恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

それが国家百年の教育のやり方か

2006年11月02日 | 教育基本法・教科書
■ 「やらせ」のタウンミーティング

 9月に青森県で行われた「教育改革タウンミーティング」において、政府は参加者に対し、教育基本法改定案に「賛成」の立場で質問するよう依頼する「やらせ」を仕組んでいたことが明らかになりました。
 内閣府、青森県教育庁などは、依頼した相手に文部科学省が作成した発言例を渡し、発言の仕方について「趣旨を踏まえて自分の言葉」で、「『お願いされて』とか『依頼されて』と言わないで下さい」など、事細かに指示を出していたことも報じられています。

 幅広い国民と直接、意見交換を行い、その声に耳を傾けるために設けられたのが、タウンミーティングだったはずです。
 それを政府が「やらせ」を仕組み、改定推進の雰囲気を演出するという姿勢は、本気で国民の声に耳を傾けようとしていないことの表れであり、厳しく非難されるべきだと思います。

■ 国民から逃げる政府

 しかし教育基本法に関して、政府が国民の声を聞こうとしないのは、これだけではありません。
 重要法案では必ず行われる「地方公聴会」についても同じです。
 前回の通常国会で教育基本法改定案の採決を急いだ政府・与党は、審議時間が予定の半分ほどしかなかった時点で、野党側に「地方公聴会」開催を持ちかけました。野党は、審議時間が不十分であることを理由にこれを受け入れませんでした。
 今国会で法案の審議が進む中、政府・与党は前回の野党側の拒否を理由に、地方公聴会の「省略」を主張しました。これに対し野党は、国民全体に関わる重要な問題であるとして、47都道府県で地方公聴会を開くよう主張しました。
 結局、11月8日にわずか4都市で開催されることが決まりました。たった4箇所での限られた時間の公聴会で、一体どれほどの声が聞けると言うのでしょうか。

 政府・与党は正に形ばかりで「アリバイづくり」のような地方公聴会を行い、その翌日・翌々日と、一気に総括質疑、委員会採決、本会議採決に持ち込もうという構えです。
 国民がその中身をよおく分からない内に、一気に逃げ切ってしまおうという意図が見え見えです。

■ 安倍首相の嘘

 そんな政府・与党ですが、言うことだけは立派です。
10月26日に送られた「安倍内閣メールマガジン」には、こう書かれています。

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「教育再生会議」は、昨日(10月25日)、2回目の会議を開きました。17人のメンバーがそれぞれの教育改革を熱く語っておられ、議論が尽きません。皆さんが、現場に根ざした意見を述べられるので、どれも説得力があります。この議論の輪を大いに広げ、多くの意見に耳を傾けながら、国家百年をつくる教育の再生に全力を尽くしたいと思っています。
――――――――――――――――――――――――――――――

 この記事は実に示唆に富んでいます。
 教育の問題は、安倍首相やその側近が好き勝手に選んだ、わずか17人の間でさえ「議論が尽きない」ほどの問題です。
 その17人の顔ぶれを見るに、本当に「現場に根ざした意見」を述べることができる人物は一体何人いるでしょうか。
 逃げることばかりを考えている政府・与党が、よくこれだけ厚顔無恥な嘘が吐けるものだと驚きます。

■ 国家百年の「恥」

 現行の教育基本法の改定に対し、世論の大勢は「慎重に」「時間をかけて」という立場です。
 これを全く無視し、法案成立を急ぐあまりの政府ぐるみの「やらせ」、昨年の郵政民営化法案にも満たない審議時間、たった4箇所だけの地方公聴会など、どれを取っても極めて姑息かつ強引であり、明らかに拙速です。
 安倍首相の「この議論の輪を大いに広げ、多くの意見に耳を傾けながら」という言葉が大変しらじらしく思えてなりません。

 教育基本法は長きにわたり、教育の憲法として重んじられてきました。
 これを改め、「国家百年をつくる教育」を目ざすというのであれば、百年後に恥じない法案で、百年後に恥じない審議を尽くし、百年後に恥じない合意形成を図るべきです。
ところが、法案の中身は戦前回帰、審議は拙速、合意形成にあっては「やらせ」や「簡略化」、さらに首相はしらじらしい嘘ばかり、という有様を見過ごしたのでは、私たちはずっと子どもたちに恥じ続けなければならないように思います。


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