任期満了に伴う東京都知事選が5日投開票され、無所属で現職の小池百合子氏(67)が、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)、元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)、NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏(52)ら無所属や諸派の新人21人を破り、再選を確実にした。新型コロナウイルス対策や、2021年夏に延期となった東京五輪・パラリンピックの大会簡素化の検討などを急ぐ。
衆院議員だった小池氏は16年の前回選で、自民、公明両党などの推薦候補らを破り初当選。今回は公明党と自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」から実質的な支援を受けた。自民党は自主投票としつつ、二階俊博幹事長が小池氏を支援する意向を表明。これに所属都議の一部が反発し、最後まで足並みがそろわなかった。
新型コロナ感染が続く中、小池氏は「3密」を避けるため街頭演説や集会は開催せず、有権者へのメッセージ動画をインターネット上で配信するなど「オンライン選挙」に専念。行財政改革や待機児童対策などの実績を強調した。
一方、立憲民主党など国政野党は当初、小池氏への対抗馬として統一候補の擁立を模索したが、実現できなかった。宇都宮氏は立憲、共産、社民の3党が支援。経済優先から医療や福祉の充実への転換を訴えたが及ばなかった。
小野氏は日本維新の会が推薦。コロナ対策と経済活動の両立を訴えたが、知名度不足が響いた。告示直前にれいわ公認での出馬を決めた山本氏は全都民への10万円給付や東京五輪の中止を掲げたが、野党票の分散を招く結果となった。立花氏は過度なコロナ自粛反対などを主張した。
今回の知事選は過去最多の22人が立候補。感染拡大を防ぐため、小池氏以外の各陣営も有権者との握手や街頭演説の事前告知を控えるなど異例の選挙戦となった。投開票所でもアルコール消毒液を設置したり、「3密」防止で開票作業に当たる職員を減らしたりするなどの対策が講じられた。