角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

ドイツのロシア侵攻を描いた傑作「バルバロッサ作戦」

2011-11-23 13:11:37 | 自分的名著
今日の川代は曇りです。


ここは、家の庭。雪がちょびっとあります。


人間の歴史には、さまざまな自然現象で史実が変わった例がありますが・・

例えばフビライ・ハーンの日本侵攻(元寇)が、台風により頓挫したいわゆる「神風」とかは有名です。

また、アドルフ・ヒトラー率いるドイツ第三帝国のソビエト連邦へ侵攻は、ロシアの猛烈な「冬将軍」により失敗に終わりました。
その、ロシア侵攻への一部始終を描いたノンフィクションの名著がこのパウル・カレルの「バルバロッサ作戦」です。



厚めの単行本で3冊になる大作ですが、何でもこの作戦に関わった当時の将兵1000人以上へのインタビューをはじめ膨大な作戦資料からこの作戦を本当に克明に描いています。


ちなみに、この「バルバロッサ」とは中世時代、イスラム教徒に占領された聖地エルサレムをキリスト教世界へ奪還すべく、中東へ軍事侵攻したヨーロッパ連合軍の大将ドイツ皇帝フリードリッヒ一世のあだ名なんですな。
何でも、「赤ひげ」という意味だそうです。実際、フリードリッヒは見事な赤ひげを蓄えていました。

つまり、ヒトラーは、キリスト教を否定する共産主義国家「ソヴィエト連邦」を軍事的に転覆させ、キリスト教世界へ戻そうと、本気でこの狂気の作戦をおっぱじめたわけです。

そもそも、ヒトラー率いる第三帝国とは、次のような意味があります。

1、フリードリッヒ赤ひげ王の中世時代、ドイツは「神聖ローマ帝国」と称していた。「神聖ローマ帝国」はカトリック社会を守護するヨーロッパ諸国の盟主なんです。これ、第一帝国

2、ヴィルヘルム一世と鉄血宰相ビスマルクが19世紀ドイツ統一を果たした「ドイツ帝国」。後にドイツ帝国もロシア侵攻し、2正面作戦により瓦解。これが第二帝国

で、ヒトラーの第三帝国なんですが、マジ自分を「ヨーロッパ文化」の守護者だと信じきっています。

この「バルバロッサ作戦」が発動されたのが、1941年(昭和16年)6月22日なんですが、これがヒトラーの演説。

「史上最大の本作戦が結成されたのは(略)、現在脅威を受けつつある祖国を守るだけでなく、全ヨーロッパ文明と文化を救うためなのである。
ドイツ軍将兵諸君!諸子は重い責任を担って厳しい戦いに入るのだ。ヨーロッパの運命、ドイツの将来、わが民族の生存はいまやひとえに諸子の双肩にかかっている。
この戦いで主なる神がわが軍を助けたまわんことを!」




本当はこの作戦は4月中に発動される予定だったらしいのだが、軍内部のすったもんだにより、6月後半まで延期。これがこの作戦の明暗を分けました。
つまり、11月からのロシアの「冬将軍」です。
零下の皮のブーツに足が凍って、くっついて、凍傷になりながらも戦わなければならない将兵たち。もう息苦しくなるくらいの迫力ある描写。

この本では、政治的なことはいっさい語られません。この戦争が正しかったかどうかなどは、一言も触れられないのです。

ただ、与えられた作戦に勝利するため、奮闘する独ソ両将兵を正確に描くことのみに集中しています。


特に、グデーリアン、マンシュタインらの名将の作戦立案と決断、実行力は読みごたえがあります。


ちなみに、この「独ソ戦争」はロシア側は「大祖国戦争」と呼称します。

ドイツのイギリス侵攻は「アシカ作戦」と言いますが、イギリスでは「バトル・オブ・ブリテン」と言いますよね。

このように、同じ戦争でも国により戦争の「呼称名」が違うわけです。

ところが・・・・・・・

日本では先の大戦をなんと言う? 「太平洋戦争」じゃないですか。
小生これ真顔でしゃべる人を見るたび「バガでねんべか!」と思うわけです。

「太平洋戦争」とはアメリカ側から見た戦争の呼称名ですよ。
事実、アメリカは太平洋でしか日本と戦っていない。

例えばイギリス軍と激突した南雲機動部隊はインド洋で戦っていますし、インパール作戦はじめ、陸軍も広くアジア全域で戦っているわけです。
なので、日本人なら右、左関係なく、普通に「大東亜戦争」と呼称すべきと思いますが。
今だに負け戦した相手の呼称を使うなんて恥ずかしいじゃありませんか。

と、大きく話はずれましたが、 「バルバルッサ作戦」はこの冬、しんしんと降る雪を見ながら読む最適の本として推奨します。

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