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中国は称賛、世界からは大批判…あまりにもお粗末なWHO「コロナ調査団報告書」

2021年04月06日 | 国際紛争 国際政治 


中国は称賛、世界からは大批判…あまりにもお粗末なWHO「コロナ調査団報告書」

4/6(火) 7:01配信
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現代ビジネス
「発生源を特定」できていない…

写真:現代ビジネス

 新型コロナウイルス感染症の発生源の解明を目指して、中国の武漢を訪問した世界保健機関(WHO)の調査団報告が先月末(3月30日)、ようやく発表された。

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 ところが、その内容は、国際的な専門機関のものとは思えないお粗末な仕上がりだ。中国との共同研究という体裁を採ったことが仇になったようである。

 報告書は4つのシナリオを提示して、「動物から中間宿主(別の動物)を介してヒトに感染した」という説を最も有力だとする一方で、中国のウイルス研究所から流出したというトランプ前アメリカ政権が主張していた説は「極めて可能性が低い」と結論付けた。

 しかし、いずれもが推測の域を出ておらず、肝心の「発生源を特定する」という目的も果たせなかったのだ。

 結局のところ、WHOと中国に対する国際社会の不信感は払しょくできず、新たな感染症リスクに対してWHOが予防という使命を果たせない恐れを露わにした。このままでは、人類は感染症に立ち向かう前に国際政治の駆け引きで共倒れになりかねない。

 今週は、この悲惨な現状を概観し、打開策を探ってみよう。

 今回の報告書のタイトルは、「COVIT-19ウイルスの起源に関するWHOの国際調査:中国編」(WHO‐convened Global Study of Origins of SARS-CoV-2:China Part)で、「2021年1月14日から2月10日のWHO・中国の共同調査」(Joint WHO-China Study 14 January-10 February 2021)という副題が付き、筆責を「共同執筆」(Joint Report)としている。

 実物はWHOのホームページに掲載されているが、PDFファイルで120ページに及ぶ。構成や論理は整然と整理されている半面、真実の特定には程遠い内容となったのが特色だ。
米国の主張とは真逆の結果に

 新型コロナの発生源として、4つの仮説を可能性が大きいものからランク付けして指摘。この4つは、武漢のフィールド調査が終了した段階で、調査団が記者会見した際には、ランク付けをせずに列挙していたものだ。

 調査書のランク付けをみると、一番可能性が高いのが「動物から中間宿主(別の動物)を介してヒトに感染」したケースで、「考えられる、または非常に可能性が高い」と位置付けた。

 根拠は、コウモリやセンザンコウから新型コロナとよく似たウイルスが見つかっていること、他にも中間宿主を介してヒトに感染したウイルスが存在することだという。

 2番目は、「動物からヒトへの直接の感染」で、「可能性がある、または考えられる」とした。この根拠は、コウモリとの接触機会が多いヒトからコウモリのコロナウイルスに対する抗体が見つかったことである。

 3番目は、中国が熱心に主張してきた「海外から武漢に持ち込まれた」という説だ。「可能性はある」という表現で、否定しなかったのだ。

 輸入した冷凍食品のパッケージの外側から新型コロナウイルスが見つかった例から低温に耐える特性が明らかになっているというが、実際に感染した証拠がないため、3番目のシナリオにとどめたとしている。

 最後が、中国科学院の武漢ウイルス研究所からウイルスが流出したという説だ。米国がかねて強く主張していた説だが、新型コロナ確認時(2019年12月)以前に、類似ウイルスを扱っていた研究所がないとして、「極めて可能性が低い」と突き放した。


テドロス自身が報告書の不備を列記

 4つのランク付けはもっともらしく見えるものの、いずれも推測の域を出ていない。実際に、ヒトへの感染がいつ、どこで起きたのか、どういう経路を辿って感染が広がったのかという肝心の部分が特定されていないのだ。

