かんぽ生命保険は27日、顧客に不利益となった可能性がある保険契約の乗り換えが2014年以降、約2万3900件新たに見つかったと発表した。契約時の状況などを調査し、問題があれば旧契約に戻すなどの措置を取る。

 同社によると、保険契約を乗り換えようとして旧契約を解除後、健康状態などを理由に新契約を断られて無保険になった事例が過去5年間で1万5800件あった。また、乗り換え後に病歴などに関する告知義務違反が見つかり契約解除となったため、保険金が支払われなかった事例なども3100件あった。さらに、17年10月以降、乗り換えではなく特約切り替えなどで対応すべきだった契約が約5000件(推計)あったことも判明した。

 今後、契約者を戸別訪問するなどし解約で生じる不利益などの説明が適切だったかを確認する。今年度中に調査を終え、結果を公表する方針。

 同社では、2018年11月分だけで顧客が不利になる可能性がある契約の乗り換えが約5800件見つかった。総務省が改善を指導し客からの苦情も相次いだため、同社が改めて過去5年分の契約状況を調べた結果、発覚した。

 問題の背景として、営業を担う郵便局員がノルマを達成するために不適切な営業を行った可能性が指摘されている。また、大手生保が導入している、乗り換え時に新契約の審査が通らないと旧契約を解約できないシステムも未整備だった。かんぽ生命は、今回の事態を受けこのシステムの導入を決めた。【加藤明子】