法律の周辺

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補助犬同伴の受け入れ義務化について

2007-11-29 21:09:55 | Weblog
補助犬連れでも就労しやすく,企業に受け入れ義務化 YOMIURI ONLINE

 全会一致の可決・成立だそうだ。
現行の身体障害者補助犬法第10条には「事業主(国等を除く。)は,その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。」とある。本改正により,一定の事業所には,来年の10月から,障害を抱える就労者の補助犬同伴受け入れが義務づけられるとのこと。

さて,山陽新聞には,視覚障害者の方がコンビニから補助犬同伴の入店を拒否された話しが載っている。
食品を扱う以上,飲食店や商店が衛生面を危惧し神経質になるのは分かる。しかし,例えば,同第22条には「身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬について,体を清潔に保つとともに,予防接種及び検診を受けさせることにより,公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。」,同第12条第2項には「この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。」とあるなど,一般からの懸念・誤解を払拭するため,補助犬の衛生確保については相応の手当てがされている。入店拒否はこの辺りの理解不足からきているものと思われるが,何とも悲しい話しである。
因みに,身体障害者補助犬法第24条には「国民は,身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し,必要な協力をするよう努めなければならない。」とある。

厚労省 「身体障害者補助犬法」を知っていますか?


現行身体障害者補助犬法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,身体障害者補助犬を訓練する事業を行う者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者の義務等を定めるとともに,身体障害者が国等が管理する施設,公共交通機関等を利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することができるようにするための措置を講ずること等により,身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り,もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「身体障害者補助犬」とは,盲導犬,介助犬及び聴導犬をいう。
2  この法律において「盲導犬」とは,道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第十四条第一項 に規定する政令で定める盲導犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。
3  この法律において「介助犬」とは,肢体不自由により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために,物の拾い上げ及び運搬,着脱衣の補助,体位の変更,起立及び歩行の際の支持,扉の開閉,スイッチの操作,緊急の場合における救助の要請その他の肢体不自由を補う補助を行う犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。
4  この法律において「聴導犬」とは,聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために,ブザー音,電話の呼出音,その者を呼ぶ声,危険を意味する音等を聞き分け,その者に必要な情報を伝え,及び必要に応じ音源への誘導を行う犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。

(国等が管理する施設における身体障害者補助犬の同伴等)
第七条  国等(国及び地方公共団体並びに独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。),特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって,総務省設置法 (平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号 の規定の適用を受けるものをいう。)その他の政令で定める公共法人をいう。以下同じ。)は,その管理する施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬(第十二条第一項に規定する表示をしたものに限る。以下この項及び次項並びに次条から第十条までにおいて同じ。)を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し,又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。
2  前項の規定は,国等の事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。
3  第一項の規定は,国等が管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。

(公共交通機関における身体障害者補助犬の同伴)
第八条  公共交通事業者等(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 (平成十八年法律第九十一号)第二条第四号 に規定する公共交通事業者等をいう。以下同じ。)は,その管理する旅客施設(同条第五号 に規定する旅客施設をいう。以下同じ。)及び旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等(車両,自動車,船舶及び航空機をいう。)を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該旅客施設若しくは当該車両等に著しい損害が発生し,又はこれらを利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。

(不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴)
第九条  前二条に定めるもののほか,不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は,当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し,又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。

(事業所又は事務所における身体障害者補助犬の使用)
第十条  事業主(国等を除く。)は,その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。

(住宅における身体障害者補助犬の使用)
第十一条  住宅を管理する者(国等を除く。)は,その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。

(身体障害者補助犬の表示等)
第十二条  この章に規定する施設等(住宅を除く。)の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,厚生労働省令で定めるところにより,その身体障害者補助犬に,その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない。
2  この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。

(身体障害者補助犬の行動の管理)
第十三条  この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがないようその行動を十分管理しなければならない。

(表示の制限)
第十四条  何人も,この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬以外の犬を同伴し,又は使用するときは,その犬に第十二条第一項の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。ただし,身体障害者補助犬となるため訓練中である犬又は第十六条第一項の認定を受けるため試験中である犬であって,その旨が明示されているものについては,この限りでない。

(身体障害者補助犬の取扱い)
第二十一条  訓練事業者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,犬の保健衛生に関し獣医師の行う指導を受けるとともに,犬を苦しめることなく愛情をもって接すること等により,これを適正に取り扱わなければならない。

(身体障害者補助犬の衛生の確保)
第二十二条  身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬について,体を清潔に保つとともに,予防接種及び検診を受けさせることにより,公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。

(国民の理解を深めるための措置)
第二十三条  国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,身体障害者の自立及び社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。

(国民の協力)
第二十四条  国民は,身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し,必要な協力をするよう努めなければならない。

身体障害者補助犬法施行規則の関連条文

(身体障害者補助犬の表示)
第四条  法第十二条第一項 の規定による表示は,様式第一号により身体障害者補助犬の胴体に見やすいように行わなければならない。

(法第十二条第二項 に規定する厚生労働省令で定める書類)
第五条  法第十二条第二項 に規定する厚生労働省令で定める書類は,身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する次に掲げる事項を記載した書類(以下「身体障害者補助犬健康管理記録」という。)及び第九条第五項の規定により交付された身体障害者補助犬認定証その他身体障害者補助犬であることを証明する書類とする。
一  身体障害者補助犬の予防接種及び検診の実施に関する記録(予防接種及び検診を実施した診療機関等の名称及び獣医師の署名又は記名押印がなければならない。)
二  前号に掲げるもののほか,身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する記録

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