 つまり、今後の予防策として決め手になることはほとんど解明できなかった。これでは、調査報告として合格点を与えられない。

 そして、驚くべきことに、WHOを率いるテドロス事務局長自身が報告書発表の席で、その不備を列挙した。

 テドロス発言のポイントは、(1)調査団は生データの入手で困難に直面した、(2)調査が十分だったとは思わない、(3)ウイルス研究所からの流出説は更なる調査が必要だ、(4)報告書は重要な一歩だが、これで終わりではない、(5)発生源をまだ発見していない――といった点だ。

 テドロス氏は結論として、4つの仮説のすべてに可能性が残っていると主張。ランク付けを否定したうえで、さらなる調査が必要だと表明したのである。

 WHOの報告書に対する評価は、中国と中国以外で対照的だ。

 中国は即座に、「調査に参加した専門家が示した科学的な精神を称賛する」とのコメントを発表した。

 ただし、テドロス発言には、中国外務省の華春瑩報道官が北京で開いた定例記者会見で、「科学を尊重し、科学者の意見と結論を尊重する必要がある」と反発。

 さらに、WHO調査団に派遣された中国側責任者を務めた疫学者の梁萬年氏は、「どれだけ問題を理解しているのか分からない」とテドロス氏の理解力に疑問を投げかけたうえで、「分析が十分だったかそうでなかったかは、科学者と歴史が判断するべきだ」と言い放った。
中国不信を増幅させる悪循環

 これに対し、日本、米国、英国、韓国など14か国の政府は、報告書の公表に合わせて共同声明を発表、「WHOが行った中国での調査に懸念を表明する」と強い疑念を投げかけた。

 返す刀で、「我々は新型コロナの発生源について、干渉や不当な影響を受けず、透明性のある独立した分析や評価が行われることを支持している」と論じ、「国際的な専門家による調査が大幅に遅れ、完全なデータやサンプルにアクセスできなかったことに懸念を表明する」とも述べて、改めて中国のデータ提供や調査団受け入れが遅れた問題を厳しく批判した。

 一方、14ヵ国声明は、中国批判だけでなく、「全てのデータが揃っていれば、国際社会はCOVID-19の起源を独立して評価し、このパンデミックから貴重な教訓を得て、将来の病気の発生による壊滅的な結果の招来を防ぐことができる」「我々は、WHOと協力して能力を強化し、世界の健康安全保障を向上させ、将来の感染症の発生を探知し、それに備え、対応する世界の能力に対する人々の信頼を得られるよう取り組んでいく」と強調したことは、今後に繋がる重要なメッセージだろう。これこそが、調査の目的であり、WHOの存在意義だからだ。

 また、WHOのテドロス事務局長とEUのミシェル大統領は3月30日、欧州やアジアの25カ国の首脳と連名で、今後のパンデミックの脅威に「国や機関が単独で立ち向かうことはできない」として、国際社会の実効のある協力を目指す「パンデミック条約」締結を呼びかけた。

 新条約のもとで、感染症の速やかなデータ共有やワクチン・治療薬の開発協力の枠組みを確立することが狙いで、今年5月のWHO年次総会で議論するという。

 振り返れば、中国は昨年初めの段階で、把握していた情報を速やかにすべて開示しなかったことから、国際的な不信を招いた。折からの米中の対立激化と欧州の中国不信の高まりに直面、中国は態度を硬化させて情報統制を強めたばかりか、WHOに介入して事態を取り繕おうと試みた。その結果、中国不信を増幅する悪循環に陥ってしまった。

 習近平体制には難しい選択だろうが、ここは原点に立ち戻り、率直に失敗を認めたうえで改革を公約しない限り、中国に対する世界的な不信感が容易に解消することはないだろう。

 中国問題は厄介だが、感染症に関する情報の共有や予防・治療策の確立に、国際的な協力と連携が不可欠なことも、また事実だ。新たなパンデミック条約が締結されて、国際的な協力と連携が円滑に進む体制が構築されることを強く望みたい。

町田 徹(経済ジャーナリスト)



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