政府は、科学技術政策の基本方針「科学技術・イノベーション基本計画」の素案を策定し、19日に開く統合イノベーション戦略推進会議(議長・加藤官房長官)で示す。2021年度から5年間の研究開発への政府投資目標を過去最大の総額30兆円とし、人材育成を通じて日本の科学技術力の底上げを図るとともに、50年に温室効果ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルなどにつながる革新的な研究を後押しする。

 政府は基本方針を5年ごとにまとめている。21〜25年度の方針は6期目で、今年度内に閣議決定する。

 投資目標は、第5期で掲げた名目国内総生産(GDP)比1%(26兆円に相当)から4兆円積み増し、景気に左右されるGDPと連動しない設定に改める。官民合わせた投資額は120兆円とし、カーボンニュートラルなどで民間の研究開発を誘発する相乗効果を狙う。

 日本は若手研究者の雇用や研究環境が不安定など、人材育成面の課題が長年指摘されている。計画では若手の支援策として、博士課程の大学院生のうち年180万円以上の生活費相当額を支給する割合(18年実績で10・1%)を25年度までに3倍に引き上げ、2万2000人を支援する方針だ。研究の多様性を確保するため、学長、副学長、教授全体に占める女性の割合を23%に引き上げる。