goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

三姉妹と小坊主

2009年06月19日 | 09 花たち


毎年梅雨時になると、街のあちらこちらに黄色い固まり花が出現します。
この時期として珍しい黄色い花色の群生花ですのでね、よく目立ちます。

こちらではマンション回りや公園の生垣、中央分離帯や道路脇の植栽などでよく見かけます。
遊歩道に沿って黄色いベルトが長く続いているのを見かけることもあります。
単体で植えられているのを見かけるのは、ごく稀なケースです。
ほぼ常緑(紅葉、落葉することもあります)で、樹高はせいぜいが1mばかりだし、強剪定もOK、樹形は自分で整えるしと、パブリックスペースの植栽植物として選ばれるのは、この使い勝手の良さでしょうね。

同じ花に見えるかもしれませんが、黄色い固まりには3つの種類があるのに、気付いていましたか?

【キンシバイ・金糸梅】オトギリソウ科オトギリソウ属


【ヒペリカム ヒドコート】オトギリソウ科オトギリソウ属


【ビヨウヤナギ・未央柳・美容柳】オトギリソウ科オトギリソウ属

いかがですか?3者の違いは判りますよね。

学名は、「キンシバイ・Hypericum patulum」、「ヒペリカム ヒドコート・Hypericum patulum cv. Hidcote」(キンシバイの園芸種です)、「ビヨウヤナギHypericum chinense(monogynum)」ですのでね、すべてがヒペリカム=オトギリソウ属ということになります。
近縁種ですので、ヒペリカム三姉妹と呼んでもいいでしょうね。

3者の違いや特徴につきましては、2年前の「黄色い生垣」の記事で簡単に述べています。


ヒペリカム ヒドコートとビヨウヤナギのツーショットです。


花の違いもさることながら、葉っぱの様子が違うことも、並べるとよくわかります。
葉っぱが長くて柳に似ているところから、ビヨウヤナギと名付けられたくらいですからね。

みなさんの見かける黄色い固まりは、どちらでしたか?
おじさんのフィールドでは、キンシバイ2、ヒペリカム ヒドコート5、ビヨウヤナギ3の割り合いでしょうかね。


もうひとつのヒペリカムも紹介しましょう。
こちらは意外なことに、goro’s 花 Diary初登場です。

【ヒペリカム アンドロサエマム】オトギリソウ科オトギリソウ属

ヒペリカム三姉妹より、1ヶ月近く早めに咲き始めます。
三姉妹のように生垣に使われることはまずありません。
ほとんどが単体で植えられていることが多いです。

ヨーロッパ南西部から中近東が原産の、半常緑小低木です。
マイフィールドにあるものは1m弱の背丈で、秋には落葉します。
原産地では、河岸や海岸沿いの岩礫地で生育しているそうです。

先に紹介したヒペリカム三姉妹のなかでは、キンシバイの花がいちばん小振りで3~4cmほどですが、アンドロサエマムはそれよりももっと小さくて2cm程度です。
長短混じった雄蕊は、よく目立ちます。

小さな花は可憐で可愛いので、観賞に充分耐えうるのですが、アンドロサエマムは三姉妹とは違って、花時よりも実の時期に俄然存在感を発揮します。

「赤い実同盟」の会員さんでもあるんですよ。

花が咲いているときからふっくらした子房は目だっていますが、花後すぐに赤い実に変わっていきます。
赤い実の大きさは1,5cmほどでしょうか、花の割りには大きな実が付きます。
赤い色は熟すにつれて濃くなっていき、最後にはほとんど黒くなっちゃいます。
花材として使われるのは、こちらの赤い実のほうです。

「コボウズオトギリ・小坊主弟切」の和名は、この果実に由来します。
可愛い小坊主でしょう?


実を楽しむアンドロサエマムにもいろいろな改良種があり、赤の他、白、ピンク、茶色の実を付けるものもあるようです。

こちらもアンドロサエマムのお仲間です。
この後、何色の実になるんでしょうかね。