「Go To停止は意味がない。コロナ第3波は峠を越えた」京大ウイルス学者・宮沢孝幸氏の見解
12/17(木) 8:31配信
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週刊SPA!
京都大学ウイルス学者・宮沢孝幸准教授
コロナ第3波による「医療崩壊」の危機が連日報じられている。PCR検査によって炙り出された新規陽性者数は高止まりし、死者・重症患者ともに過去最高を更新。受け入れ上限に近づく病床の逼迫を危ぶむ声は日に日に大きくなっている。
⇒【図解】「目玉焼きモデル」による感染拡大・収束のメカニズム
そんななか、コロナそのものの脅威を懐疑的に見る一人のウイルス学者に注目が集まっている。コロナ報道のあり方を批判し、一向に収まる気配の見えない第3波についても「すでに峠を越えている」と唱えるが、果たして、その真意はどこにあるのか?
猛威を振るう「コロナ第3波」
「コロナ第3波」が猛威を振るっている――。
大阪市や旭川市が不要不急の外出自粛や時短営業を要請し、35都道府県も移動の自粛を呼びかけているが、12月16日には、東京都の新規陽性者数が過去最多となる678人を数え、12日には全国でも初めて3000人の大台を突破。大阪府と北海道では、自衛隊に災害派遣を要請する事態となっている。
医療現場からも、悲痛な叫びが聞こえる。
大阪府のコロナ中等症専門病院・大阪市立十三市民病院では、11月末までに医師と看護師ら32人が大量退職。北海道旭川でも、地域最大の基幹病院・旭川厚生病院で大規模クラスターが発生。
「医療崩壊」を懸念する声も日に日に高まっており、日本医師会の中川俊男会長は「地域医療が瀬戸際に追い込まれる状況にあり、全国どこでも起こる可能性が非常に高い」と主張。政府分科会の尾身茂会長も「ステージ3相当の地域はGo Toを含めて、人の動き・接触を控えるべき」と国会で答弁し、政府を牽制した。
そして政府は12月28日から来年1月11日まで「Go To トラベル」の一時停止を発表。国を挙げた「抑圧政策」に再び舵を切ったようだ。そんななか、「すでに第3波はほぼピークアウトしている」と断言し物議を醸しているのが、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授だ。
「Go Toが感染拡大の原因でない」と考える宮沢氏
11月には、ABEMA TVのニュース番組で、「(感染拡大は)Go Toトラベルがきっかけにはなっている」と食い下がる元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に対して「Go Toで救われてる命もあるんだぞ!」とブチ切れ、ネット上で大炎上。
累計9万部のヒット作『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』の続編『コロナ論2』(12月18日発売)のなかでも、「コロナ懐疑派」のパイオニア的論客である著者・小林よしのり氏と共に、「感染の恐怖を煽っている」としてメディアや専門家を痛烈に批判している。
果たして「第3波」が終わったとする根拠はどこにあるのか……? 今回、そんな「異端のウイルス学者」を直撃した。
――政府は、Go Toトラベルを12月28日から来年1月11日まで停止することを発表しました。
「医療崩壊を防ぐためというのが主な理由だが、人口当たりの感染者数、死者数が日本の数十倍の欧米で医療崩壊した国はないし、現在の感染者数で日本で医療崩壊が起きることはない。
そもそも、日本では毎年10万人以上が肺炎で亡くなっており、こうした人たちは人工呼吸器を使用するが医療崩壊など起きたことはない。コロナ患者の入院基準を点数化した神奈川県では、以前は65歳以上なら無症状でも入院させていたが、こうした過剰な対応が医療現場を圧迫していたのでしょう」
過剰な対応が医療現場を圧迫している?
