らいふ

日々の想いと暮らしの足跡。

宮部みゆき「火車」再読

2018-06-16 20:45:54 | 観たもの聴いたもの読んだもの
10数年前、宮部みゆきの作品に夢中になった。

今夜は眠れない
蒲生邸事件
火車
龍は眠る
魔術はささやく
長い長い殺人
レベル7
理由・・・・などなど

どれもこれも面白かった。
推理小説だけれど、あたたかくて切ない。
人物や状況描写が「うん、わかる!」という感じ。
人にはその人の人生だけでなく、その人に関わった何人もの人の人生が映し出されている。
人と人がマスクメロンの網の目のようにつながり、からまっている。
その絡まりようがていねいに描かれている。

中でも「火車」は3回くらい読んだだろうか。
先日久しぶりに読んでみた。
犯人を駆り立てている「人生を清算したい」思い。
清算したいと思わざる負えない壮絶で悲しい過去。
借金とカードローン地獄の業火のように燃える「火車」が逃げても逃げても巡ってくる。

現代の消費社会でまっとうに生きていくことは難しい。
これでもかと物欲をあおってくるネットやテレビ。
それに乗せられ、ワンクリック、カード決済、少しだけならキャッシング…
働いて得た収入に見合う生活をしなければ、破綻するのは当たり前である。
その当たり前を巧妙にマスキングして迫ってくる売り手。

この情報化社会、大量消費社会を前にして、まずは、落ち着くことだ。
コメント (1)
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