わが家がなくなる 社会福祉法人破産、無念のホーム入所者

2018年12月31日 | 病気 余命を考える 死を迎える準備


わが家がなくなる 社会福祉法人破産、無念のホーム入所者

12/30(日) 14:25配信

カナロコ by 神奈川新聞
わが家がなくなる 社会福祉法人破産、無念のホーム入所者

職員手作りのクリスマス飾りに彩られたリビングで別れの時を待つ入所者(左)と職員=二宮町川匂のグループホーム「かわわの家」

 神奈川県大磯、二宮両町で高齢者介護施設などを運営する社会福祉法人「大磯恒道会」(大磯町)が12月、東京地裁に破産を申し立てた。帝国データバンクによると、負債額は6億4400万円。別法人が事業を継承することとなったが、両町の2事業所は休止する方針だ。このうちグループホーム「かわわの家」(二宮町川匂)では年内の休止に向け、入所者の他施設への移動が慌ただしく進んでいた。「わが家がなくなる」-。入所者や家族、職員たちは無念の思いを抱えたまま、年越しを迎えようとしている。

【写真】破産が申請された法人のグループホーム

 12月24日、冷え切った朝だった。クリスマスツリーが飾られた「かわわの家」のリビング。この日限りで施設を退去する入所者の遠藤純子さん(89)=仮名=に、職員の山西志保さん=仮名=が寄り添って、語りかけた。

 「この家は古いから工事をするの。ちょっとの間の引っ越しだから。私たちも後から必ず行くからね。大丈夫だよ」

 心配をかけまいとする精いっぱいのうそだった。認知症がある遠藤さんは外に運び出される衣装ケースやクリスマスツリーを見ながら動揺した様子を見せる。

 「不安だよね。私も不安だよ」

 山西さんはぽつりとつぶやいた。

  ■■

 破産の知らせから間もなく、施設を年内で休止させることが法人から伝えられた。11月に14人いた入所者は受け入れ先が決まった順に施設を去り、遠藤さんも同町内の特別養護老人ホームへの移動となった。

 「ここが終(つい)のすみかと思っていたのに」と憤るのは遠藤さんの長女・伸代さん=仮名。遠藤さんは3年ほど前から認知症の症状が進み、家族が受け入れ先の施設を探したものの、満床などを理由に断られることもあった。

 最終的にかわわの家に決めたのはアットホームな雰囲気に引かれたからだ。小さな平屋建てに、リビングから直接、庭に出ることができる間取り。料理も裁縫もできる。「母は庭いじりも家事も好きな人だったから」。そんな環境だからこそ家族の最後の時間を託すことができたはずだった。

 入所して1年半がたってからの退去の通告。「母は物ではない。特別養護老人ホームでこれまでのようなきめ細かいサポートが受けられるかどうか」と伸代さんは不安を募らす。別の職員も「認知症には環境の変化が一番良くない。健康状態にも影響がなければいいが」と懸念する。

 最後に残った入所者の女性も27日に移動を終えた。「職員も入所者もみんな家族のような場所。その家があっという間に全部なくなってしまった。今は喪失感しかない」。閑散としたリビングを見つめる山西さんは、使命感だけで乗り越えてきたここ数年の苦悩を振り返り、声を詰まらせた。
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sm0***** | 22時間前

職員や入所者、家族の気持ちを考えるとやりきれないですね。経営者がどんな人なのかは分かりませんが、本望では無いのかもしれません。
確かに福祉施設は利益を追及してはいけないとは思いますが、民間経営である以上、ある程度の利益を維持し、より良いサービスを追及する必要があるような気がします。
知人が運営する病院が福祉施設を併設していますが、福祉施設の損失を病院の利益で補填するケースもあるようです。
人材不足に加えて高齢者は増える一方、行政は一定の補助金を支給するだけで腫れ物に触るような改革しか出来ていません。
利益だけを目的とした福祉施設があるのは事実です。
今後このような記事が増えるかもしれませんね。

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返信54
xxxxxxxxxxxx | 21時間前

矛盾した業界だからな
利益を追求したら入居者は富裕層に限られるだけど、どんなに善意に満ち足りても利益を追求しないと経営が成り立たない。労働者だけを見ても他業界と取り合うわけで、給料の競争になれば、法的にも不利な介護業界は負ける。単純に言えば価格転嫁ができないのだから

あと、経営者が自分たちの利益優先や頭が軽すぎて気軽に手を出したり、コンサル優先したりも数多くある。

人材不足も他業界と給料競争になりにくいようにした外国人を安く使うバカな単純な対策をとる始末。母国が発展なり、他の良い仕事があり買えられた時や日本で働く価値が無くなった時の事を考えない。今はまだ来てくれる人達いるが、将来もなんて限らない前提を無視する。

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返信12
kiy***** | 19時間前

同業者ですが、今の国からのお金や点数計算程度では小さければ小さい程施設や事業所の経営は難しいでしょう。だからと言って入居費用をあげても入居者さん全員がお金があるわけではないし、金額で施設を選ぶ人も多いのが事実。やってる側からしてみれば誰でも入居してきてほしいけどお金の事を考えると介護度の高い人が優先になってしまっている。国はそのお金の事だけを考えて特養の条件に要介護3以上としたのか、何も分かってない人が現場環境も見ずに書面上だけで決めたのか分からないが、介護度が上がれば医療度も上がるのだから必然的に看護師の24時間体制が必要になる。特養の経営状態では看護師の配置も必要最小限にしたいはずなのに、この条件によって経営圧迫となってしまっている。その結果特養の空室が目立ち始めた。国はもっと現場の人の話しを聞いて色々決めてほしいと思う。