「実際、神奈川県の当局者も、こうした措置により『新たに入院する人を半分程度に抑えられるのではないか』と話している。言い換えれば、本当に入院が必要な人の2倍もの患者を医療機関は抱えていたわけで、これでは現場が逼迫するのも無理はないし、こうしたことは神奈川県に限ったことではないのではないか。その意味では、新型コロナをSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と同様に扱う感染症法の『二類相当』への指定をいまだに続けている悪影響は、ことのほか大きい。
また、大阪の十三市民病院のように、重労働で感染リスクが高いにもかかわらず、賃金が高いわけでもない上にボーナスがそれほど出ない……待遇面を理由に、医療従事者が現場から離脱するケースが最近増えているが、これはコロナによる医療崩壊というより、病院経営の問題でしょう。ただ、春先の第1波から懸命に治療にあたってくれている医療従事者に報いるのは当然だし、国は早急に手当するべきです」
「GoToが感染を拡大させたという科学的根拠」が示されない
「Go Toについても、実は、感染を拡大させたという科学的根拠は一切提示されていない。そもそも、日本医師会の中川会長は『エビデンスがなかなかはっきりしない』と言いながら、『(感染拡大の)きっかけになったことは間違いない』と、科学者とはとても思えないような発言をしている……。彼は観光業や飲食業に携わる人々の苦境は眼中にないのでしょう」
「議論になった札幌にしても、Go Toトラベルから除外されていた東京発着が対象になったのは10月1日だが、9月中旬の札幌市では連日20人近くの感染者が出ており、これが今回の感染拡大の火種になったと考えるほうが自然です。
仮に、Go To事業で観光地の感染が拡大しているなら、首都圏から多くの人が旅行に訪れた石川県の感染者も増えているはずだが、10月の感染者数はゼロの日も多く、1か月の累計はわずか34人にとどまり、第3波が到来している今も低水準で推移している。福岡県も観光客が多いが、同様に感染者12月初旬まで低水準を保っている。
こうしたことは、私が考案した感染拡大・収束の『目玉焼きモデル』ですべて説明できます」
「目玉焼きモデル」とは
――「目玉焼きモデル」とはどういうものですか?
「5つの同心円の真ん中をゾーン1、外側に向かってゾーン2~5に区分し、各ゾーンは場所・状況を表します。ゾーン1は接待を伴う特殊な『夜の街』で、ゾーン2はどんちゃん騒ぎの飲食店など。ゾーン3は一般人エリアで、ゾーン4はかなりの感染予防をしている人々。そしてゾーン5がステイホームで巣ごもりしている人々です。
感染拡大の火がつくのは、目玉焼きの黄身に当たるゾーン1で、ゾーン2に飛び火して延焼(感染拡大)はするものの、ゾーン3はRt(実効再生産数)が小さいので、ここに飛び火してもすぐに鎮火(感染収束)する。ゾーン4と5ではなおさら感染は拡大しない。石川県や福岡県で今感染者が少ないのは、ゾーン1と2は第1波と第2波でほぼ燃え尽くされて焼け野原となり、これ以上燃え広がりようがないからです。
一方、ゾーン3~5に感染の火種が入っても、日本では多くの人が過剰なほどに防衛しているので拡大しない。『感染の炎』はまず黄身の部分が燃え始め、外側の白身に向かって徐々に延焼するが、前述したように燃えた部分の感染は収束フェーズに入る。
今回の第3波で感染が拡大したのは、冬の低温と乾燥によってウイルスが強くなり、一方、低温による人の免疫低下も相俟って、黄身(ゾーン1)の周縁に新たな黄身が出現したからだが、すでに第3波はほぼピークアウトしています」
「東京都は11月17日に第3波がピークアウト」と見る根拠
――第3波はすでにピークアウトと断言するが、東京都では新規陽性者数が過去最高を更新し、全国でも感染が急拡大しています。
「東京都の『発症日別の感染者数』を見ると、11月17日の320人をピークに緩やかに減少に転じた後、12月5日には224人と下降トレンドに入っており、東京の第3波はすでにピークアウトしていると言っていい」
「発症日ベースでは11月17日にピークアウトしたのは、データから明らかです。では、感染日ベースのピークアウトはいつかというと、新型コロナは感染から4日から14日程度で発症するので、11月10日前後ということになる。東京都が飲食店に時短営業を要請したのは11月28日の遥か前にピークアウトしていたわけで、『発症日別の感染者数』が減少したのは自粛したからではなく、自然減が理由と考えるべきです」
移動制限に大した効果は期待できない?
