読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

杜撰

2007-09-05 09:53:07 | Weblog

国や社会保険庁の仕事の杜撰さや金利感覚の無さ、無責任さは怒りを通り越して呆れるばかりで信頼性が掻き消されたと言う人ばかりではないかと思う。さて「杜撰」の語についてである。語源とか意味などはよくクイズ番組に出るので知っている人も多いことだろう。この語は中国「宋」の時代に現れ、「野客叢書」と言う随筆にその説が有る。杜黙と言う人の詩には、詩の規則に合わないものが多く「杜」の「撰」(つく)った詩のいい加減さが一般に知られるようになり「杜撰」と言う語が出来たのだそうだ。しかしこの説には疑問が持たれている。「杜黙(ともく)」などと言う詩人は唐にも宋にも存在しないのだそうだ。普通名詞としての「杜黙」は「沈黙」の意だそうで他にも色々説が有るが信用出来ないそうだ。「杜撰」と言う語は宋代の書物に頻出し禅と共に日本に伝わったようで道元の「正法眼蔵」にも出ている。