日本が生み出した「アンダークラス」の怖ろしい実態

2018年02月24日 | 政治社会問題
日本が生み出した「アンダークラス」の怖ろしい実態
2/24(土) 6:00配信 現代ビジネス
日本が生み出した「アンダークラス」の怖ろしい実態
写真:現代ビジネス
5つに分かれる日本の階級
 橋本健二さんの『新・日本の階級社会』は格差が固定化し、貧困が深刻な問題になっていることを実証的に示した好著だ。

 橋本健二氏は、現下日本の階級を、資本家階級、新中間階級、正規労働者、旧中間階級、アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)の5つに分ける。

 資本家階級は、大企業のオーナーや経営者だけでなく、従業員5人以上の零細企業経営者も含む254万人、就業人口の4・1%を占める。平均個人年収は604万円であるが、零細企業の社長を含むと平均はこんなところなのだろう。平均資産総額は4863万円、その内、金融資産は2312万円だ。

 新中間階級は高学歴の事務職や技師が中心で、1285万人で就業人口の20・6%を占める。平均個人年収は499万円で、資産の平均額は2353万円だが、持ち家がその多くを占める。持ち家のない人の平均額は935万円だ。

 正規労働者は、それほど高いスキルを要求されない仕事に従事する労働者で、2192万人いる。就業人口の35・1%を占め、5つの階級の中では最多数だ。平均個人年収は370万円で、資産の平均額は1428万円だ。資産の大部分が持ち家などの不動産であることは新中間階級と同様で、持ち家を持たない人の平均額は406万円である。

 旧中間階級は、自営業者と家族従業者により構成され、806万人いる。就業人口に占める割合は12・9%である。平均個人年収は303万円であるが、共働きのケースが多く、世帯年収は587万円になる。資産の平均額は2917万円だ。

 最も悲惨なのは、アンダークラスだ。929万人いて、就業人口の14・9%を占める。

 <企業規模は、正規労働者と同じく幅広く分布している。職種は、男性ではマニュアル職が57・9%と約6割を占め、残りはサービスと販売が多い。女性では事務、販売、サービス、マニュアルがほぼ4分の1ずつである。

 より詳しく職種をみるため、2015年のSSM調査(引用者註*「社会階層と社会移動全国調査」)データで10人以上になる職種を列挙すると、販売店員(47人)、総務・企画事務員(20人)、料理人(18人)、給仕係(18人)、清掃員(15人)、スーパー等のレジスター係・キャッシャー(13人)、倉庫夫・仲仕(12人)、営業・販売事務員(11人)、介護員・ヘルパー(11人)、その他の労務作業者(10人)の10職種だった。

 販売店員と非正規の事務職に加えて、ビジネスや人々の生活を下支えする、さまざまなサービス職とマニュアル職が含まれていることがわかる>


アンダークラスは増え続ける
 現下の日本経済は、アンダークラスに属する人々に依存せずには成り立たないのである。だが、その労働条件も待遇も、悲惨な状況に置かれている。

 労働時間でも <週平均労働時間は36・3時間と他に比べれば短いが、実際には全体の50・9%(男性57・1%、女性45・9%)までが週40時間以上働いており、労働時間の上でフルタイムと変わらない人が過半数である。

 平均個人年収は、186万円と極端に低い。平均世帯年収は343万円だが、これは同居家族のいる一部の中所得世帯によって引き上げられた平均値であり、63・8%は350万円未満、さらに24・1%は200万円未満である。このため貧困率は極端に高く、38・7%に上っており、とくに女性では47・5%にも達し、さらに夫と離死別した女性となると63・2%である>。

 シングルの女性は日本社会でとても厳しい状況にさらされている。資産についても、他の階級に属する人々と比べ、かなり低い。

 <平均資産総額は1119万円だが、やはりこれも持ち家による部分が大きく、持ち家のない人ではわずか315万円である。また資産がまったくない人の比率が31・5%に上っているのも特徴となっている>

 この経済状態だと、結婚して子どもを育てることが難しい。そのことが数字にも表れている。

 <何よりもきわだった特徴は、男性で有配偶者が少なく、女性で離死別者が多いことである。男性の有配偶者はわずか25・7%で、未婚者が66・4%に上っている。アンダークラスの男性が結婚して家族を形成することが、いかに困難であるかがよくわかる。

 女性の場合、既婚者は定義の上でパート主婦に含まれるため、すべてが無配偶者だが、このうち離死別者の比率は年齢とともに上がり、20歳代が11・5%、30歳代が37・5%、40歳代が60・9%、50歳代では80・0%である。

 未婚のままアンダークラスであり続けてきた女性がかなりの数いる一方、既婚女性が夫との離死別を経てアンダークラスに流入してくるようすがうかがえる>

 アンダークラスに属する人々は今後増えると見られている。

 <総合研究開発機構(NIRA)は、次のような試算を行っている。若者の非正規労働者が激増しはじめたのは、いわゆる「就職氷河期」と呼ばれた時代である。この時期に社会に出た若者たちの一部が、そのまま非正規労働者にとどまり、今日のように巨大なアンダークラスが形成されたのだった。

 NIRAは、この世代が老後に生活保護を受けるようになった場合に、必要になる追加の費用を推計した。これによると、就職氷河期の到来は、2002年までに非正規雇用者と無業者を191・7万人増加させたが、このうち77・4万人が65歳になった時点で生活保護の対象となる。

 彼ら・彼女らが残りの生涯にわたって生活保護を受け続けたとすると、その費用は17・7兆円から19・3兆円になるという>。

 アンダークラスを減らすための手を打たないと社会に壊滅的打撃を与える。

 『週刊現代』2018年3月3日号より
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍昭恵夫人が広告塔「300億... | トップ | 労働者階級に“アンダークラス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治社会問題」カテゴリの最新記事