「同様に大阪府も、11月18日にピークアウトしている。『推定感染日別の陽性者数』を見ても、11月12日の332人をピークに減少していることがわかる。新型コロナは発症から約10日後に重症化することが多いが、実際、大阪府の重症者数はピークの12日後の11月30日の14人が最多で、その後、減少している。
ただし、これは第3波の『第1波』の話です。
東京都で過去最高の感染者が出たのは、第3波の『第2波』が到来し、下降トレンドに入っている『第1波』と重なった結果、感染者数が増加している可能性がある。
だが、『第1波』がピークアウトした事実は揺るがない。
第1波がピークアウトした後に緊急事態宣言が発出されたように、自粛要請のタイミングは感染増加の後追いにならざるを得ないので、経済を止めるという代償を払うに値する効果など、初めから期待しにくいのです。仮に、それでも移動制限や外出自粛を要請したとしても、もともと感染リスクの低いゾーン3、4の人々をステイホームのゾーン5に押しやるだけで、大した効果は期待できない」
歌舞伎町より家庭内の感染対策を
「東京や大阪など大都市の『夜の街』は、夏の第2波までにほぼ燃え尽くされた。だから、第3波で新宿・歌舞伎町でクラスターがほとんど発生していないのです。燃え切ったゾーンに時短要請を行って、消火のために水をかけても効果が乏しいのは当然です。現在は家庭内感染や寮など集団生活でのクラスターが目立つので、ここへの感染対策を集中的に行ったほうが効果的でしょう。
また、発症日別の陽性者数と新規陽性者数との乖離の問題もある。行政はピーク時の感染者増を受けて、濃厚接触者をトレースしてPCR検査をかけ、新たな感染者を掘り起こしているので、当然、新規陽性者数は増加する。
ところが、ここで見つかった陽性者は無症状者が大多数で、無症状者は当然だが発症していないので、発症日別の感染者数にはカウントされない。だから、発症日別の陽性者数はピークアウトしているのに、新規陽性者数が増える一因になっている。感染させる能力がない無症状者をPCRでわざわざ炙り出して、新規陽性者数を積み上げているようなものです」
「さらに、最近、問題視されているのが、東京都外の陽性者が東京都の陽性者としてカウントされていることです。
検体の唾液を検査機関に送る郵送検査が普及し始め、都内に通勤も通学もしない都外在住の陽性者が東京都の陽性者数として計上されるケースが相次いでいる。
都内に郵送検査を行う医療機関が集中しており、検査で陽性の診断が出た場合、感染症法の規定上、都内の保健所に届けられてしまうからだが、こうしたことも日々発表される新規陽性者数と実態が乖離する一因になっている」
自説を唱え始めた「コロナ懐疑派」の研究者たち
――感染者増を受けて、テレビに出演する専門家の大多数は、これまで以上にコロナの恐怖を説いている。一方、アカデミズムの世界では「コロナ懐疑派」の研究者たちも、自説を唱え始めているという。例えば…。
・第2波が到来した7月時点で、「新型コロナに対して抗体の発動が非常に遅いのは、毒性が弱いため生体が抗体を出すほどの外敵ではなく、自然免疫での処理で十分と判断しているから」と説いた高橋泰・国際医療福祉大学大学院教授
・「新型コロナはウイルスのなかでは、多少厄介な程度」で「感染しておくほうが、むしろ有利。自粛などしないで、ふつうに生活を送ればいい」と抑制政策を一蹴した免疫学の「世界的権威」、奥村康・順天堂大学特任教授
・「日本はすでに集団免疫を獲得しているので、欧米に比べ極端に死者が少ない」と話す上久保靖彦・京都大学特定教授
・「(抗体を)持たない人でも、自然免疫をしっかり持っていればそれほど心配しなくていい。抗体保持率=感染者の割合、ではない。保持率だけを見て、一喜一憂すべきではない」と主張する宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授
といった面々だ。
「テレビに出る専門家にウイルスのプロはいない」
宮沢氏もそんな1人なのだろう。
「テレビに出る専門家に、ウイルスのプロはいない。私は本当のことを言うから、先日も決まっていたテレビ出演が流れたばかりです(苦笑)。
新型コロナを巡っては、政策は世論に引っ張られ、世論はメディアに誘導される。そんな現状を覆さないと、日本経済は取り返しがつかないことになり、コロナによる死者を遥かに上回る経済死が出かねない……。
