【パームビーチ(米フロリダ州)時事】安倍晋三首相は18日(日本時間19日)、滞在先の米南部フロリダ州パームビーチでトランプ米大統領と約2時間会談し、共同記者会見で成果を発表した。両首脳は貿易取引の新たな協議を開始することで合意。首相が環太平洋連携協定(TPP)が最善との立場を示したのに対し、トランプ氏は「日本との2国間貿易協定の方が望ましい」と述べた。

 会談でトランプ氏は「米国は対日貿易赤字を縮小し、できれば均衡を達成したい」との意向を表明。首相は「21世紀にふさわしい自由で公正な枠組みをアジア太平洋地域に日米で拡大させていくことが大切だ」と語った。協議は、茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表が担当。協議結果は、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領による日米経済対話に報告する。

 首相は会見で「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始していく」と表明。「TPPが日米にとって最善と考え、その立場で議論に臨む」と述べた。米国による輸入制限に関しては「日本の鉄鋼・アルミニウムが米国の安全保障に脅威を与えることなく、米国の産業や雇用にも多大な貢献をしている」と述べ、理解を求めた。

 これに対し、トランプ氏は「日本と1対1で交渉したい」との立場。巨額の対日貿易赤字に懸念を示しつつ「新たな取引に合意できれば協議する」と語り、将来的に制限措置から日本を除外することに含みを持たせた。

 両首脳は対北朝鮮で、過去の過ちは繰り返してはならず、非核化に向けた具体的行動を求めていくことで一致。トランプ氏は6月初旬までに予定する金正恩朝鮮労働党委員長との会談について「もし実りあるものにならないと思ったら、会談しない」と述べ、成果に自信を示した。会談で日本人拉致問題を提起し、「拉致被害者をもう一度日本に戻すために最大限の努力をする」と約束した。