goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

足元の夏の雪

2008年04月30日 | 08 花たち



【セラスチューム】ナデシコ科

美しい銀葉を寒い時期からみせてくれていました。
名札が立てられておりましたので、このおかたの正体は判っております。
初の出会いですのでね、どんな花を咲かせてくれるのかと、心待ちしておりました。

なんとなんと、清楚で涼やかな花が咲いてくれましたよ。
期待を遥かに越えています。
銀葉に白い花。この組み合わせは新鮮です。

その上、こんなに早く咲くとは思っていなかったので、二重の喜びです。

セラスチュームは、南イタリアからシシリー島へかけての地域が原産地です。

15~25cmほどの草丈で横に広がる性質があるので、グランドカバーとしての人気が急上昇なんだそうです。
花時期ではなくても小さな銀葉がみっちりと覆い、凄くきれいです。

耐寒性には優れているようですが、暑さより雨に弱いそうです。
降雨量の少ない、地中海のご出身ですものね。

思っていたより早く咲いたので驚いた訳はね・・・
添えられていた名前にあります。

「セラスチューム 別名 夏雪草」と書かれていたのです。

「夏雪草」との名前が付けられた花なんだから、もう少し夏っぽい陽気になってから咲くのかなと、そう思っていたのです。

春の終わりに夏の雪・・・
早めに降ってきた夏の雪ですが、それはそれでシアワセな出来事です。

ナツユキソウ・夏雪草は、英名の「Snow in Summer」をそのまま訳した和名です。

花弁が深く裂けているのが、この花の特徴です。

花弁が裂けていると聞いて真っ先に思い出したのが、こちらの花です。


【オランダミミナグサ・阿蘭陀耳菜草】ナデシコ科

道端でもよく見かけますよね。
ヨーロッパからやってきた帰化植物で、同じ仲間のハコベたちと覇を競っています。

セラスチュームには、「シロミミナグ・白耳奈草」というもうひとつの別名があります。
オランダミミナグサとは、極近縁の植物だそうです。
近縁だからといって、セラスチュームが帰化植物になる訳ではありません。
雨に弱いということですからね、高温多湿の日本の夏を生き抜くのは、無理ですよね。

まだ咲き始めたばかりのようですのでね、このまま咲き進むと、真っ白な雪が覆い尽くすのでしょうね。



森の侵略者

2008年04月29日 | 08 花たち



【フジ・藤】マメ科

フジの花たちも、目につくようになりましたね。
初夏を代表する花のひとつで、紫の花色といい、揺れ具合といい、日本人好みの爽やかさを伝えてくれます。
すでに「Qちゃんちの白い藤」は紹介したし、昨年は、マイフィールドではまだ珍しいピンクの藤との出会いがあったんでした。
GWのうちに、ピンクのフジは見ておかなくちゃな・・・

東京で見ることのできる「藤の花のある風景」は、藤棚か盆栽に仕立られているものが圧倒的多数です。
樹木に絡んで這い登っていくフジの自然な姿を、東京の街で見ることは到底無理だろうと思っておりました。

それをね、都内某所で見かけたんですよ。


フジは森林の侵略者だってこと、知ってましたか?

この時期郊外に出かけると、新緑のなかでフジの花が咲いているのを見かけることがあります。
紫の花を見つけたら、フジかキリの花だと思って間違い無いでしょう。

もし山の中でフジの花が咲いているのを見かけたら、その山は荒れていることの証です。
数年にわたり、人の手が入っていない証拠です。
もし人手が入っている山であれば、フジの蔓などありません。真っ先に刈り取られますので。

樹木にとって、フジの蔓は天敵です。
蔓が幹を絞めつけて変形させてしまい、材木としての価値を下げるどころか、絡みついた木そのものを、「絞め殺す」ことだってあるんですよ。
まさに「庇を貸して母屋を取られる」状態です。

