狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

2009-12-11 20:21:00 | 日録
              


 夕飯時テレビをつけたら偶然にも「今年の世相を表すひと文字は「新」-。」のニュースがながれてきた。お馴染み清水寺での「奥の院」で、森清範貫主が「新」の文字を大きく揮毫する映像である。

 年の瀬を具に感じる昨今、1年があっという間に過ぎ去ってしまった想いが突き刺さるー。「今年の漢字」はこの時期に毎年発表する恒例行事だからである。
 だが今年は、主催者である日本漢字能力検定協会の全理事長が、背任容疑で逮捕されるという不祥事が表沙汰になったことなどから、どうなるのか、小生も気にはなっていたものの、ここへ来てすっかり忘れていたところだった。
 まあ、みんな(オレも)が楽しみにしていることだし、大いに喜びたい。
 ニュースに依ると、今年の応募数は過去最多の16万余通なる由が全てを物語る。
応募漢字の以降は「薬」「政」「病」の順だったそうである。また昨年は「変」だったと思う。

 「新」ねえ!ちょっと暮れの時節柄ボクにはピント来ないところもあるけれど、新しいことは決して悪いことではない。反して「古い」ことは全部悪いわけではあるまいが、次々暴きだされる長期政権の「膿」は、とどまる処を知らぬ程奥深いゆえ、特に新鮮なものを期待したい願いも含まれているのではあるまいか。
 戦後、長い間つんぼ桟敷におかれた臣民が、「真実はこうだ!!」と、連日のラジオ番組でこれでもか、これでもかというほど聞かされたあの頃の世相が心によぎる。
 「新」は確かに良い。しかしボクはおなじ音読みでも「真」の方が、真実味があって今の世相にピッタリ合っているような気がしてならないのだ。