法律の周辺

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NPO法人の認証取り消しについて

2007-11-25 19:20:42 | Weblog
NPO法人,休眠2年で認証取り消し・犯罪への悪用防止 NIKKEI NET

 特定非営利活動促進法第42条には,「所轄庁は,特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号,第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令,法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し,又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは,当該特定非営利活動法人に対し,期限を定めて,その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。」とある。本条の「特定非営利活動法人が第十二条第一項第三号に規定する要件を欠くに至った」は,NPO法人が暴力団員等の手に堕ちたことを意味する。
この42条,認証後の暴力団関係者の排除等を目的とするものだが,情報収集をはじめとして,暴力団員等の支配下にあるという認定そのものに難しい面がある。事業報告書の不提出という形式的な理由に基づく認証取り消しは,この不具合いを補うものとして機能している。
報じられている事業報告書不提出期間の短縮はこれを更に十全のものにしようというもの。事業報告書の提出を怠っている法人には暴力団と関わりがないものもあろうが,根拠法が課している義務を怠っている以上,認証を取り消されても文句はいえない。それが不満であれば,初期の目的どおり活動をおこない,きちんと事業報告書を提出すればよいだけのこと。
なお,暴力団関係者の排除については,第20条,第43条の2も要参照。

内閣府 NPOホームページ


特定非営利活動促進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「特定非営利活動」とは,別表に掲げる活動に該当する活動であって,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
2  この法律において「特定非営利活動法人」とは,特定非営利活動を行うことを主たる目的とし,次の各号のいずれにも該当する団体であって,この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一  次のいずれにも該当する団体であって,営利を目的としないものであること。
イ  社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が,役員総数の三分の一以下であること。
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し,支持し,又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し,支持し,又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。

(原則)
第三条  特定非営利活動法人は,特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として,その事業を行ってはならない。
2  特定非営利活動法人は,これを特定の政党のために利用してはならない。

(名称の使用制限)
第四条  特定非営利活動法人以外の者は,その名称中に,「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

(その他の事業)
第五条  特定非営利活動法人は,その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において,収益を生じたときは,これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
2  その他の事業に関する会計は,当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し,特別の会計として経理しなければならない。

(認証の基準等)
第十二条  所轄庁は,第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは,その設立を認証しなければならない。
一  設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。
二  当該申請に係る特定非営利活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。
三  当該申請に係る特定非営利活動法人が次に掲げる団体に該当しないものであること。
イ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第二条第二号 に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)
ロ 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。以下この号において同じ。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団の構成員等」という。)の統制の下にある団体
四  当該申請に係る特定非営利活動法人が十人以上の社員を有するものであること。
2  前項の規定による認証又は不認証の決定は,正当な理由がない限り,第十条第二項の期間を経過した日から二月以内に行わなければならない。
3  所轄庁は,第一項の規定により不認証の決定をしたときは,速やかに,理由を付した書面をもって当該申請をした者にその旨を通知しなければならない。

(役員の欠格事由)
第二十条  次の各号のいずれかに該当する者は,特定非営利活動法人の役員になることができない。
一  成年被後見人又は被保佐人
二  破産者で復権を得ないもの
三  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四  この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 の規定(同法第三十一条第七項 の規定を除く。)に違反したことにより,又は刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四条 ,第二百六条,第二百八条,第二百八条の三,第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより,罰金の刑に処せられ,その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
五  暴力団の構成員等
六  第四十三条の規定により設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で,設立の認証を取り消された日から二年を経過しない者

(事業報告書等の備置き等及び閲覧)
第二十八条  特定非営利活動法人は,毎事業年度初めの三月以内に,内閣府令で定めるところにより,前事業年度の事業報告書,財産目録,貸借対照表及び収支計算書(次項,次条及び第四十三条第一項において「事業報告書等」という。)並びに役員名簿(前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所並びにこれらの者についての前事業年度における報酬の有無を記載した名簿をいう。)並びに社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては,その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(次項,次条及び第四十三条第一項において「役員名簿等」という。)を作成し,これらを,翌々事業年度の末日までの間,主たる事務所に備え置かなければならない。
2  特定非営利活動法人は,その社員その他の利害関係人から事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十四条において準用する民法第五十一条第一項 の設立の時の財産目録,合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十五条第一項の財産目録。次条第二項において同じ。),役員名簿等又は定款若しくはその認証若しくは登記に関する書類の写し(次条及び第四十三条第一項において「定款等」という。)の閲覧の請求があった場合には,正当な理由がある場合を除いて,これを閲覧させなければならない。

(事業報告書等の提出及び公開)
第二十九条  特定非営利活動法人は,内閣府令で定めるところにより,毎事業年度一回,事業報告書等,役員名簿等及び定款等(その記載事項に変更があった定款並びに当該変更に係る認証及び登記に関する書類の写しに限る。)を所轄庁に提出しなければならない。
2  所轄庁は,特定非営利活動法人から提出を受けた事業報告書等若しくは役員名簿等(過去三年間に提出を受けたものに限る。)又は定款等について閲覧の請求があった場合には,内閣府令で定めるところにより,これを閲覧させなければならない。

(報告及び検査)
第四十一条  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令,法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは,当該特定非営利活動法人に対し,その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ,又はその職員に,当該特定非営利活動法人の事務所その他の施設に立ち入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。
2  所轄庁は,前項の規定による検査をさせる場合においては,当該検査をする職員に,同項の相当の理由を記載した書面を,当該特定非営利活動法人の役員その他の当該検査の対象となっている事務所その他の施設の管理について権限を有する者(以下この項において「特定非営利活動法人の役員等」という。)に提示させなければならない。この場合において,当該特定非営利活動法人の役員等が当該書面の交付を要求したときは,これを交付させなければならない。
3  第一項の規定による検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人にこれを提示しなければならない。
4  第一項の規定による検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(改善命令)
第四十二条  所轄庁は,特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号,第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令,法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し,又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは,当該特定非営利活動法人に対し,期限を定めて,その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

(設立の認証の取消し)
第四十三条  所轄庁は,特定非営利活動法人が,前条の命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって第二十九条第一項の規定による事業報告書等,役員名簿等又は定款等の提出を行わないときは,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
2  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令に違反した場合において,前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり,かつ,他の方法により監督の目的を達することができないときは,同条の命令を経ないでも,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
3  前二項の規定による設立の認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は,当該特定非営利活動法人から請求があったときは,公開により行うよう努めなければならない。
4  所轄庁は,前項の規定による請求があった場合において,聴聞の期日における審理を公開により行わないときは,当該特定非営利活動法人に対し,当該公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならない。

(意見聴取)
第四十三条の二  所轄庁は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いている疑い又はその役員について第二十条第五号に該当する疑いがあると認めるときは,その理由を付して,所轄庁が内閣総理大臣である場合にあっては警察庁長官,都道府県知事である場合にあっては警視総監又は道府県警察本部長(次条において「警察庁長官又は警察本部長」という。)の意見を聴くことができる。

(所轄庁への意見)
第四十三条の三  警察庁長官又は警察本部長は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いていると疑うに足りる相当な理由又はその役員について第二十条第五号に該当すると疑うに足りる相当な理由があるため,所轄庁が当該特定非営利活動法人に対して適当な措置を採ることが必要であると認めるときは,所轄庁に対し,その旨の意見を述べることができる。

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