禅的哲学

禅的哲学は哲学であって禅ではない。禅的視座から哲学をしてみようという試みである。禅を真剣に極めんとする人には無用である。

朝令暮改のなにがいけないのか?

2022-10-23 21:33:33 | 政治・社会
【岸田首相は18日の衆院予算委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題に言及。宗教法人法に基づく「質問権」を行使することについて、解散命令請求が認められる法令違反の要件として「民法の不法行為は入らない」という認識を示した。  しかし翌19日の参院予算委員会では、「民法の不法行為も入りうると整理した」と一夜にして答弁を一転。これにより野党から、〝朝令暮改にもほどがある〟と批判の声が上がった。 】   (以上、yahooニュースより引用)

 朝令暮改は言うまでもなく望ましいものではない。総理大臣の言っていることが一夜にして頃っと逆転すること等あっていいわけがない。しかし、「過ちては改むるに憚ること勿れ」という言葉もある。間違いを犯したならば、ためらわずに直ちに改めるべきである。問題は最初の発言の「民法の不法行為は入らない」が余りにもお粗末だったということにつきる。 
 
 宗教法人というのは税法上特別に優遇されている、つまり国家は宗教法人を支援している訳である。そうであるからには、宗教活動は人々の幸せに貢献するという前提がなければならない。それがどうだろう、旧統一教会の周りでは自己破産や家庭崩壊で不幸になった人の例が余りにも多すぎる。霊感商法をはじめ高額献金など民事訴訟で敗訴した例もおびただしい。そういう団体が国家から優遇される理由が一体どこにあるのか? 聞くところによると、恋愛結婚もいけないとされているらしい。結婚相手は協会が決めてくれるらしいが、日本国憲法には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立する」と明記されている。憲法の趣旨に反するような組織を国家が支援しなければならない理由が一体どこにあるのか。

 誤解のないように注意しなくてはならない。宗教法人の解散命令というのは、決してその活動を強制的に停止させるということではない。税法上優遇されている宗教法人格を取り消すというだけのことである。権力の乱用はもちろん慎まなければならないが、むしろこのケースでは率直に言って解散命令請求を出すことに躊躇するその理由が見当たらない。そもそも最初の発言の「民法の不法行為は入らない」という認識がおかしいのだ。はじめからやる気のなさが見えているような気がしてならない。

 とりあえず、「民法の不法行為も入りうると整理した」と岸田総理は述べた。民法上の不法行為があったのは既に事実であるのだから、さっさと解散請求を出してもらいたい。この件に関して政府は今までに十分不作為の罪を犯してきたことを深く反省していただきたい。

称名寺 (横浜市金沢区)
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