タイムマシンというものの可能性が言われだしたのは、アインシュタインの理論により、時間の相対性というものが世間に敷衍されたからに違いない。特殊相対理論によれば、高速で運動すると時間の進み具合が遅くなる。亜光速ロケットで宇宙旅行をして地球に帰ってくれば浦島太郎のように百年後の世界に帰ってくるということもありうる。
しかし、これはタイムマシンによるタイムトラベルとは大きく違う。タイムマシンで行くのは、現在の世界とは別の過去の世界または未来の世界に行くのに対し、亜光速ロケットによる宇宙旅行ではロケットの中の時間の進行が遅くなるだけの話しで、ロケットも帰還すべき地球も一貫して「同じ世界」の中に存在している。
タイムマシンで過去の世界に行けるためには、現在の世界とは並行して存在する「過去の世界」が実在しているか、またはマシンが「過去の世界」を造り出せるのでなくてはならないはずである。
現時点では、現在の世界とは別の「過去の世界」や「未来の世界」の存在に関するなんらかの痕跡は全然見出されていない。皮肉なことだが、特殊相対性理論そのものがそういったタイムマシンの可能性を否定しているのである。
もう一度確認しておくが、過去に行くには「過去の世界」が実在していなくてはならないのである。しかし、どこをどう探しても、「過去の世界」は見つからない。過去は記憶の中、未来は想像の中にあるだけで、それもそれは現在想起しているだけのものである。
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