五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2021・12・1

2021-12-02 05:26:40 | 日記
女優はこうやって化けるのかと思い知った舞台を見た。数年前に知り合った新人女優西郷真悠子さんが出演する舞台「さいはての町の塵の王」(作演出・尾米タケル)を見終わった途端、そんな感動が込み上げてきた。西郷さんは普段接する時は外交官の娘らしく育ちがよさそうで、上品で、朗らかな、誰にでも好かれる若い女性なのに、この舞台では精神的欠陥を抱えた下品で、お喋りで、屈折した老婆と若い女の二役を演じたばかりか、唄と踊りで彼女が目標とするミュージカル女優の片鱗を見せていた。作家の林真利子さんや脚本家の中園ミホさんが応援する理由が分かった。きっと演出も優れているのだろう。彼女だけじゃなく出演者全員に細かな人物設計と演技プランが行き届いていた。芝居はこうでなくてはいけない。でも、淋しく思えたこともある。これほどまでの彼女の才能を知ってしまうと、気軽に俺の芝居にも出てくれよと云えなくなってしまったことだ。もっともっと大きな舞台で、もっともっと才能が開花する芝居に出演してほしいし、もっともっと大勢の人に見て貰いたいが、中目黒のウッディシアターで五日までしかやってないのが、小劇場公演の辛いところだ。本当は誰かとこの芝居について話したかったけど、今日はまっすぐ家へ帰る。老老ディナー(餃子と中華サラダに明太子御飯と大根の味噌汁)を食べた後母を寝かしつけてから出かけたものの、部屋を覗くと母は寝息をたてている。ごめんよ。あなたのバカ息子はあなたが大人しく寝ているのを幸いと新人女優の舞台を見て感激しておりました。PS作詞家の喜多条忠が亡くなったとの報道。同い年。俺は彼の作詩した「赤ちょうちん」という唄を映画化する時に脚本家として関わらせて貰った。以後何度か飲んだ覚えがある。詩は上手なのに字がすごく下手だった。そんな奴が死んだ。