法律の周辺

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研究熱心な裁判所長に対する注意処分について

2007-11-21 20:18:01 | Weblog
asahi.com 地裁所長に厳重注意 破産事件に同席し質問 宇都宮

 司法行政の監督に係る裁判所法第80条の第2号には「各高等裁判所は,その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督する。」とある。
裁判所法の第四編「裁判所の職員及び司法修習生」の第一章は「裁判官」。ことわりが無い限り,「裁判所の職員」には裁判官も含まれ,裁判官も司法行政上の監督の対象となる。

記事には,裁判所長が監督責任でなく自らの行為で注意を受けるのは極めて異例,とあるが,類例としては,ご存じのとおり,長沼事件に関連する平賀書簡事件があった。あの事件では,平賀札幌地裁所長を,札幌地裁裁判官会議が厳重注意処分に,最高裁が注意処分に付した。
さて,今般の東京高裁による厳重注意処分は,栃木県弁護士会の裁判官分限法に基づく懲戒処分の申し入れを契機としたもののよう。本件に関する宇都宮地裁裁判官会議による処分等の有無,記事からは明らかではない。

宇都宮地方裁判所 宇都宮地方裁判所・宇都宮家庭裁判所について 宇都宮地方裁判所長


裁判所法の関連条文

(この法律の趣旨)
第一条 日本国憲法に定める最高裁判所及び下級裁判所については,この法律の定めるところによる。

(下級裁判所)
第二条 下級裁判所は,高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所とする。
2 下級裁判所の設立,廃止及び管轄区域は,別に法律でこれを定める。

(裁判所の権限)
第三条 裁判所は,日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し,その他法律において特に定める権限を有する。
2 前項の規定は,行政機関が前審として審判することを妨げない。
3 この法律の規定は,刑事について,別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

(上級審の裁判の拘束力)
第四条 上級審の裁判所の裁判における判断は,その事件について下級審の裁判所を拘束する。

(裁判官)
第五条 最高裁判所の裁判官は,その長たる裁判官を最高裁判所長官とし,その他の裁判官を最高裁判所判事とする。
2 下級裁判所の裁判官は,高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし,その他の裁判官を判事,判事補及び簡易裁判所判事とする。
3 最高裁判所判事の員数は,十四人とし,下級裁判所の裁判官の員数は,別に法律でこれを定める。

(司法行政事務)
第十二条 最高裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,最高裁判所長官が,これを総括する。
2 裁判官会議は,全員の裁判官でこれを組織し,最高裁判所長官が,その議長となる。

(司法行政事務)
第二十条 各高等裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,各高等裁判所長官が,これを総括する。
2 各高等裁判所の裁判官会議は,その全員の裁判官でこれを組織し,各高等裁判所長官が,その議長となる。

(司法行政事務)
第二十九条 最高裁判所は,各地方裁判所の判事のうち一人に各地方裁判所長を命ずる。
2 各地方裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,各地方裁判所長が,これを総括する。
3 各地方裁判所の裁判官会議は,その全員の判事でこれを組織し,各地方裁判所長が,その議長となる。

(身分の保障)
第四十八条  裁判官は,公の弾劾又は国民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては,その意思に反して,免官,転官,転所,職務の停止又は報酬の減額をされることはない。

(懲戒)
第四十九条  裁判官は,職務上の義務に違反し,若しくは職務を怠り,又は品位を辱める行状があつたときは,別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

(司法行政の監督)
第八十条 司法行政の監督権は,左の各号の定めるところによりこれを行う。
一 最高裁判所は,最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。
二 各高等裁判所は,その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督する。
三 各地方裁判所は,その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督する。
四 各家庭裁判所は,その家庭裁判所の職員を監督する。
五 第三十七条に規定する簡易裁判所の裁判官は,その簡易裁判所の裁判官以外の職員を監督する。

(監督権と裁判権との関係)
第八十一条 前条の監督権は,裁判官の裁判権に影響を及ぼし,又はこれを制限することはない。

(事務の取扱方法に対する不服)
第八十二条 裁判所の事務の取扱方法に対して申し立てられた不服は,第八十条の監督権によりこれを処分する。

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