読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

新渡戸稲造が「武士道」を書いた動機

2007-09-09 09:55:50 | Weblog

新渡戸稲造の「武士道」を読んでいる。この書物がもともと英文で書かれたものである事も知らなかったが、彼がこの「武士道」を書く事になった動機についてその中で書いている。ある日、彼がベルギーの法政家のド・ラブレー氏と散歩している折、宗教問題に話題が移った。「日本の学校では宗教教育はされていない。」と新渡戸が言うとラブレー氏は驚いて「そんな事で道徳教育はどうして行われるのか。」と聞かれ答えに窮したと言うのである。新渡戸が少年時代に学んだ道徳教育は学校ではなかったからである。思考の後、自分の中にある善悪、正不正の観念は日本の武士道に有った事に気が付いたのだった。更に妻のメアリーから「日本人の思想や習慣はどのような理由によっているのか。」と質問され、即答出来なかった事が「武士道」を書く直接の動機であったと書いている。