今年はフジの花をほとんど見ることなく過ぎてしまいました。
開花直後だったり、ほとんど花が終りかけの時期だったりと、何故だかフジとの縁が薄かったんですよ。
こんな年もあるよなと思っておりましたら、フジの季節が終わった後、フジに似た花との嬉しい出会いがありました。
フジとの縁が薄かった分、こんなところで帳尻を合わせるのかと、ひとり悦に入る、花追っかけおじさんであります。
同じマメ科で「○○フジ」と名乗っていたりしますが、フジ属の「フジ・藤」とは属違いですのでね、花は似ていますが、お仲間ということでもありません。
【ニワフジ・庭藤】マメ科コマツナギ属
ニワフジとは3年振りのご対面になります。
3年前に見かけたのは鉢植えのものでしたので、地植えのこちらは様相が随分違って見えました。
這うように枝を伸ばしていました。
コマツナギ属だと聞けば、そうかと思いましたね。
ニワフジは、本州の中部以西、四国、九州の河原に分布する落葉低木です。
中国や台湾などにも自生しています。
日本の自生地からは姿を消しつつあるようで、絶滅危惧種に指定している自治体もあります。
「ニワフジ・庭藤」の名前の由来は、「庭に植えられることから」と書かれているサイトがほとんどです。
なんとも人を食ったような説明には納得しかねたので、続けて検索していたら、別名の「イワフジ・岩藤」から転訛したものとの記述を見つけました。
こちらなら、まあ納得出来ますかね。
「イワフジ・岩藤」は、河原などの「岩場に生育する藤に似た植物」ということです。
岩藤と聞いてまず思い出すのは、歌舞伎の「加賀見山旧錦絵」です。
「加賀見山」の岩藤は立ち役が演じる女形で、尾上を苛めぬく憎っくき敵役ですが、こちらのイワフジは小さくて可愛くて、決して草履で人を打つことはありません。
園芸界では、「イワフジ」の名前で流通しているのが一般的との記述もありました。
赤紫のこちらの花色のほうが、ニワフジとしてはポピュラーなんでしょうけどね。
ここでは少数派で、白花に隠れるように遠慮がちに咲いていましたよ。
【キングサリ・金鎖】マメ科 キングサリ属
待望の初登場の花です。
キングサリの花は、たまたまネットで見知っておりましたし、見てみたいと思っていた花だったので、出会ったときすぐに判りました。
ただ予備知識がなかったとしたら、黄色い藤を見つけたぞ~~と欣喜雀躍、大騒ぎしたことでしょうね。
前出のニワフジより、花序の垂れ具合や花の構造など、もっと藤に似ています。
葉っぱは全然違いますけどね。
ヨーロッパ中南部が原産の落葉性の高木で、蔓性ではありませんが、藤棚のように育てることも出来ます。
春の花木として、ヨーロッパではポピュラー樹木のようです。
検索すると、見事に花を付けた大きなキングサリを見ることが出来ます。
和っぽい顔はしていますが、外国からいらっしゃったかただったんですね。
日本には明治の初期にやってきていますが、その割りには見かける機会は少ないですよね。
高温多湿に弱く、夏涼しく冬温暖な気候を好み、陽当たりを好み乾燥を嫌い、適度の湿気を保ち、移植を好まず強い剪定も嫌い、幹が太るのが遅いので繁った枝葉を支えきれず、倒れたり曲がってしまうこともあるし、アルカロイドを含んだ有毒植物でもあるしと、なかなか気難しい植物のようです。
あまり普及しなかった原因は、こんなところにあるんでしょうか。
「大変育てやすく、成長も早く、短期間に大きな木になり、木が大きくなると立派な花をたくさん咲かせるようになります」なんて、真反対のことが書かれている園芸屋さんのサイトもありましたよ。
さて一体どちらが正しい情報なんでしょうか?
「キングサリ・金鎖」 の名前は、「金色のような黄色い花が鎖のように連なって咲く」から付けられたとされていますが、英名の「ゴールデン チェーン・golden chain」をそのまま訳しただけでしょうね。
「キンレンカ・金蓮(連)花」との別名や、最近では「キバナフジ・黄花藤」と呼ぶこともあるようですが、どちらも紛らわしい要素がありますので、「キングサリ」もしくは「ゴールデン チェーン」と呼んだほうがいいでしょうね。
おじさんはもちろん、キングサリでいきます。