恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

福田首相への手紙

2007年11月01日 | 国会・政党・選挙
内閣総理大臣 福田 康夫 様

 謹啓 初めてご挨拶申し上げます。
 遅れ馳せながら、先の内閣総理大臣ご就任を、心よりお祝い申し上げます。

■ 利権化と私物化

 さて、去る10月29日、守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問が行われました。防衛利権に群がる関連企業の接待攻勢、そしてそれを食い物にしてきた実態に驚かされました。
 福田首相が記者会見で述べられた「悪質」「非常識もいいところだ」との言葉、正に同感です。調達・購入の原資は言うまでもなく税金であり、それを利権化し、私物化することなど絶対に許されるものではないと思います。

■ 飛躍的な増加

 ところで、私は先日2008年度予算の概算要求を拝見しました。その防衛省分について気になる点がありましたので少し申し上げたいと思います。
 「89式小銃」の調達数が近年、高い伸びを示しています。04年度までは毎年約3,000丁前後でしたが、05年度には7,084丁、06年度6,869丁、07年度6,424丁と、従来の2倍以上になり、そして08年度の概算要求では、20,005丁です。飛躍的な増加です。

 この「89式小銃」を製造しているのは、愛知県清須市にある豊和工業(株)という企業です。豊和工業はこの「89式小銃」以外にも、「81㎜迫撃砲L16」「120㎜迫撃砲RT」を防衛省に納めています。恐らく随意契約です。
 この3品目の防衛省との取引額は、ここ3年間、27億円、25億円、28億円とほぼ横ばいでしたが、今回の概算要求では約68億円と、こちらも2倍以上の金額が計上されています。

■ 天下りと集金

 この豊和工業ですが、やはり防衛省からの天下りを受け入れています。ここ数年では、01年12月に一等陸佐、04年1月に陸将、05年5月には陸将補を採用しています。

 さらに、豊和工業の社長は、「国民政治協会」の理事、そしてその愛知県支部の支部長を務めています。総理もご承知の通り、「国民政治協会」とは、自民党の政治資金団体として個人・企業・団体などから金を集め、その金を自民党に流している「集金団体」です。
 同協会に対する豊和工業の寄附は毎年140万円と比較的小額ですが、愛知県内での自民党の「集金」を取り仕切る支部長である以上、その発言力は決して小さくはないと思われます。愛知県は民主党が強い地ですが、自民党も、首相経験者を含め16名の現職国会議員を輩出しているのですから。

■ 「癒着構造の中心」自民党

 総合しますと豊和工業は、防衛省OBの天下り先、自民党にとっては「集金企業」という有難い存在であり、その見返りとして防衛省と自民党は豊和工業への発注を増やそうとしている、という癒着の実態が浮かび上がってきます。

 多くの省庁で取り沙汰されてきた天下りと随意契約の問題は、会計検査院や国会から厳しい指摘・追及を受けています。また、自民党あるいは自民党議員への「利権の還流」についても、かねてから多くの批判を浴びてきたところです。
 天下りが最も多い官庁は防衛省です。その数は毎年、天下り全体の約半数を占めています。また、その天下りの監視が他の省庁とは違い、防衛人事審議会という他省庁とは別の機関の手続きを踏むことや、その可否を判断する基準が極めて甘く、言わば「野放し」に近いということも、問題の原因だと思います。
 加えて、豊和工業に限らず、国民政治協会という自民党の「集金団体」である国民政治協会の役員には、公共事業など国と取引きのある企業の経営陣がずらりと並んでいます。
 すなわち、税を原資とする国の歳出を利権化し、私物化するという、自民党と国民政治協会の存在が、この癒着構造の中心にあると言わざるを得ません。

■ 福田首相、官房長官時代の決意

 さて、こうした政官財癒着の構造については、総理も頭を痛めておられることと思います。総理は官房長官時代、国会で次のように述べられている通りです。

・「政官財の癒着とか利益の誘導政治が行われないように努めるとともに、税金のむだ遣いなどが起こらないように努力していかなければいけない」(2002年1月25日 衆議院予算委員会)

・「いやしくも所管の官庁とそれから業界が疑念を持たれるというようなことがあってはならない」(2002年10月30日 衆議院内閣委員会)

 私は、そのご決意に深く賛同致しますし、今こそ総理が当時の決意に従い、こうした癒着構造に徹底してメスを入れられるものと信じたいと思います。

■ 最後に

 総理は自民党総裁というお立場もお持ちですが、自民党や政治資金団体に絡むことだからと、その決意を揺るぐるようならば、それこそ一大事です。今回の「悪質」「非常識もいいところだ」というご自身のコメントが、総理ご自身に降りかかることになるのではないかと案じます。

 向寒の候、総理にはくれぐれもご自愛下さるようお祈り申し上げますとともに、「政官財の癒着」「利益の誘導政治」を断ち切るとの決意を決してお忘れになることなく、真に国民のための政治を体言されますよう、心より祈念致します。
謹白

【参考】

■ 防衛省・自衛隊(予算等の概要)
■ 防衛人事審議会答申等
■ 国民政治協会
■ 豊和工業(株)
■ 国会会議録検索システム


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
福田総理の住所は? (どこかのやつ)
2007-11-13 10:20:12
福田総理の住所ほどこですか??
教えてくださいm(・_・)m

返信する
福田首相のご住所について (goo-needs)
2007-11-15 18:08:03
どこかのやつ様

 はじめまして。
 さて、お尋ねのありました件について、下記の通りお答え致します。

 
①総理大臣官邸
 〒 東京都千代田区永田町2丁目3-1 総理大臣官邸
 内閣総理大臣 福田康夫様

②自民党本部
 〒100-8910 東京都千代田区永田町1丁目11-23 自由民主党
 総裁 福田康夫様

③福田康夫事務所(個人事務所)
 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目8-10
 衆議院議員 福田康夫様

 群馬県のご自宅の住所も分かりますが、個人宛にお手紙を送られることもないでしょうから、ここでは伏せておくことに致します。
 ご返事が遅くなりまして申し訳ありませんでした。

goo-needsより
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