きれいな花が咲いているとのん気に見ているのは人間だけで、壮絶な生死を賭けた戦いが、森や林のなかでは、日夜繰りひろげられているんですよ。

つい最近のことですが、ターザンが雄叫びをあげながら、次々と飛び移っていくロープはフジの蔓ですかって訊かれたんだけど、おじさん、答えられませんでした。

フジ属の自生地は、日本や中国、北アメリカといわれています。

ターザンの舞台はジャングルだしね、熱帯地方にはフジは生育していないってことなのかな。
じゃぁ、あの太いロープ状の蔓は、何の蔓なんでしょうか・・・


このフジがどのあたりで咲いているのか、わかりますかね。

中央のビルは、六本木ヒルズですよ。



「か」と「す」の間

2008年04月28日 | 08 花たち


出会ってみたい花がたくさんあることは、これまでにも再三書いてきましたが、それはブログを始めて、他所さまのサイトでその花のことを知ってしまい、是非とも御目文字を思うようになったからです。
そうじゃなきゃそんな思いを持つことは、まず無かったでしょうね。
その昔は、小説などに書かれている花への憧れはありましたけど。
花に対して強欲になることは、ひとつの進化だと、そう思っております。ハイ。

今回も、そんな思いで憧れていた花です。

いつの日かの出会いを夢見ておりました。
昨年スズメノエンドウと出会って以来、その思いは尚一層強くなり、スズメとの出会いが叶ったのなら、次なるターゲットはこのおかただなと思っておりました。

やっと見つけましたよ。
それも他でもない、なんと、わが町での出会いです。
まさかわが町で出会えるなんてこと、露だに思ってもいなかったシチュエーションでしたのでね、びっくりしましたよ。

イネ科の植物に巻き毛を絡ませているこの小さな植物は、あのおかたに違いない!初めての出会いですが、見つけた瞬間、ピピ~ンときました。
そのくらい学習してたってことなんですがね。
してやったり感があったことは、否定いたしません。
ドキドキより、ニタァ~でしたからね。

街路樹の銀杏の足元の狭い空間に、1株だけ姿を見せてくれたのです。
もしやと思い、くまなく周りを探してみましたが、ほんとに1株だけしかありませんでした。

ニタァ~とした花を紹介いたしましょう。

【カスマグサ・かす間草】マメ科

カラスノエンドウやスズメノエンドウのお仲間です。

カスマグサを加えたお三方は極普通に見かける野草で、しばし混在してることが多いと、植物のサイトではよくいわれております。

情報はあくまで情報であって、どこにでも当てはまる訳ではないことは、経験則からもわかっております。

おじさんの花フィールドには、カラスノエンドウはどこに行ってもわんさかありますが、わが町にはスズメノエンドウは生息しておりません。
昨年はスズメノエンドウを求めて、noodlesさんのシマを荒らしたんでした。
今年は、新しい数ヶ所での出会いを果たしはしましたが、わが町にはまだいらっしゃっておりません。

スズメノエンドウは昨年紹介したことだし、今年はいいかなと思っていましたが、カスマグサと出会ったことで俄然浮上しました。
こちらも紹介いたします。

【スズメノエンドウ・雀野豌豆】マメ科

今年も泣かされました、ピント合わせには。
カスマグサよりもう一回り小さい花です。

ところで、カスマグサの名前の由来ですが、かなりユニークなんです。
カスマグサを漢字表記しようとしても、「かす間草」としか書けないのです。

この記事を『「か」と「す」の間』とのタイトルにしましたが、どう読みましたか?
普通なら「かとすのあいだ」ですよね。

「か」と「す」の間(あいだ)って、一体何でしょう?

「き」「く」「け」「こ」「さ」「し」・・・
なんじゃこりゃ???

推理小説の謎解きよろしく考えても、答えには辿り着けないでしょうね。ヒントもほとんど無かったし。

「か」=カラスノエンドウ
「す」=スズメノエンドウ

このヒントから「カスマグサ」の名前に辿り着けますかね。

」と「」の間とは、「ラスノエンドウ」と「ズメノエンドウ」の間という意味です。
花の大きさが、ふたつの花の中間くらいということです。
間(あいだ)は「ま」とも読み換えられますよね。

もうおわかりですね。
ラスノエンドウの「」、ズメノエンドウの「」、間(あいだ)を「マ」と読んで、「マグサ」と名付けられたのです。

なんだか狐につままれたような結論だと思いませんか?
カラスとスズメの間だから「カスマグサ」だなんて、唐突過ぎです。

植物の名前の付けられかたには、過去にも散々疑問を投げてきたり、ときには憤りをぶつけてきたりもしましたが、カスマグサの命名にも愛が感じられません。

カラス・烏とスズメ・雀の間なら、ハト・鳩だろうとの意見があるサイトに書かれていましたが、頷ける説ですね。
ハトノエンドウ・鳩野豌豆になってもおかしくなかったんじゃないのかな。
カスマグサからは「ノエンドウ」が消えちゃってるしさ。