今や、肩書きだけの専門家はコロナの恐怖を煽るばかりだが、そんな専門家より小林よしのりさんがウイルスを深く理解しているのは、少なからず驚きでした。協力して、何とか閉塞した日本を変えていきたい」
【宮沢孝幸氏】
京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授。専門は獣医ウイルス学、レトロウイルス学、内在性レトロウイルス学。病原性ウイルスのだけでなく、非病原性ウイルスも研究対象とする。93年、東京大学大学院農学系研究科博士課程を、東大史上初の飛び級で修了。博士(獣医学)。グラスゴー大学博士研究員、東京大学助手、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン客員研究員、大阪大学微生物病研究所助手、帯広畜産大学助教授を経て現職。
<取材・文/齊藤武宏>
東京感染800人超に都庁焦り「感染爆発」恐れも
12/17(木) 19:08配信
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日刊スポーツ
東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議に臨む小池百合子知事(撮影・足立雅史)
東京都で17日、過去最多を大幅に上回る822人の新型コロナウイルス新規感染者が確認された。発表に先立つ専門家を交えた会議では、医療提供体制に関する4段階の警戒度を、初めて最高レベル(赤色)の「逼迫(ひっぱく)していると思われる」に引き上げることを決定。小池百合子都知事は個人や家庭での予防徹底を呼び掛けたが、東京都医師会の猪口正孝副会長は早急な新規感染者数減少の必要性を主張。首都東京で年の瀬に「感染爆発」へ発展する恐れも出てきた。
【写真】「東京アラート」が発令され、赤く点灯された東京湾に架かるレインボーブリッジと東京タワー
◇ ◇ ◇
東京の新規感染者数が前日16日の678人から144人増と、一気に急増した。2日連続で過去最多。小池知事は、都庁で開いたモニタリング会議で「死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ。この3つを柱として都民の命を守りたい。新しい日常、正しく予防が何よりも大事」と主張。個人、家庭、職場、事業者、それぞれの感染予防徹底をあらためて呼び掛けた。
同会議では、医療提供体制に関する警戒度が、初めて最高レベルに引き上げられた。東京医師会の猪口副会長は「入院患者の引き続く増加傾向にともない、コロナ感染症患者のための医療と、通常医療との両立が困難な状況となった」と、強い危機感を表明。「新規陽性者数の増加を抑制するための対策を強化し、重症者患者数の増加を防ぐことが最も重要」と分析した。 都では先月末から酒類を提供する飲食店などに営業時間短縮を要請。「Go To トラベル」に関しても、65歳以上の高齢者や持病を持つ方に対して自粛を求めており、18日以降は年齢制限なく継続する。対策は取っているはずが、新規感染者の減少にはつながっていない。「Go To-」の全国一時停止が始まる28日を前に、警戒度は最高レベル。感染状況も含めて逼迫(ひっぱく)してきた。猪口氏は「医療的に言えば、とにかく新規陽性者数を減らすしかない」と、悲痛な本音を漏らした。
都は、重症患者用250床を含む3000床の病床を用意し、さらに約4000床までの準備を要請している。16日時点の入院患者数は1960人だが、一時は2000人を超えた。軽症者用の宿泊療養施設も4000室を確保したが、このまま推移すれば、年内に1日の新規感染者が1000人を超えるとの分析も。これまで経験したことがない危機的状況が毎日続き、都庁では焦りと困惑が広がるばかりだ。【鎌田直秀】
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⇒【図解】「目玉焼きモデル」による感染拡大・収束のメカニズム
そんななか、コロナそのものの脅威を懐疑的に見る一人のウイルス学者に注目が集まっている。コロナ報道のあり方を批判し、一向に収まる気配の見えない第3波についても「すでに峠を越えている」と唱えるが、果たして、その真意はどこにあるのか?
