感染症の専門家らで構成する新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)は5日、お盆期間の帰省を巡り、感染防止策の徹底や大人数での会食を控えることなど、高齢者への感染拡大防止に向けて注意を促すよう政府に提言した。感染防止策が取れない場合には、帰省について慎重に考慮するよう求めた。提言を受け、西村康稔経済再生担当相は記者会見を開き、提言に沿って注意を呼びかけるとともに、帰省の一律自粛は求めない考えを強調した。

 提言では、お盆休みの帰省で高齢者と接する機会や飲酒・飲食の機会も多くなると指摘。帰省する場合には感染拡大を防ぐため、基本的感染防止策(手指消毒やマスク着用、大声を避ける、十分な換気など)の徹底▽3密(密閉、密集、密接)を極力避けること▽大人数の会食など感染リスクの高い状況を控えること――などを求めた。

 そのうえで、これらの対応が難しい場合には、感染が収まるまでの当分の間、オンライン帰省や延期などを含めて「慎重に考慮」して対応するよう要請。発熱などの症状がある場合は帰省を控え、ホストクラブやキャバクラなど接待を伴う飲食店やカラオケ、ライブハウスなど「感染リスクが高い場所に最近行った」場合も「慎重に判断」するよう求めた。

 西村氏は会見で「お年寄りは重症化するリスクがあるので十分注意してほしい」と強調。帰省するかどうかや感染防止に向けた具体的な対応については「感染リスクも考えて、国民皆さんがそれぞれで判断してほしい」と述べた。

 政府は当初、7日に開く分科会での意見を踏まえて対策を発信する方針だった。だが、お盆が近いことから分科会側が提言を前倒しした。【竹地広憲】