カスマグサなんて、なんだか安直に付けられた名前だけど、「エンドウ」にしなかったところだけは、認めてあげることにしましょうかね。

話の都合上、カスマグサはカラスノエンドウとスズメノエンドウとの中間の大きさと言ってきましたが、実際はカラスノエンドウよりずっと小さくて、ほとんどスズメノエンドウ寄りの大きさです。

ふたつの花を比べてみます。
カラスノエンドウについては、すでに記事にしておりますので、こちらをご覧下さい。

  
【スズメノエンドウ】                  【カスマグサ】

スズメノエンドウは、白っぽいなかに、紫色が見てとれます。
カスマグサは全体にピンクがかり、青紫の模様が目につきます。

  

種子も違います。
スズメノエンドウは一莢に2個、カスマグサは3~6個の種子が入っています。
莢に毛の有る無しも見分ける基本です。

どれだけ小さいか、おじさんの指(中指、薬指)と比べてみます。
(おじさんの指、もう少し細いですよ)

  

スズメノエンドウが3~4mm、カスマグサが4~5mmでしょうか。


最後にそれぞれ、カラスノエンドウとのツーショットを見ていただきましょう。

 


お薦め、大雪体験

2008年04月27日 | 08 花たち


そろそろ雪が降ってくる頃かなと思って顔を出してみましたが、まだ少し早かったようですね。

昨年一昨年と紹介した、神宮外苑の「なんじゃもんじゃ」です。
咲き始めてはいましたのでね、天気の予報も今のところ良さそうだし、この連休中の早いうちに、神宮外苑に大雪が降るのは決まりでしょうね。

外苑には、他にも数本のなんじゃもんじゃの木があるんですよ。
ここが早過ぎたのならと、他のを見てきました。

降ってる、降ってる、白い雪が・・・

こちらのなんじゃもんじゃは、一足早く積雪していました。

「なんじゃもんじゃ」は通称です。
名前がわからなくて、「何の木じゃ」と言ってるうちに「なんじゃもんじゃ」になったといわれているのが、冒頭にアップした外苑屈指の銘木「2代目六道木」の先代、「初代六道木」だと言われております。
このあたりの事情は、明治神宮のこちらのサイトをご参照ください。


【ヒトツバタゴ・一葉田子】モクセイ科

特にGWに出かける予定のないという方たちにお薦めいたします。
なんじゃもんじゃの木に大雪が降るのを、是非とも見にいってみてください。
一見の価値、ありありです。



藪に咲く手毬花

2008年04月27日 | 08 花たち



【ヤブデマリ・藪手毬】スイカズラ科

前回紹介したオオデマリは、こちらのヤブデマリを改良して作られたといわれております。

オオデマリの花は、本家のヤブデマリとは似ても似つかないと記事にしましたが、その似ても似つかない花を見ていただきましょう。

真っ白な装飾花が目立つ、華やかな花木です。
オオデマリに勝るとも劣らない花姿でしょう?

いかがですか?
この花からオオデマリが作られたと言われて、すんなり受け入れられますか。

樹形や美しい葉は、オオデマリと同じようですけどね。

オオデマリも好きな花ではありますが、本家を見知ってしまった今では、ヤブデマリが上位に置き換わったかもしれないな。

直径10~15cmほどの散房花序で、中心に小さな両性花が数多くつき、周辺を3~4cmの装飾花が丸く取り囲んでいます。

面白い形の装飾花でしょう?
ぽっと見だと花冠が4つに分かれているようにみえますが、実は5つなんですよ。
5番目の小さなもの、見えますよね。

両性花は5mmほどです。
「赤い実同盟」の会員さんでもあるようです。

山野の谷沿いや川沿いなど、湿り気のある藪に生育することと、丸く咲く花序を手鞠に見立てて、ヤブデマリ・藪手毬と命名されました。

近年、改良されたピンクの花色の園芸種が出回っているそうです。