猛威を振るう「コロナ第3波」
「コロナ第3波」が猛威を振るっている――。
大阪市や旭川市が不要不急の外出自粛や時短営業を要請し、35都道府県も移動の自粛を呼びかけているが、12月16日には、東京都の新規陽性者数が過去最多となる678人を数え、12日には全国でも初めて3000人の大台を突破。大阪府と北海道では、自衛隊に災害派遣を要請する事態となっている。
医療現場からも、悲痛な叫びが聞こえる。
大阪府のコロナ中等症専門病院・大阪市立十三市民病院では、11月末までに医師と看護師ら32人が大量退職。北海道旭川でも、地域最大の基幹病院・旭川厚生病院で大規模クラスターが発生。
「医療崩壊」を懸念する声も日に日に高まっており、日本医師会の中川俊男会長は「地域医療が瀬戸際に追い込まれる状況にあり、全国どこでも起こる可能性が非常に高い」と主張。政府分科会の尾身茂会長も「ステージ3相当の地域はGo Toを含めて、人の動き・接触を控えるべき」と国会で答弁し、政府を牽制した。
そして政府は12月28日から来年1月11日まで「Go To トラベル」の一時停止を発表。国を挙げた「抑圧政策」に再び舵を切ったようだ。そんななか、「すでに第3波はほぼピークアウトしている」と断言し物議を醸しているのが、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授だ。
「Go Toが感染拡大の原因でない」と考える宮沢氏
11月には、ABEMA TVのニュース番組で、「(感染拡大は)Go Toトラベルがきっかけにはなっている」と食い下がる元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に対して「Go Toで救われてる命もあるんだぞ!」とブチ切れ、ネット上で大炎上。
累計9万部のヒット作『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』の続編『コロナ論2』(12月18日発売)のなかでも、「コロナ懐疑派」のパイオニア的論客である著者・小林よしのり氏と共に、「感染の恐怖を煽っている」としてメディアや専門家を痛烈に批判している。
果たして「第3波」が終わったとする根拠はどこにあるのか……? 今回、そんな「異端のウイルス学者」を直撃した。
――政府は、Go Toトラベルを12月28日から来年1月11日まで停止することを発表しました。
「医療崩壊を防ぐためというのが主な理由だが、人口当たりの感染者数、死者数が日本の数十倍の欧米で医療崩壊した国はないし、現在の感染者数で日本で医療崩壊が起きることはない。
そもそも、日本では毎年10万人以上が肺炎で亡くなっており、こうした人たちは人工呼吸器を使用するが医療崩壊など起きたことはない。コロナ患者の入院基準を点数化した神奈川県では、以前は65歳以上なら無症状でも入院させていたが、こうした過剰な対応が医療現場を圧迫していたのでしょう」
過剰な対応が医療現場を圧迫している?
