法律の周辺

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漁業法改正による不審船への対処について

2007-11-09 19:59:01 | Weblog
MSN産経ニュース 不審船取り締まりへ法整備 政府

 漁業法第74条第3項に「漁業監督官又は漁業監督吏員は,必要があると認めるときは,漁場,船舶,事業場,事務所,倉庫等に臨んでその状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査し,又は関係者に対し質問をすることができる。」とある。不審船に対する停船命令の根拠を漁業法の中に求めるとすればこの条文か。しかし,密漁等の疑いというのならいざ知らず,工作船と思しき不審船に漁業法で対処,はいかにも苦しい。
記事には漁業法の改正も検討されているとあるが,漁業法第1条の目的などからすれば筋違いというほかない。


魚漁法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,漁業生産に関する基本的制度を定め,漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し,もつて漁業生産力を発展させ,あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「漁業」とは,水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
2  この法律において「漁業者」とは,漁業を営む者をいい,「漁業従事者」とは,漁業者のために水産動植物の採捕又は養殖に従事する者をいう。

(適用範囲)
第三条  公共の用に供しない水面には,別段の規定がある場合を除き,この法律の規定を適用しない。

第四条  公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには,この法律を適用する。

(漁業監督公務員)
第七十四条  農林水産大臣又は都道府県知事は,所部の職員の中から漁業監督官又は漁業監督吏員を命じ,漁業に関する法令の励行に関する事務をつかさどらせる。
2  漁業監督官の資格について必要な事項は,政令で定める。
3  漁業監督官又は漁業監督吏員は,必要があると認めるときは,漁場,船舶,事業場,事務所,倉庫等に臨んでその状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査し,又は関係者に対し質問をすることができる。
4  漁業監督官又は漁業監督吏員がその職務を行う場合には,その身分を証明する証票を携帯し,要求があるときはこれを呈示しなければならない。
5  漁業監督官及び漁業監督吏員であつてその所属する官公署の長がその者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものは,漁業に関する罪に関し,刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。

第百四十一条  次の各号のいずれかに該当する者は,六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一  第二十九条の規定に違反して漁業権を貸付けの目的とした者
二  第七十四条第三項の規定による漁業監督官又は漁業監督吏員の検査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又はその質問に対し答弁をせず,若しくは虚偽の陳述をした者
三  第百二十四条第四項の規定に違反した者
四  第百三十四条第一項の規定による報告を怠り,若しくは虚偽の報告をし,又は当該職員の検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した者
五  第百三十四条第二項の規定による当該職員の測量,検査,移転又は除去を拒み,妨げ,又は忌避した者

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