並びに広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならない。
4 国,都道府県及び市町村は,廃棄物の排出を抑制し,及びその適正な処理を確保するため,これらに関する国民及び事業者の意識の啓発を図るよう努めなければならない。
(清潔の保持)
第五条 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には,管理者とする。以下同じ。)は,その占有し,又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
2 建物の占有者は,建物内を全般にわたつて清潔にするため,市町村長が定める計画に従い,大掃除を実施しなければならない。
3 何人も,公園,広場,キャンプ場,スキー場,海水浴場,道路,河川,港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
4 前項に規定する場所の管理者は,当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。
5 市町村は,必要と認める場所に,公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け,これを衛生的に維持管理しなければならない。
6 便所が設けられている車両,船舶又は航空機を運行する者は,当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。
(基本方針)
第五条の二 環境大臣は,廃棄物の排出の抑制,再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には,次に掲げる事項を定めるものとする。
一 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
三 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
四 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的事項
五 前各号に掲げるもののほか,廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
3 環境大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,関係行政機関の長に協議するとともに,都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
(投棄禁止)
第十六条 何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。
(焼却禁止)
第十六条の二 何人も,次に掲げる方法による場合を除き,廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準,特別管理一般廃棄物処理基準,産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
一 第七条第一項若しくは第六項,第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行つた者
二 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項,第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可(第七条第二項若しくは第七項,第十四条第二項若しくは第七項又は第十四条の四第二項若しくは第七項の許可の更新を含む。)を受けた者
三 第七条の二第一項,第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業を行つた者
四 不正の手段により第七条の二第一項,第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の変更の許可を受けた者
五 第七条の三,第十四条の三(第十四条の六において準用する場合を含む。),第十九条の四第一項,第十九条の四の二第一項,第十九条の五第一項又は第十九条の六第一項の規定による命令に違反した者
六 第六条の二第六項,第十二条第三項又は第十二条の二第三項の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
七 第七条の五,第十四条の三の三又は第十四条の七の規定に違反して,他人に一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行わせた者
八 第八条第一項又は第十五条第一項の規定に違反して,一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を設置した者
九 不正の手段により第八条第一項又は第十五条第一項の許可を受けた者
十 第九条第一項又は第十五条の二の五第一項の規定に違反して,第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項又は第十五条第二項第四号から第七号までに掲げる事項を変更した者
十一 不正の手段により第九条第一項又は第十五条の二の五第一項の変更の許可を受けた者
十二 第十条第一項(第十五条の四の七第一項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反して,一般廃棄物又は産業廃棄物を輸出した者
十三 第十四条第十三項又は第十四条の四第十三項の規定に違反して,産業廃棄物の処理を受託した者
十四 第十六条の規定に違反して,廃棄物を捨てた者
十五 第十六条の二の規定に違反して,廃棄物を焼却した者
十六 第十六条の三の規定に違反して,指定有害廃棄物の保管,収集,運搬又は処分をした者
2 前項第十二号,第十四号及び第十五号の罪の未遂は,罰する。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」の関連条文
(産業廃棄物)
第二条 法第二条第四項第一号 の政令で定める廃棄物は,次のとおりとする。
一 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),パルプ,紙又は紙加工品の製造業,新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。),出版業(印刷出版を行うものに限る。),製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され,又は染み込んだものに限る。)
二 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。),パルプ製造業及び輸入木材の卸売業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものに限る。),繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四 食料品製造業,医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二 と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項 に規定すると畜場においてとさつし,又は解体した同条第一項 に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 (平成二年法律第七十号)第二条第六号 に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号 に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五 ゴムくず
六 金属くず
七 ガラスくず,コンクリートくず(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八 鉱さい
九 工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二 大気汚染防止法 (昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項 に規定するばい煙発生施設,ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項 に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し,及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて,集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号,第三条第三号ヲ並びに別表第一を除き,以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1),第八号及び第十一号,第三条第二号ホ,第三号ヘ及び第四号イ並びに別表第一を除き,以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き,以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き,以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き,以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き,以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては,事活動に伴つて生じたものに限る。)
十三 燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類,前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで,第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては,事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて,これらの廃棄物に該当しないもの