「実際、神奈川県の当局者も、こうした措置により『新たに入院する人を半分程度に抑えられるのではないか』と話している。言い換えれば、本当に入院が必要な人の2倍もの患者を医療機関は抱えていたわけで、これでは現場が逼迫するのも無理はないし、こうしたことは神奈川県に限ったことではないのではないか。その意味では、新型コロナをSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と同様に扱う感染症法の『二類相当』への指定をいまだに続けている悪影響は、ことのほか大きい。
また、大阪の十三市民病院のように、重労働で感染リスクが高いにもかかわらず、賃金が高いわけでもない上にボーナスがそれほど出ない……待遇面を理由に、医療従事者が現場から離脱するケースが最近増えているが、これはコロナによる医療崩壊というより、病院経営の問題でしょう。ただ、春先の第1波から懸命に治療にあたってくれている医療従事者に報いるのは当然だし、国は早急に手当するべきです」
「GoToが感染を拡大させたという科学的根拠」が示されない
「Go Toについても、実は、感染を拡大させたという科学的根拠は一切提示されていない。そもそも、日本医師会の中川会長は『エビデンスがなかなかはっきりしない』と言いながら、『(感染拡大の)きっかけになったことは間違いない』と、科学者とはとても思えないような発言をしている……。彼は観光業や飲食業に携わる人々の苦境は眼中にないのでしょう」
「議論になった札幌にしても、Go Toトラベルから除外されていた東京発着が対象になったのは10月1日だが、9月中旬の札幌市では連日20人近くの感染者が出ており、これが今回の感染拡大の火種になったと考えるほうが自然です。
仮に、Go To事業で観光地の感染が拡大しているなら、首都圏から多くの人が旅行に訪れた石川県の感染者も増えているはずだが、10月の感染者数はゼロの日も多く、1か月の累計はわずか34人にとどまり、第3波が到来している今も低水準で推移している。福岡県も観光客が多いが、同様に感染者12月初旬まで低水準を保っている。
こうしたことは、私が考案した感染拡大・収束の『目玉焼きモデル』ですべて説明できます」
「目玉焼きモデル」とは
――「目玉焼きモデル」とはどういうものですか?
「5つの同心円の真ん中をゾーン1、外側に向かってゾーン2~5に区分し、各ゾーンは場所・状況を表します。ゾーン1は接待を伴う特殊な『夜の街』で、ゾーン2はどんちゃん騒ぎの飲食店など。ゾーン3は一般人エリアで、ゾーン4はかなりの感染予防をしている人々。そしてゾーン5がステイホームで巣ごもりしている人々です。
感染拡大の火がつくのは、目玉焼きの黄身に当たるゾーン1で、ゾーン2に飛び火して延焼(感染拡大)はするものの、ゾーン3はRt(実効再生産数)が小さいので、ここに飛び火してもすぐに鎮火(感染収束)する。ゾーン4と5ではなおさら感染は拡大しない。石川県や福岡県で今感染者が少ないのは、ゾーン1と2は第1波と第2波でほぼ燃え尽くされて焼け野原となり、これ以上燃え広がりようがないからです。
一方、ゾーン3~5に感染の火種が入っても、日本では多くの人が過剰なほどに防衛しているので拡大しない。『感染の炎』はまず黄身の部分が燃え始め、外側の白身に向かって徐々に延焼するが、前述したように燃えた部分の感染は収束フェーズに入る。
今回の第3波で感染が拡大したのは、冬の低温と乾燥によってウイルスが強くなり、一方、低温による人の免疫低下も相俟って、黄身(ゾーン1)の周縁に新たな黄身が出現したからだが、すでに第3波はほぼピークアウトしています」
「東京都は11月17日に第3波がピークアウト」と見る根拠
――第3波はすでにピークアウトと断言するが、東京都では新規陽性者数が過去最高を更新し、全国でも感染が急拡大しています。
「東京都の『発症日別の感染者数』を見ると、11月17日の320人をピークに緩やかに減少に転じた後、12月5日には224人と下降トレンドに入っており、東京の第3波はすでにピークアウトしていると言っていい」
「発症日ベースでは11月17日にピークアウトしたのは、データから明らかです。では、感染日ベースのピークアウトはいつかというと、新型コロナは感染から4日から14日程度で発症するので、11月10日前後ということになる。東京都が飲食店に時短営業を要請したのは11月28日の遥か前にピークアウトしていたわけで、『発症日別の感染者数』が減少したのは自粛したからではなく、自然減が理由と考えるべきです」
移動制限に大した効果は期待できない?
