goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

幼き日の味

2007年02月28日 | 野を食す



【ツワブキ・石蕗】キク科

花を紹介したときにも書いておりますが、私の田舎では、山菜を食べる文化が貧困です。
そんななかでも、このツワブキは食べていました。

今回「野を食す」を始めるにあたって、お客さんも含めて回りの人間に尋ねてみましたら、ツワブキは、ごく当たり前に食卓に出されたというかたたち、いらっしゃいました。
西日本、殊に九州ではよく食べられていることは、ネット検索をしてもわかります。
各地の郷土料理として紹介されているサイトが、たくさんあります。
ツワブキとは言わずに、ツワとか、単にフキと呼んでいるようです。
私の育った宇和島、三浦地区でも、ツワでした。 

東京をはじめ、都市部の出身のみなさんには、ツワブキを食べたことがあるかどうかは、愚問です。
ツワブキは観賞用の花という認識しかありません。
それはわかります。

東京で目にするツワブキは、公園の一角や個人のお宅、ビルや道路脇の植栽として、意識的に植えられているものがほとんどです。
そのあたりに自生しているものなど、皆無です。

ということで、いままでアプローチしてきた「野を食す」の素材としては、ツワブキは少し趣が違います。
どうしても「食す」ことにこだわるなら、後ろめたさが付き纏います。
ツワブキを手に入れるためには、ずばり、窃盗行為をやるしかありません。

昨年の春、ツワブキの新芽と出会ったとき、「野を食す」というテーマを立ち上げるなんて思惑などなかった頃からの話ですが、いつかツワブキは、「食す」ことをやってみたいなと、採取可能な場所を物色していたのです。

ここのツワブキならと、目星をつけていたのが、トップ写真の場所です。
さる公園の斜面地で、ベルト状に群生している場所で、人為的にではなく、株が増えていました。
もしツワブキ料理をやるのなら、ここのものでと、決めていました。
採取するにあたり、根こそぎ採らない、一度採った場所では二度と採らないというのが、確信的窃盗犯のルールです。
どう言い訳しても、それは犯罪行為だといわれるかもしれませんが、そうやってツワブキを手に入れたということを、告白しておきます。

とはいいつつ、新芽に出会ったときには小躍りし、ノーテンキに採取してきました。
公園をホームにしている青テントの住人たちは、ツワブキの葉をかきわけ、新芽を採取している私に、怪訝な視線を注いでおりましたけどね。


ツワブキの名前の由来は、「艶のある葉の蕗」からという説がありますが、料理には艶のある葉は使いません。
堅くて灰汁も強いでしょうから。
全体が綿毛で覆われている新芽の、茎の部分だけを使用します。


子供の頃から馴染みのあるものですが、食べたことはあっても、調理したことはありません。
灰汁抜きがたいへんだったという思い出があります。
わが家では、灰で灰汁を抜いておりました。
採ってきたツワブキに灰をまぶし、熱湯を注いで一晩置いたあと、灰汁で指先を真っ黒にしながら、皮を剥いたものです。
今の生活では、灰など手に入りません。
ネット検索して、灰汁抜きの手順を調べてみました。
水だけで灰汁を抜く方法がありましたので、取り敢えずそれでやってみました。


採取してきたものの葉を落とし、板ずりしたものを熱湯で3分ほど茹でて、冷水に浸します。
冷めたら、丹念に皮を剥いていきます。
あるサイトでは、面白いように皮が剥けると出ていましたが、そんなことありませんでした。
難儀な作業でした。爪が真っ黒になりました。
蘇りますね、幼き日が。


透明感のある、若草色が出現いたしました。
水を替えながら、一昼夜置いておきます。

これで、下準備が完了です。
味見してみました。
いやいや、美味しいんですよ、この段階で。


パラパラと塩を振っただけですが、口中にひろがる香りといい、口当たりといい、サラダ感覚で申し分なくいただけます。
ただしが付きます。
どこでもいいかというと、そんなことはなくて、茎の根っこに近いところで、あまり緑がかっていない部分に限ります。
少々の苦味など平気だ、かえってあったほうがいいというなら、丸ごと食べてもいけます。
ホワイトアスパラの苦味が大丈夫なら、こちらのほうが上品なくらいです。



「油揚げとツワブキの煮物」

今回は定番の煮付けです。田舎で食べていたのは、これです。
語るべきことはほとんど無し。
当たり前の煮物になりました。
蕗の煮物より、爽やかさを加味しても、ツワブキのほうが美味しいと思います。コクがあります。

画像無しの失敗話をひとつ。

キャラブキと呼ばれる佃煮は、元来はツワブキを使って作っていたということを、昨年ポージィさんのブログで知りました。
それに挑戦してみるかとやってみたのですが、煮詰めているうちに、煮崩れてしまい、ほとんど溶けてしまいました。


