goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

猪と煙草の関係

2007年12月15日 | 07 花たち

ここ10日間ばかり、部屋にこもって手内職仕事にいそしんでおりますので、さすがにストック写真も枯渇してきました。
写真はあるんですよ、いっぱい。でも季節はずれの花たちばかりです。
季節を無視してアップすることも考えてはいるのですが、それはそれ、最後の手段ということで。

マイリビングにもしばしご無沙汰していることだし、気分転換も兼ねて、久々に顔を出してきました。

代々木公園には、何ヶ所かの見事なモミジの紅葉スポットがあるのですが、ほとんど散ってましたね。
イチョウも絨毯になってました。

何でもいいから、花は咲いていないかなと探しておりましたら、ありましたよ、いましたよ、このお方が。


【ヤブタバコ・藪煙草・藪莨】キク科

夏の終わりにはすでに咲き出しておりました。
秋中見かけてはいたんですけどね、邪険に扱ってました。

本来なら花も咲き終わり、株も枯れているのが普通の姿なんです。

大方がこんな様子です。

種子はひっつき虫くんです。
枯れた草叢に入っていくと、なにげにひっついていたりします。
棘でしがみついてくるタイプではないので、センダングサのお仲間のように厄介なひっつき虫ではありませんが、それでも空間移動のお手伝いをさせられることが、度々あります。

どういう加減なのか、師走も半ばになったこの時期に、花を咲かせておりましたのでね、紹介しておきましょう。

林などの藪に生え、根元に付く葉(根生葉)が大きくて、煙草の葉に似ていることから、ヤブタバコ・藪煙草と命名されたようです。
一説には、花の形が、花の付きかたが煙管の雁首に似ているからという記述も見かけましたが、ガンクビソウという名前の、ヤブタバコのお仲間の別の植物がありますしね。
この説はそちらに譲りましょう。

前にもgoro's 花 Diary で書いたことあるのですが、ヤブタバコは帰化植物に違いないと思ってました。
風貌がそんな風なんですよ。
おじさんには生っ粋の日本のかたには見えないのです。
でも在来種なんですって。意外です。

今回の調べで、かなり古い時代に、中国からやってきて、日本各地に伝播したのではないかとの記述をみつけて、ひとり納得しました。
でもこの説が正確なもので、定説になっているのかどうかはわかりません。お含みおきを。

そうなるとね、またまた疑問がありましてね。
もしもです、もしも在来種(中国から昔にやってきたとしても)だとしたら、ヤブタバコ・藪煙草という名前には、頭をひねることになります。

タバコって、新大陸を発見したことでヨーロッパにもたらされた植物でしょう?
トマトやジャガイモ同様、ヨーロッパでは、新しい植物だということです。
その新しい植物たちが日本にやってきたのは、ヨーロッパを経由して導入されたはずですからね。
タバコは江戸時代にやってきたということでしょう?

でもヤブタバコは、もともと日本にあった植物なんですよ。
民間薬として打ち身や腫れ物に効能ありとされ、昔から葉の搾り汁が利用されていたんだそうですからね。
名前が無いはずないでしょう?

疑問解決。

江戸初期までは、猪尻草(いのしりぐさ)と呼ばれていたんだそうです。
花の様子が、猪のお尻に似ているからなんですって。
フーン、そうだったのか。

イノシリグサからヤブタバコに名前が変わってしまったのには、どんな理由があったのですかね。
煙草そのもの存在感が影響しているのかな。

ニコチンが神経中枢に与える甘美な刺激の虜になり、タバコという新しい植物に人々はのめり込んでしまい、煙草を求めて西東。
どう考えても、当時の煙草は高価だったはずです。
庶民にとっては高嶺の花だったとも考えられます。
民間薬として薬効あらたかだったイノシリグサの名前を捨ててまで、ヤブタバコと呼ぶようになったのには、人々の煙草に対する強い想いが読み取れます。
その葉がタバコに似ているイノシリグサを見て、これが本物のタバコの葉だったらどんなシアワセだろうと、そう思ったと思いますよ。
そしていつしか、ヤブタバコという名前が、一般的になってしまった・・・

なんてことも、考えられますよね。

失礼しました、妄想おじさんのつぶやきです。

いまだもって、煙草に縛られてる弱い人間なんです、おじさんは。
なんとか脱却したいんだけどな・・・

           プゥ~~ ~~ ・・・ ・・・


ヤブタバコの花が咲いてた一角には、こんなものもありましたよ。
それぞれ名前をクリックしますと、花の記事にリンクしております。


マルバフジバカマ・丸葉藤袴】キク科


ゲンノショウコ・現の証拠】フウロソウ科


ヒヨドリジョウゴ・鵯上戸】ナス科