朝ドラ「虎に翼」終わりました。
よく、○○ロスって聞きますが、まさにロスです。脱力。
ふつうのドラマではなかった。
外で働く人、家を守る人、男と女、LGBTQ、様々な人に光をあて、親子の問題や認知症、そして原爆裁判、尊属殺人、ブルーパージなど社会の問題にも切り込んで本当に濃いドラマだった。
印象深いシーンは数々あるけれど、直近の最終週であげれば、寅子が家族写真を見ながら「根本的に(母親に)向いてないのよね」とつぶやいたシーンです。
あれほど娘との溝をもがきながら埋めてきてなお、根本的に母親に向いていないと悩む寅子。
分かる、分かる。すごくリアル。
恥ずかしい話、ふいに涙が止まらなくなりました。
古希に近いと言うのに、なんだかいろんなことが「根本的に向いていないこと」に思えて。
「母親に向いてない」「仕事に向いてない」などなど対象は様々でも、根本的に向いてないとひそかに思いつつ、そのレールをひた走っている人はゴマンといるでしょう。
そんな多くの人の独り言をすくいあげてくれたようなセリフだった。
そういう細かいリアルさがあって目が離せないドラマだった。
大胆かつ繊細。
社会問題に切り込む朝ドラらしからぬ大胆さのなかに、人の心の繊細さ、弱さや本音。それらが織り交ぜられていて見ごたえが半端なかった。
そしてまた、たぶんこう展開するだろうなという風にはいかない点がよい。
裁判官の義理の息子が左遷にあい、家具職人になる決断をしたり、娘が大学院を辞めて雀荘に務めたり、道雄がすし屋をの二代目になるかと思いきや自信がないからと断ったりする。
生活の安定を何より望む我々にとっては、そのどれもが引き止めたい決断ばかり。
でも、そのどの決断も否定しない、心配しつつも自分の道は自分で決めることを第一とする寅子。
誰にも生き方を強要してはならないのだと、今ごろ気づかされました。
ドラマを貫く憲法14条の平等と尊厳とともに、誰もが特別なんだと言うメッセージもよかった。
寅子の対応が間違ったことで「特別」の本当の意味を知ることなく救われなかった美佐江が悲しかったけれど、取り返しのつかない失敗だって人生にはあると思う。
そこがまたリアル。
ところで、虎に翼の「翼」って何だったんだろう?
思うに、寅子にとっての憲法のように、その人の拠りどころとなるものなんじゃないでしょうか。
虎に翼が生えれば天下無敵。
天下無敵とまでいかなくても、その人を支え、少しでも羽ばたかせてくれる揚力のようなもの。
どう思いますか?
人生100年時代。
この先短いのか長いのかに限らず、何かを選択する場面もあるでしょう。
その時は自分の拠りどころと本音と相談して選択できればと思います。
自分勝手という意味ではなく、他人軸ではなくという感じで。
意外に難しいかもね。
他人軸で選択したほうが安心で楽だものね。
その時はこのドラマを思い出すことにしましょう。
最後に
最終回の紘一さんと花江さんの老けメイクが素晴らしかった!!