         そうか、そうか、そういうことか・・・


別サイトでみた、簡単レシピでやってみることにします。
綿毛も取り除かず、皮も剥かない調理方法です。

4、5センチの長さに切り、太い部分は2~4個に切り分け、水に晒します。
そのまま、一昼夜おくのは、先の灰汁抜きと同じです。



「キャラブキ」

こちらが、ツワブキで作った、本家本元のキャラブキです。
現在市販されてるキャラブキは、フキで作られているのがほとんどです。

醤油、酒、みりんで濃い目の味付けにしてますからね。
ごはんの友はもちろん、箸休めの一品としても重宝します。



「ツワブキのキンピラ」

そうなんですよね。
この2品は、皮があるからこそ、シャキッとした感触が楽しめるのですよね。
キンピラにすると、香りといい、食感といい、春を感じさせてくれる美味しさでした。


こんなものも作ってみました。



「ツワブキと菜の花の散らし寿司」

茹でて皮を剥き下処理したツワブキを、薄味でさっと煮て、そのまま煮汁のなかで冷まし、食感を残したものを削ぎ切りにします。
塩漬けの菜の花(これも採取品です)と、湯抜きしたシラスを具に加えました。
合わせ酢には、田舎から届いた伊予柑の果汁を少々加えてみました。
ツワブキの香りとシャキシャキとした食感、菜の花の鮮やかな緑色とほのかな苦味が、目から鼻から舌から口から心から、春を満喫です。


錦糸玉子ともみ海苔をあしらいました。
                       
                    どうぞお召し上がりください。


満開、沈丁花

2007年02月27日 | 07 花たち



【ジンチョウゲ・沈丁花】ジンチョウゲ科

みなさまのところにも、もう届きましたよね、春の香りが。

ここにきて、満開状態になっています。



12/5撮影

冬の早い時期から、花芽は見られました。

フライングしてたものや、早めに開花したものは、すでにアップ済みです。


中国原産の常緑低木で、室町時代から栽培されていたそうです。

香木の沈香のような匂いと、丁子のような花が咲くことから、沈丁花と命名されたそうです。

なんといってもこの花は、香りの存在感でアピールしてきます。
花のことに詳しくなくても、この香りで春が来たのを感じるというかた、多くいらっしゃいます。

千里花」という別名があることなど、昨年記事にしました。

トイレの芳香剤だというかたもいらっしゃるんだけど、まあ、香りの好みは、人それぞれですから。


白花のほうは、少し遅れて咲き始めます。


赤色の色素が入っているものも、すっかり開花すると白花になります。


ジンチョウゲの木は、せいぜいが1メートル少しの高さですが、このお宅の花は、塀越しに見下ろして咲いています。
2メートルくらいはあるでしょうか。

こんな丈の高いジンチョウゲは、ここ以外では、見たことありません。


もうひとつのマンサク

2007年02月26日 | 07 花たち



【アカバナマンサク・赤花満作】マンサク科  

トサミズキの記事のなかで、今年4番目のマンサクに出会いましたって、アカバナマンサクの写真はアップしていますが、実はあの花、鉢植えのもので、30センチくらいの高さのものです。

もっと自然の風景のなかで出会いたいなと思っていたんですよね。

先週の土曜日、駒場方面をブラブラしてたら、会いましたよ。


豊年満作といった花の付きかたではありませんでしたが、それはそれで、風情がありました。

数が多ければいいというものでもありませんしね。
負け惜しみじゃなくです。




かえって、ひとつひとつの花を、じっくり見ることができました。

ベニバナマンサクとも呼ばれ、日本に自生しているマンサクと、シナマンサクとを交配させて作った園芸種だそうです。

気持ち、花びらが長いような、花も一回り大きいような、そう思えました。


ゆるやかな午後

2007年02月25日 | つぶやき…

陽差し春、空気感冬といった天気が、昨日今日と続きましたね。
今朝の気温は0℃近くまで下がり、この冬一番の低さでした。
日中も7℃にも届かず、昨日以上に寒い一日でした。
この寒さは、桜たちに刺激を与えているでしょうね。

風はほとんどありませんでしたからね、勘違いするような陽差しに誘われて、お出かけ・・・
のはずだったのですが、少し前から気になっていたことがあったので、お節介話で、刈米さんにTELしました。

刈米さんとは何者か? 「お花」の世界に関わっていらっしゃるかたや、goro'sのお客さんなど、わかる人にはわかる有名なかたです。
ここでは詳しい説明はいたしません。ちっとやそっとで説明できるかたじゃありませんから。
彼のことを語ろうとしたら、時間がいくらあっても足りません。

