【ヤツデ・八手】ウコギ科
ヤツデは、夏の雑木林のなかでは身を潜めておりますが、まわりの木々が紅葉し、落葉が始まると、俄然存在感を増してきます。
こんなところにもヤツデがあったのかって、改めて気付かされます。
今回わかったことですが、ヤツデの成育には、冬場の日照が大きく作用します。
取り巻く高木たちが落葉を始めると、次第に葉の向きを変え、冬の光に反応するんだそうです。
林の低木たちは夏場の光はほとんど期待出来ませんから、この間はじっと我慢のときを過ごし、遮るものがなくなった冬場に、太陽のエネルギーを吸収するってことですね。
それと、冬場に花を咲かせるということも、もうひとつの戦略です。
花が少なくなった時期は、越冬する昆虫たちにとっては餌?が少ないということになります。
ヤツデの花は、晩秋から冬場にかけて長い間咲いています。
昆虫たちにとっては、貴重な蜜源植物、それも、とびっきり糖度の高い蜜を供給するのだそうですよ。
大きな円錐花序に、ボンボンのような集合花を順次開花させることで、昆虫たちを長きにわたって引き寄せます。
次々に訪れる昆虫たちに花粉を運んでもらい、確実に受粉することが出来ます。
近親交配を避けるため、同じひとつの花で、雄性期(ゆうせいき)と雌性期(しせいき)にわかれていたりもするらしいですよ。
こちらのサイトをご参照ください。
植物たちが生きていくための知恵は数々見てきましたが、ヤツデの戦略も、巧みですね。
名前の由来は、言わずと知れた葉っぱの形からきています。
ヤツデ・八手とはいっても、7、9裂していることが多く、ほとんどが奇数だそうです。
まあ、8という数字は、数が多いという意味に使われますからね。
天狗の羽団扇(てんぐのはうちわ)との別名にも、大納得です。
持ってますよね、天狗が、ヤツデの葉っぱを。
日蔭でも丈夫に育つこともあり、昔から庭木として親しまれています。
花はともかくとして、葉っぱは誰でも知ってますよね。
園芸種でしょうね、こんなのにも出会いましたよ。