中国がコロナ報告義務違反や隠ぺい等で賠償請求される可能性も

2020年04月30日 | 国際紛争 国際政治 



中国がコロナ報告義務違反や隠ぺい等で賠償請求される可能性も

4/30(木) 7:05配信

NEWS ポストセブン
中国がコロナ報告義務違反や隠ぺい等で賠償請求される可能性も

米中関係に注目が集まる(写真/AFP=時事)

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、米国と中国が衝突を繰り返している。中国が初動対応で感染情報を隠蔽した可能性を念頭に、ドナルド・トランプ米大統領が「中国が故意に引き起こしたなら報いを受けるべき」と発言すると、中国側は「中国も被害者であり加害者ではない」「エイズは最初に米国で発見されたが、米国に責任追及した者はいるのか」などと反論した。

 作家で経済評論家の渡邉哲也氏はこう言う。

「米国や英国は、WHOに中国の潔白を証明するよう訴えています。しかも、武漢での感染拡大当初、中国に言われるがまま1週間近く新型ウイルスの公表を遅らせたWHOの調査は信用ならないとして、第三者機関でやるように求めています。

 また米国は、WHOのテドロス事務局長と中国との間に金銭的癒着がないか“洗って”もいます」

 一連の調査で中国によるWHOへの報告義務違反や隠蔽が認められれば、重過失として中国に賠償義務が生じ、各国からの請求が相次ぐ可能性があるというのだ。英シンクタンクも「米英や日本などG7の損失は約4兆ドルに及び、中国はこれを賠償すべき」と報告している。

 もちろん中国が素直に応じるはずはない。その場合、米国が講じる最も強硬な手段として考えられるのが、中国が保有する米国債の「無効化」をチラつかせることだ。

「米国債の無効化は、米国の国際緊急事態経済権限法(IEEPA)に基づき、理論的には可能です。そこまで行かなくても、各国にある中国政府系の資産を凍結・没収することはあり得る。もしそうなれば米中経済戦争の勃発です」(同前)

 そうしたなか、中国は南シナ海に新たな行政区を設置すると発表。世界的な感染拡大を尻目に、南シナ海の実効支配を進めている。同海域で領有権を争うベトナムをはじめ各国は怒り心頭だ。

“世界に先駆けて新型ウイルスを克服した”と自信を深める中国がこれ以上の野放図な振る舞いを続ければ、新興国を含む国際社会が協調して包囲網を形成する展開も考えられる。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号
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駐日中国大使の奇妙な主張

4/28(火) 23:01配信

Japan In-depth
駐日中国大使の奇妙な主張

孔鉉佑 駐日中国大使(2020年1月13日)

「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国政府の対応は「透明でオープン」と駐日中国大使が寄稿。
・同じ紙面に大使の見解を真っ向否定する記事が掲載。
・中国の奇妙な発信はこんごも続く。多角的な読み方が不可欠。
駐日中国大使の奇妙な主張

永田和宏氏

中国政府はいまや新型コロナウイルスの感染について当初にとった隠蔽や虚報の工作を否定する国際キャンペーンに全力をあげる形となった。日本では読売新聞4月25日朝刊に載った駐日中国大使の寄稿もその一環だといえる。武漢でのウイルス発生に対して中国政府が当初にとった態度は透明でオープンだったと断言するのだ。

ところがその読売新聞の同じ日の同じ朝刊にその駐日大使の主張を真正面から否定する日本の細胞生物学者の解説が掲載された。同じ新聞に同じ課題についてまったく相反する主張を載せるのも報道機関の開かれた対応だといえよう。だがその結果、同中国大使の言明はなんとも苦しく奇妙な主張として映った。

読売新聞が掲載したのは日本駐在の中国大使の孔鉉佑氏の寄稿だった。「助け合って難局を乗り切ろう」という見出しだが、主体は中国政府のコロナウイルス感染への対応は一貫して正しかったとする主張だった。

その内容には以下のような記述があった。

「感染が勃発すると、中国政府はオープン・透明、責任ある態度で、いち早く情報を公表し、進んで世界保健機関(WHO)や関係諸国と予防・抑制と治療の経験を共有した」
「昨年12月末、湖北省武漢市の疾病制御センターが原因不明の肺炎症例を発見した。今年1月3日、中国はWHOと各国に正式に感染情報を通告した。1月12日、新型コロナウイルスの遺伝子配列情報を全世界と共有した。1月21日から国家衛生健康委が毎日、感染情報を発表した」

さて以上のような孔大使の主張はこれまで武漢市当局や中国政府当局が実際にとってきた言動とは明らかに異なる。中国側の当局は上記の期間に新たな感染症が発生したと指摘した現地の医療関係者たちを沈黙させて、懲罰し、「人から人には感染しない」と言明したり、新型コロナウイルスの実態を国際的に通告することも怠ってきた記録が中国側にさえ厳存する。

しかし中国政府はいまになって、こうした事実とは異なる発表をするのも、それなりに動機は理解できよう。問題は日本側がそれをどう受け止めるか、である。より具体的にはこの孔大使の主張を読んだ読売新聞の読者がどう認識するか、だろう。

ところがこの点では読売新聞側は故意か偶然か、おもしろい対応を示した。同じ4月25日の朝刊に孔大使の見解を真っ向から否定する記事を載せたのだった。

その記事は解説ページの大きなトップ記事、歌人、かつ細胞生物学者の永田和宏氏の見解だった。読売新聞大阪文化部の浪川和子記者が永田氏にインタビューして、見解を聞き、まとめた形をとっていた。

「ウイルス どう共生するか」とか「コロナとの向き合い方」という見出しがついていた。


この記事で永田氏は今回のコロナウイルスの大感染に関して「人類の歴史から学ぶことはできますか」という質問に答えるなかで以下の点を明確に強調していた。

「新型コロナウイルスの場合、中国・武漢の医師が昨年末の時点で、警鐘を鳴らしたにもかかわらず、当局は『デマだ』として医師を処分した。あってはならないことで、情報開示がいかに大切かがわかります」

永田氏が指摘する「武漢の医師」とは、李文亮医師のことである。武漢の病院で働いていて、コロナウイルス感染患者の多発についてインターネットで最初に警鐘を発した李医師は当局に弾圧され、沈黙を命じられて、処罰を受けた。その後、まもなくコロナウイルスに感染して亡くなった34歳の中国人男性だった。

孔大使の主張にはこの種の事実はツユほども示唆していない。李医師の身に起きたこと一点だけをみても、中国政府の対応は「オープン・透明、責任ある態度」とはおよそ異なる実態だったことが明白となる。

この日の読売新聞の注意深い読者ならば、永田氏の解説からこうした側面にも思いを馳せて、駐日中国大使の主張の奇妙さに気がついたはずである。

中国当局からのこの種の発信はこんごもますます増えるだろうから、こうした多角的な読み方でそれらに接することが欠かせないわけである。

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)




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