特定非営利活動法人白河花里倶楽部れぽーと

東北の南端福島県白河市で活動するNPO法人。2017年10月より、動物関連はアメブロ「花里れぽーと」で更新致します。

地域猫先進地 長野県松本市の「コムキャット」から学ぶ地域猫活動

2014-08-02 13:18:24 | 城下町白河の地域猫活動コミネコ
9年前の秋、日帰りで長野県小諸市を訪ねました。目的は、同市にある高浜虚子記念館を訪れ、虚子からいただいたハガキなどを寄付するためでした。俳人のバイブルと称される「虚子俳話」の中には、私の父が鎌倉の虚子宅で虚子と面会した話があります。父の死後、それを知り、本当に驚きました。脊椎カリエスは死の病であった時代、病院のベッドから、悲痛な叫びのような歌を詠み送った父に、偉大な俳人虚子は一つの句をくださいました。

初鏡 人の心を映すべく   高浜虚子

いただいた句に感激した父は、病を克服し、短歌で賞をいただくまでになりました。すべては虚子先生のお陰だと考え、どうしても感謝を伝えたく、鎌倉まで伺ったようです。この時の虚子先生との会話は、訪問記としてノートに書き残していますが、虚子先生は本当に素晴らしい人格者であったことがわかります。いただいた句は、私の宝物です。

さて、小諸市には動物愛護センター「ハローアニマル」もあると知り、松本市在住の愛猫家の知人と共に訪ねました。その時、行政獣医であった館長が案内・説明をしてくださいましたが、あまりの感動に涙したことを覚えています。

「ボランティアさんには、猫にはちゃんと餌を与えるように指導しています」

館長さんは言いました。行政側が、餌付けの指導?9年経った今も驚く人が殆どでしょう。そこで見た地域猫活動の写真には、屋根付きの餌場やピアスをした地域猫・・・驚くことばかりでした。また、動物愛護センターでは、無償で野良猫の不妊去勢をしているということでした(特定の活動団体のみ)。

後日、この活動は、松本市の「ねこの会」という団体の活動であると知りました。この地域猫は「コムキャット」と呼ばれているそうです。

詳しくは、PDFで公開されている資料をご覧ください。長野県松本市内における地域猫の取り組み

この活動は、
●動物愛護ボランティア「ねこの会」
●長野県動物愛護会松塩筑支部
●長野県松本保健所
●長野県動物愛護センター「ハローアニマル」


上記の方々、つまり官民共同事業だそうです。平成14年に開始されたとありますので、今から12年前に、これだけ先進的な活動をされていたことになります。この資料にもありますが、

「全国的に見ても、ボランティアが行政(県)と具体的に連絡を取りながら連携している地域猫活動は長野県しかない。大きな理由は動物愛護センターの存在で、施設面の充実さとスタッフの働きが大きい要素である。」~長野県松本市における地域猫の取り組み~

9年前には、全国的に有名・・・とまではいかなかったコムキャットも、その後日本有数の先進的活動として有名になりました。

コムキャットは、「Community cat 地域猫の英訳!?  Commons cat コモンズ支援の猫 Com.cat」と資料にあります。当会は、9年前に奇妙な縁で訪問することとなったハローアニマルで知ったコムキャット地域猫活動を参考としたく、白河版コムキャットと名付けております。長野県の皆様、怒らないでくださいね。

さて、動物愛護先進県長野県と動物愛護の遅れた福島県には、他にも大きな違いがあります。その一つは、保健所が窓口のボランティア会の存在です。このような組織は、福島県にもあるようですが、内容が全く違うことに気付きました。先の松本市での活動団体の中にも「長野県動物愛護会松塩筑支部」の文字があります。地域猫の取り組みでは、「H14.4 長野県の行政に地域猫の活動を効率よく生かすために、長野県動物愛護会松塩筑支部に、『ねこ部会』が成立」とあります。12年も前に

先日、当会事務局が長野県庁に電話をし、この動物愛護会について教えていただきました。設立は昭和54年、当時警察犬訓練士をされていた県職員の方が退職後に設立されたそうです。長野県内にたくさんの支部があり、保健所が連絡窓口となっています。保健所直属のボランティア組織と言ってもいいでしょう。このような組織は、福島県にもあるそうです。

では、先進県長野県の特色は?

長野県動物愛護会松塩筑HPを拝見すると理解できます。


遺棄防止などの動物愛護法の啓発、迷い犬の保護や譲渡、抑留場には寄付で犬を遊ばせるフェンスを設けたとあります。まさに「動物愛護」の会ですね。素晴らしいです。長年、培われてきた動物愛護精神を真似ることは難しい。けれど、福島県は遅れていることを知り、恥じ、教えていただきながら進まなければ、いつまでも遅れたままです。そして、行政ができないのであれば、民間ボラが進めるしかありません。

先の資料の中で、「今後の課題」というテーマの中に、今我々が直面している問題の根本的原因が記載されています。
「寂しさから野良猫を餌付けして増やし、環境公害を起こし、そのため、地域から疎外されますます、孤立化し、ねこを増やす悪循環に陥る。ねこ問題の大半が老人問題と絡んでおり、安易な捨て猫問題も老人が増えたら捨てるという、行為が多くなっている。」

高齢者・アパート暮らし・飲食店、野良猫に餌付けをして問題となるケースの多くは先の方々です。傾向がわかれば対策を講じることも可能です。松本市の資料を参考に、活動を進めていきたいと考えております。


※PDFで公開されている資料「長野県松本市における地域猫の取り組み」を参考とさせていただき、引用させていただいた文には「」をつけさせていただきました。貴重な資料の公開に感謝しております。


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