傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

医療保険制度

2005年10月03日 | Weblog
日本は全国民が公的医療保険に加入しています。
所得に応じて保険料を納め、所得に関係なく全員が一律同じレベルの医療を受けられるしくみです。

欧州の先進国も公的医療保険があります。だた主治医の診断がないと大きな病院にかかれず、日本のように自由勝手にどの病院でも受診することはできません。

一方アメリカでは公的な医療保険は高齢者(Medicare)と低所得者(Medicaid)に限られており、国民の7割は民間の医療保険に加入しています。医療保険に加入していない人も15%いると言われています。民間の医療保険にも保険料の安いもの高いものがあり、それぞれ受けられる医療の範囲が違います。

民間の医療保険のメリットの一つを紹介します。FDA(Food and Drug Administration 米国の厚生労働省のようなもの)で承認された薬が承認された疾患以外でも効果があるとの信頼のおける研究データがある場合、保険会社が保険料を支払うかどうかを判断し、OKなら保険がおります。日本ではがん治療の最前線に、既承認薬の適応外使用という問題があります。厚生労働省の承認を受けていない疾患には保険がおりないのです。
米国は民間の医療保険は独自の判断をしているので、このような問題はないようにみえます。しかしこのような例は保険料が比較的高い手厚い保障のある保険の場合です。

ではデメリットはなんでしょうか。
FDAの承認を通っていても、非常に高額な薬剤の場合、保険料が少なく保障の薄い保険なら、保険はおりないのです。

つまり保険の種類によって受けられる医療に差がでてくるのです。
お金持ちは最高の医療を受けられるがそうでない方は…、これが実態です。
米国で救急車に乗ったらまずどんな医療保険に入っているかを救急隊員に告げなければならないそうです。受けられる医療の範囲が違うためです。

米国では最先端の医療が受けられると思いがちですが、そういった面を持ち合わせていることも頭の片隅にでも置いててください。