「同様に大阪府も、11月18日にピークアウトしている。『推定感染日別の陽性者数』を見ても、11月12日の332人をピークに減少していることがわかる。新型コロナは発症から約10日後に重症化することが多いが、実際、大阪府の重症者数はピークの12日後の11月30日の14人が最多で、その後、減少している。
ただし、これは第3波の『第1波』の話です。
東京都で過去最高の感染者が出たのは、第3波の『第2波』が到来し、下降トレンドに入っている『第1波』と重なった結果、感染者数が増加している可能性がある。
だが、『第1波』がピークアウトした事実は揺るがない。
第1波がピークアウトした後に緊急事態宣言が発出されたように、自粛要請のタイミングは感染増加の後追いにならざるを得ないので、経済を止めるという代償を払うに値する効果など、初めから期待しにくいのです。仮に、それでも移動制限や外出自粛を要請したとしても、もともと感染リスクの低いゾーン3、4の人々をステイホームのゾーン5に押しやるだけで、大した効果は期待できない」
歌舞伎町より家庭内の感染対策を
「東京や大阪など大都市の『夜の街』は、夏の第2波までにほぼ燃え尽くされた。だから、第3波で新宿・歌舞伎町でクラスターがほとんど発生していないのです。燃え切ったゾーンに時短要請を行って、消火のために水をかけても効果が乏しいのは当然です。現在は家庭内感染や寮など集団生活でのクラスターが目立つので、ここへの感染対策を集中的に行ったほうが効果的でしょう。
また、発症日別の陽性者数と新規陽性者数との乖離の問題もある。行政はピーク時の感染者増を受けて、濃厚接触者をトレースしてPCR検査をかけ、新たな感染者を掘り起こしているので、当然、新規陽性者数は増加する。
ところが、ここで見つかった陽性者は無症状者が大多数で、無症状者は当然だが発症していないので、発症日別の感染者数にはカウントされない。だから、発症日別の陽性者数はピークアウトしているのに、新規陽性者数が増える一因になっている。感染させる能力がない無症状者をPCRでわざわざ炙り出して、新規陽性者数を積み上げているようなものです」
「さらに、最近、問題視されているのが、東京都外の陽性者が東京都の陽性者としてカウントされていることです。
検体の唾液を検査機関に送る郵送検査が普及し始め、都内に通勤も通学もしない都外在住の陽性者が東京都の陽性者数として計上されるケースが相次いでいる。
都内に郵送検査を行う医療機関が集中しており、検査で陽性の診断が出た場合、感染症法の規定上、都内の保健所に届けられてしまうからだが、こうしたことも日々発表される新規陽性者数と実態が乖離する一因になっている」
自説を唱え始めた「コロナ懐疑派」の研究者たち
――感染者増を受けて、テレビに出演する専門家の大多数は、これまで以上にコロナの恐怖を説いている。一方、アカデミズムの世界では「コロナ懐疑派」の研究者たちも、自説を唱え始めているという。例えば…。
・第2波が到来した7月時点で、「新型コロナに対して抗体の発動が非常に遅いのは、毒性が弱いため生体が抗体を出すほどの外敵ではなく、自然免疫での処理で十分と判断しているから」と説いた高橋泰・国際医療福祉大学大学院教授
・「新型コロナはウイルスのなかでは、多少厄介な程度」で「感染しておくほうが、むしろ有利。自粛などしないで、ふつうに生活を送ればいい」と抑制政策を一蹴した免疫学の「世界的権威」、奥村康・順天堂大学特任教授
・「日本はすでに集団免疫を獲得しているので、欧米に比べ極端に死者が少ない」と話す上久保靖彦・京都大学特定教授
・「(抗体を)持たない人でも、自然免疫をしっかり持っていればそれほど心配しなくていい。抗体保持率=感染者の割合、ではない。保持率だけを見て、一喜一憂すべきではない」と主張する宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授
といった面々だ。
「テレビに出る専門家にウイルスのプロはいない」
宮沢氏もそんな1人なのだろう。
「テレビに出る専門家に、ウイルスのプロはいない。私は本当のことを言うから、先日も決まっていたテレビ出演が流れたばかりです(苦笑)。