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返信13
カレーライス | 21時間前

自分も福祉施設に勤めているのですが今年度初めて赤字に転落したそうです。
大幅な見直しが入り来年度から食事面に関して数千万をかけた大きな改革が行われるのですが
理事がザル勘定過ぎて呆れている次第です。
これはどうするんですかと聞いても分からないと答えることが多く不安を感じています。

利益を追求したらダメと言うのを止めてほしいです。
ある程度追求しないと補助金頼みでは破綻してしまいます。
このまま補助金が想定以下が続くと10年以内に自分のところも潰れると思います。

人件費や光熱費、食材費、介護用品など様々なものが値上がりしているのにいつまで経っても利用者の料金は据え置き。
将来的に社会福祉法人は成り立たなくなりそうです。

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返信16
yam***** | 19時間前

デイサービスで25名程度、高齢者住宅で10名程度で細々と経営してます。いや・・きついですよ民間の単独では。16年やってますが、国からの給付金が下がって。昔は送迎加算で一人900円程度あったのが0。食事の提供加算で300円ほどあったのも0。基本の介護報酬も1割は下がってる。合わせて2割は下がってます。民間の単独施設じゃ補てんできない状態。近くの民間のデイは全部つぶれて経営者変わってます。うちだけ16年続けてますよ。職員の給与を上げてるので16年勤務もいます。食費も自前で作って、保護の方のために300円。当然介護はしっかりやってます。嫁が看護師なんでなんとかですが、二人で50万位しか取れません。その分職員には出してるのが、いいのかも。いやーとにかくきついですよ。もう少し国も質で評価死してほしい。変なとこも多いけど、頑張ってるとこもあるのだから。今は一律の給付なので、不公平です。

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返信13
dre***** | 21時間前

今後も高齢者が増えていく一方で、同じような事例も増えていくのだろう。あまり長生きするのも居心地の良いものではないのかも。
自分が老いたとき、身体が自由にならなくなったとき
安楽死を選択できる世の中、仕組みができているといいなぁ。

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返信5
yum***** | 21時間前

この法人の規模で、6億円の負債を出したら、なかなか返済は難しいと思います。元々、人手不足ですから、リストラをする訳にもいかないですし(赤字の事業所を閉鎖する手段はありますが)、介護報酬という中で運営している制度ビジネスなので、急激に収益をあげるのは難しいですからね。
元々、薄利なので、定員割れを起こすと、すぐに赤字になってしまうのも問題だと思います。要介護者は増えていますし、社会保障費を抑えないといけないのもわかりますが、やはり介護報酬をもう少し上げないと厳しいのではないでしょうか。

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返信3
wyx***** | 18時間前

介護保険の改定の度に痛手を負う介護業界。職員確保も困難で業務もキツく、給料も安い。
社福は利益を追求出来ない。でも、いずれ有料も特養並みの金額になり競争は激化する。日々社会に合わせて経営や業務を考えなくてはならない。さらに有料と違って地域貢献もしなければいけない。
経営破綻してしまうまでになったのは残念ですが、このような施設はこれから増えるでしょう。
今の医療・福祉業界を立て直すには、年齢問わず医療・介護保険の負担を3割にすべき。この高齢者社会で高齢者を守るためにその他大勢の社会を支える人が潰れてしまう仕組みではダメだと思う。介護保険もずっとピンピンしてて使わない人にとっては不公平感しかないし。
いい加減、高齢の議員さんがこーゆーの決めるのやめて欲しい。若い世代にバトンタッチしてほしい。

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返信2
chi***** | 20時間前

介護保険が来る前から この国の福祉を支えていたのは社会福祉法人

その運営は とても厳しくとんとんの収支決算にしなければならない

現場では洗濯機が壊れても買い替える資金さえない
現場職員にも しわ寄せで給料も上がらず現状維持が続いてる

かつて介護保険が来る前は 寄付援助であり なんとかやりくりできた

かつてないほどの厳しい現状
運営維持の為 最低限の営利を認められなければ
破産はどんどん増えてゆく その為には 法の改正が必要

法の改正前に 他の社会福祉法人の体力が持つかといえば持たない

今回は氷山の一角でしかない 雪崩のように増えてゆきます

医療費削減 介護報酬削減など 様々な因果関係があるから どれがとはいえない

気づいた先には 誰もいない施設が増えてゆくと思います

それが悲しい現実であり 政府が起こした政策の一環だから…

186 15

返信3
bom***** | 1日前

社福と言うか、補助金事業で成り立っている法人全般に対し言えることですが、書類だけの審査では、行政の監査が甘いと思います。
つい先日も、利用者から預かった保証金を未償却にも関わらず、収益に計上するなどして役員の報酬として着服するという記事がありました。
確かに、社福やNPOなどは、本来の目的が営利の追求ではないので、赤字の運営も仕方ない部分はあると思いますが、
運営を継続する為には経営体質を改善することも必要でしょう。役員報酬などカットするのに一番やりやすいところではないでしょうか?
もう一つ、所轄官庁は、補助金を減らされたくない為の虚偽の報告にも注意を払わないといけないでしょう。
所轄官庁の監査能力を高めるのが良いと思いますが、一朝一夕にはいかないので、税務署と連携するか、不正取引解明のノウハウを教えてもらう等、行政も横断的な連携すると良いんじゃないかと思います。







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