goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

こころは変る

2006年08月09日 | goro's夜話


台風のおかげで、涼しい1日でした。
昨夜来、降ったり止んだりしてた雨は、午後には上がる気配も見えたんだけど、終日そのままの状態でしたね。夜にも降ってましたから。
これだけ纏まった雨も暫く振りでした。
駐車場の隅で干上がってた植物たちにとっては、この雨は恵みってことになるんでしょうか。
おじさんはひたすら篭ってました。
26度くらいでしたからね、凌ぎやすくはあったんですが。

「人のこころは変る」って言葉は、垢が付くどころか、擦り切れちゃって、こちらに真意が届いてこないくらいなものになってますが、昨夜は違いました。
いわゆる未婚の母を選択したIzumiちゃんが、久々に顔を出したんだけどね。
娘さんはもう小学1年生になったそうです。
このあたりの時間経過は、驚きです。
かなり聞こし召してはいましたが、もともとが酒豪ですからね、頓珍漢な受け答えということではありません。
いろいろ積もる話をひとしきり。
現在の彼女の置かれている状況も飲み込めるくらいまでに、情報空白の時間が埋められていきました。

何気なくです、どうしてそんな話になったのか、「娘を産んだことはよかったでしょう」と、おじさん言っちゃったんです。

「・・・わからない」とぽつり。

あれ、不味いこと聞いちゃったのかなと、少々後悔しました。

「どうしてもこの人の子供が欲しいと思ってたら、授かった命だし、産んだこともその後も何の後悔もしてないのよ。今だって娘と一緒にいられることは、ほんとうに幸せだと思うし、何の問題もないんですよ。
私が自分の意志で選んだ母子家庭だし、娘にハンデキャップを感じて欲しくないから、母親プラスαのことはやってきたという自負もあります。
それだって結局娘のためというより、私のためだったんだなと思ってる。
今では娘に説教されることもあるしね。
『ママ、お酒は飲んでもいいけど、お家でにしてね。外でだとどうしても飲み過ぎるでしょう』、そう言われちゃうんですよ。
だからと言って、私は彼女に支えられてとは思ってませんよ。
彼女を支えているのは私、どこにでもいる母親としての存在。
この子がいるから頑張れるってことじゃなくね、この子といるのは当たり前ってことなんです。
はっきり言ってね、もし彼女がいなかったら、今の私はどうなっていただろう、ってことも想像します。
後悔したことはありませんけどね。
確かにGoroさんが言うように、産んでよかったって思いますよ。
でもね、あれほど好きで、出来るだけ一緒にいたいと思った娘の父親とはね、近頃、ここ1年くらいなんだけどね、会いたくないんですよ。
どんどん嫌いになっていく私がいるんです。
ああ、こころって変るんだなって、そうわかっちゃったんです。
さっきGoroさんに『娘を産んでよかったでしょう』って聞かれてすぐ答えられなかったのはね、私はこころが変った人間だからです。
この先、5年10年、もっと先になってね、「この子を産まなければよかった」と、いつか思っちゃうだろう自分は確かにいるな、ってことをね、否定出来ないんです。
今は確かにこの子を産んでよかったと思ってるけど、もしかしたらそうじゃないよういに思うときがくるかもしれない、だから『産んでよかったです』って簡単に言えなかったんですよ」

重い言葉の連続でした。
おじさん、受け止めるのに精一杯でしたからね。
語らなかった彼女の言葉も、通奏低音のように響きましたしね。

「これだけは変らないことがあるよ。娘を産んだのはIzumiちゃんだし、母親もIzumiちゃんしかいないってことだよ」

酔っ払った美人は破顔一笑。
「そうですよね、どんなにこころは変ろうが、どっちかが死ぬまで親子をやるしかないんですよね。こうなったら、相手が嫌んなるほど母親をやってやります」

おいおいIzumiちゃん、もう3時近くなっちゃったよ。
いくら田舎からお母さんが出てきて面倒を見てくれてるとはいってもさ、明日また、娘さんに説教されちゃうよ。

水1杯飲みなさい。

じゃ帰ろうか・・・


こころは変ってもいいんですよ。