新型コロナを巡っては、政策は世論に引っ張られ、世論はメディアに誘導される。そんな現状を覆さないと、日本経済は取り返しがつかないことになり、コロナによる死者を遥かに上回る経済死が出かねない……。
今や、肩書きだけの専門家はコロナの恐怖を煽るばかりだが、そんな専門家より小林よしのりさんがウイルスを深く理解しているのは、少なからず驚きでした。協力して、何とか閉塞した日本を変えていきたい」
【宮沢孝幸氏】
京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授。専門は獣医ウイルス学、レトロウイルス学、内在性レトロウイルス学。病原性ウイルスのだけでなく、非病原性ウイルスも研究対象とする。93年、東京大学大学院農学系研究科博士課程を、東大史上初の飛び級で修了。博士(獣医学)。グラスゴー大学博士研究員、東京大学助手、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン客員研究員、大阪大学微生物病研究所助手、帯広畜産大学助教授を経て現職。
<取材・文/齊藤武宏>
東京感染800人超に都庁焦り「感染爆発」恐れも
12/17(木) 19:08配信
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東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議に臨む小池百合子知事(撮影・足立雅史)
東京都で17日、過去最多を大幅に上回る822人の新型コロナウイルス新規感染者が確認された。発表に先立つ専門家を交えた会議では、医療提供体制に関する4段階の警戒度を、初めて最高レベル(赤色)の「逼迫(ひっぱく)していると思われる」に引き上げることを決定。小池百合子都知事は個人や家庭での予防徹底を呼び掛けたが、東京都医師会の猪口正孝副会長は早急な新規感染者数減少の必要性を主張。首都東京で年の瀬に「感染爆発」へ発展する恐れも出てきた。
【写真】「東京アラート」が発令され、赤く点灯された東京湾に架かるレインボーブリッジと東京タワー
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東京の新規感染者数が前日16日の678人から144人増と、一気に急増した。2日連続で過去最多。小池知事は、都庁で開いたモニタリング会議で「死亡者を出さない、重症者を出さない、医療提供体制の崩壊を防ぐ。この3つを柱として都民の命を守りたい。新しい日常、正しく予防が何よりも大事」と主張。個人、家庭、職場、事業者、それぞれの感染予防徹底をあらためて呼び掛けた。
同会議では、医療提供体制に関する警戒度が、初めて最高レベルに引き上げられた。東京医師会の猪口副会長は「入院患者の引き続く増加傾向にともない、コロナ感染症患者のための医療と、通常医療との両立が困難な状況となった」と、強い危機感を表明。「新規陽性者数の増加を抑制するための対策を強化し、重症者患者数の増加を防ぐことが最も重要」と分析した。 都では先月末から酒類を提供する飲食店などに営業時間短縮を要請。「Go To トラベル」に関しても、65歳以上の高齢者や持病を持つ方に対して自粛を求めており、18日以降は年齢制限なく継続する。対策は取っているはずが、新規感染者の減少にはつながっていない。「Go To-」の全国一時停止が始まる28日を前に、警戒度は最高レベル。感染状況も含めて逼迫(ひっぱく)してきた。猪口氏は「医療的に言えば、とにかく新規陽性者数を減らすしかない」と、悲痛な本音を漏らした。
都は、重症患者用250床を含む3000床の病床を用意し、さらに約4000床までの準備を要請している。16日時点の入院患者数は1960人だが、一時は2000人を超えた。軽症者用の宿泊療養施設も4000室を確保したが、このまま推移すれば、年内に1日の新規感染者が1000人を超えるとの分析も。これまで経験したことがない危機的状況が毎日続き、都庁では焦りと困惑が広がるばかりだ。【鎌田直秀】
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