読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

迷惑の本来の意

2007-09-06 11:19:43 | Weblog

世の中に迷惑の種は尽きないがこの語の意味は本来まるで違ったもので有った。中国最古の辞書「爾雅」に「迷は、惑なり」と有って「迷」と「惑」とは同義であった。事態の判断を見極められず動揺している状態を言う。中国語ではこの意味で現在も使われているそうだ。魏の時代、曹操の「苦寒行」と言う詩のなかに「迷惑して故路を失い、薄暮にも宿棲(やど)るところ無し」と言う部分が有り、ここでは迷惑は、今来た路も解らなくなるほど判断出来なくなった状態を言っている。日中国交正常化交渉で故田中角栄首相が歓迎会での挨拶で「戦争中、中国国民に多大な迷惑をかけた」と深く反省の意を表明したがこの「迷惑」の語は誤解を招いたのだった。