法律の周辺

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車のナンバー照会の厳格化について

2007-11-10 20:29:04 | Weblog
asahi.com 車のナンバー照会,厳格化 プライバシー保護を重視

 ストーカー行為や窃盗の手段として利用されるような制度では「公共の福祉を増進」(道路運送車両法第1条参照)どころの話しではない。遅すぎたくらいの改正である。

今般の登録事項等証明書に係る改正は,道路運送車両法第22条に,登録情報の電気通信回線を使用した請求(第3項),請求者の本人確認(第4項),請求にあたっての請求事由等の明確化(第5項),不当目的の請求拒絶(第6項),を付け加えたもの。第1項の「何人も,国土交通大臣に対し,登録事項その他の自動車登録ファイルに記録されている事項を証明した書面(以下「登録事項等証明書」という。)の交付を請求することができる。」はそのまま。記事にある国交省関係者の「誰でも請求できる制度の趣旨は変わらない」は,第1項は従前どおり維持されていることを言うのであろう。
しかし,記事にもあるとおり,請求者については第5項及び第6項で事実上相当の絞りがかかる。「何人も」とはあるが,「誰でも」云々は説明として無理があるのではなかろうか。条項の作りとしては随分安上がりな方法をとったものだ。

話しは変わるが,秋田運輸支局のHPに自動車の「遺産分割協議書(相続による移転登録)」が掲げられている。これを見ると,対象自動車の特定としては,自動車登録番号のほか,車名,型式,車台番号まで必要のようだ。遺産分割に係る家事審判などでも,自動車の特定としては自動車登録番号で足りるとされることが多いのだが。

ようこそ秋田運輸支局へ! 登録事項等証明書の請求方法変更について

ようこそ秋田運輸支局へ! 様式集(PDF)


改正道路運送車両法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,道路運送車両に関し,所有権についての公証等を行い,並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り,併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより,公共の福祉を増進することを目的とする。

(登録事項等証明書等)
第二十二条  何人も,国土交通大臣に対し,登録事項その他の自動車登録ファイルに記録されている事項を証明した書面(以下「登録事項等証明書」という。)の交付を請求することができる。
2  前項の規定により登録事項等証明書の交付を請求する者は,国土交通省令で定めるところにより,第百二条第一項の規定による手数料のほか送付に要する費用を納付して,その送付を請求することができる。
3  第九十六条の十五から第九十六条の十七までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録情報提供機関」という。)は,登録事項その他の自動車登録ファイルに記録されている情報(以下「登録情報」という。)の電気通信回線による提供を受けようとする者の委託を受けて,その者に対し,国土交通大臣から提供を受けた登録情報を電気通信回線を使用して送信する業務(以下「情報提供業務」という。)を行うため,国土交通大臣に対し,当該委託に係る登録情報の提供を電気通信回線を使用して請求することができる。
4  国土交通大臣又は登録情報提供機関は,第一項の規定による請求をする者又は前項の委託をする者について,国土交通省令で定める方法により本人であることの確認を行うものとする。
5  第一項及び第三項の規定による請求は,請求の事由又は請求に係る委託の事由その他国土交通省令で定める事項を明らかにしてしなければならない。ただし,自動車の所有者が当該自動車について第一項の規定による請求をする場合その他の国土交通省令で定める場合は,この限りでない。
6  国土交通大臣は,第一項の規定による請求若しくは第三項の委託が不当な目的によることが明らかなとき又は第一項の登録事項等証明書の交付若しくは第三項の登録情報の提供により知り得た事項が不当な目的に使用されるおそれがあることその他の第一項又は第三項の規定による請求を拒むに足りる相当な理由があると認めるときは,当該請求を拒むことができる。

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