お宅にいらっしゃるということなので、もともと出かけ先も決まっておりませんでしたし、ちょこっとだけお邪魔して、そのあとのことはそのときに考えればいいかと、マイリビングに向いました。1時半過ぎです。

何故マイリビング、代々木公園かというと、刈米さんのお住まいは、原宿駅前にあるからなのです。
地図上だと、方角のズレや距離の違いはありますが、刈米宅とおじさんの部屋とは、代々木公園を挟んで真反対にあります。
代々木公園にある5つの入場門のうち、西門から入って、原宿門を抜けると、刈米さんのお宅に着きます。
いつもの場所にマイカーを停め、代々木公園を最短距離で横断です。

刈米さんが、『刈米義雄の「花鳥な彩月」』というブログをやっていることは、つい最近知ったことです。
HPを開設していることはわかっておりましたから、goro'sのHPのリンクページにも掲載してはいるのですがね。
そのブログで、おじさんのことを記事にしてくださったのです。
面映い気持ちはありましたが、感謝の思いは大きくあります。

他の記事を読んでいるうちに、彼が気が付いていないだろうことで、簡単にできるブログの機能があるのになと思って、お節介電話をしたのです。
同じgooブログを使ってますからね。

この記事のなかでもやってますが、記事中の文字列に、リンクのURLを貼り付けるということなんですけどね。
刈米さんのブログでそれができたら、読者のみなさまがクリックひとつで誘導ページにいけるのにと、ついお節介心が起きちゃったのです。

結果的には、Macとwinの違いがあり、おじさんが思っていたように、簡単にとはいかなかったのですがね。
winでは出来る機能が、Macでは対応できないということは、パソコントラブルに見舞われていたときにわかっていたのですが、すっかり失念しておりました。
こちらからお節介な話を持ち込んだのに、お役に立てなくて、ごめんなさいね。

用事が済んだらすぐお邪魔するつもりだったのですが、ついつい引き留めの言葉に調子こいて、話し込んでしまいました。
ワインをいただきながら。
遠慮しいしい、ボトル半分程いただいたのじゃないかな。
 

レースのカーテン越しに差し込む暖かい陽差しが、ワイングラスを通し、テーブルクロスの上に赤い揺らめきを描いていたのを撮って見たのですが、イマイチですね。
水面に反射するキラキラとは、違いますものね。

楽しい会話をしていると、時間の経過はあっという間です。
ブログのこと、お花のこと、お弟子さんのエピソードの数々、最新の映画の話など、刈米ワールドに浸りきり、たくさんのときめきをいただきました。
年下のおじさんがしたり顔で語る言葉にもきちんと耳を傾けてくださり、少年のような反応を示される刈米義雄という人物に、改めて魅了されたおじさんでした。

おじさんが伺った時間に、入れ違いのように外出していた刈米夫人が帰ってきたのを機に、お暇いたしました。
4時半過ぎになってました。
ちょっとだけと思っていたのが、3時間近くにもなってしまいました。


明るい午後の時間にいただいたワインと、刈米さんと交わした会話とに、心地よく酩酊してしまったおじさん、マイリビングの、いつものベンチで一休みです。
頬がほてってます。


刈米夫人が、おじさんにと用意してくださった毛糸です。
すっかり糸の世界から遠ざかってしまっているおじさんですが、今季は無理かもしれませんが、なんらかの形にしようと思っております。
この色合いは、おじさんだと決して選ばない分野ですからね。
それだから、挑戦しようって、ファイトが湧き出してきました。


餌を求めてやってきたスズメも、寒さに毛を立てて、丸くなってます。
ごめんね、食べ物ないんだよね。

随分と日が長くなったとはいえ、5時半も過ぎると、さすがに人影まばらです。


夕暮れの河津桜です。
ここんところの寒さで、咲き出した花たちも一休みでしょうね。
寒さのおかげで、花の時期を長い間楽しめるということです。


滅多にやらないフラッシュ撮影をやってみました。

夜に向って一層寒くなってきましたし、お腹も空いてきたし、帰りましょう。 


ヒイラギナンテン 咲いた~

2007年02月25日 | 07 花たち



【ヒイラギナンテン・柊南天】メギ科

東京では、比較的目にする花ですよね。

公園や道路の植栽、個人のお宅などにも植えられています。
鋭い刺のある葉が、怪しい人物を寄せ付けなくしてくれることを、期待してのことでしょうかね。

トップの写真はかなり大きくて、2メートルくらいありましたが、よくみかけるものは、腰の高さにコントロールされているものが多いです。

柊に似た葉の南天というのが、名前の由来でしょうか。
ナンテンもメギ科で、ヒイラギナンテンと同じです。


よくみると、可愛い花ですよ。