恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

安倍首相問責の真意と、「立役者」

2013年06月27日 | 国会・政党・選挙
 通常国会最終日の26日、参議院では安倍首相の問責決議案が可決しました。
 この問責決議案を提出したのは、生活・社民・みどりの3党ですが、その案に対して、民主・みんな・共産・維新・改革などの各議員が賛成し、参議院の意思として、安倍首相に「No!」を突き付けたのです。

■ 逃げた安倍内閣と与党

 そもそも、ことの発端は、安倍内閣や与党が、国会の論戦から逃げたことにあります。
 24日に参議院予算委員会が開かれることになりました。しかし、安倍内閣はこれをボイコットし、与党である自民・公明の議員も、この予算委員会を欠席しました。つまり、内閣と与党が「審議拒否」に走ったのです。憲法第63条には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、…答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定められていますが、内閣がその義務を果たさず、審議をボイコットするなど前代未聞ですし、「国権の最高機関」である国会を蔑ろにする極めて不遜な態度です。

 このような安倍首相は「問責」を受けて当然ですし、これに反対するような自民・公明の参議院議員は、ただちに議員バッジを外すべきでしょう。国民の負託を受けているはずの自分たちの院が、内閣からコケにされて黙っているような議員は、議員たる資格はありません。

■ 「問責」の意義

 この「問責」は、極めて重要な意味を持っています。
 周知の通り、安倍首相は「憲法改正」を目指しており、参院選後には、野党である民主の一部や、維新・みんな・改革などの議員を巻き込んで、憲法改正の発議に必要な、衆参両院の3分の2以上を確保しようとしています。そして、彼らはそこに共鳴しつつありました。そこに「くさび」を打ち込んだのが、今回の「問責」なのです。
 半数しか改選されない参議院では、院として安倍内閣を「問責」したことの効力は、選挙後も残ります。安倍首相が糾合しようとしている民主・維新・みんな・改革などの議員は、自分たちが「問責」した安倍内閣に対して、安易に「迎合」することはできません。
 言わば、与党と野党をしっかりと分けたというのが、この「問責」の最大の意義であり、功績と言って良いと思っています。

■ 「迎合」傾向に一本の「筋」

 実際、野党の中にも「迎合」の傾向は顕著でした。
 民主の一部、みんな・維新・改革など「実家」が自民党という政党は言うに及ばず、安倍内閣が比較的高い支持率を維持していることに、私の地元選挙区の、日本共産党の候補予定者でさえ、討論会で、実体経済を伴わない「アベノミクス」を「期待感だけで税収を増やす効果があった」と、評価し出す始末です。
 この「アベノミクス」。実際には、単に日銀がほぼ無制限の金融緩和を宣言することで、為替相場で円を下落させ、円安を誘導し、ドル建てで株式投資を行う外国の投資家が、割安になった日本企業の株式の購入を誘い、一時的な輸出企業の儲けと相まって騒がれだけの話なのです。やがて、国債の暴落、長期金利高騰による国家財政の破綻を招き、さらに「第三の矢」の規制緩和により、さらなる格差拡大、そして内需の冷え込みに至ることは必至なのですが、そうした本質すら分からず、こんな「アベノミクス」をもてはやす愚かな候補者が、日本共産党にさえいることが残念でなりません。

 前述の通り、問責決議案の提出も、生活・社民・みどりの3党だけでした。それだけ、他の野党は、一定の支持率のある安倍内閣に正面から対峙することに「迷い」があったのです。こうした嘆かわしい状況に、野党の総意として、一本の「筋」を通したのが、今回の「問責」だったのです。

■ 「立役者」の功績

 それだけ重要で、意義ある「問責」に奔走したのは、社民党の又市征治幹事長でした。
 6月5日の野党幹事長会談から、「参院選を目前に控え、争点を国会で論議し国民に示すことは政府並びに野党の責任である。衆・参両院で予算委員会の集中審議を行うべき」と主張し、今回の焦点となった予算委員会の開催、そして「問責」につながる「仕掛け」を行ってきたのが、この又市氏です。結果、この「問責」により、国会に「筋」を通したのです。
 既に10年前から社民党の幹事長に就任し、副党首を経て、また幹事長に就いた又市氏の国対戦術には、以前から定評がありました。小泉政権時代から、小政党の幹事長ながら、バラバラになりがちな野党を、その説得力ある理論で一本に束ね、「小泉包囲網」ほか数々の共闘を実現し、他党からも「野党共闘の要に又市あり」と言われ、多くの国会関係者から一目置かれる人物です。何しろ、かつて「自民党内で最も右」と言われた小沢一郎氏(生活の党代表)を、「護憲」に近付けたのは又市氏です。
 政党の共闘というのは、本当に難しいものです。民主が呼び掛ければ「筋」がどうであろうと、共産党がそっぽを向き、共産党が提案すれば誰も相手にしません。唯一、社民党、とりわけ又市氏の提案には、民主党も、共産党も、みんなも、維新も、改革も、他の議員も、応じるのです。

■ いま参院選を前に

 7月4日公示、21日投開票。いま参院選が目前に迫っています。「国権の最高機関」すら軽視し、私たち国民の権利や自由を踏みにじる「憲法改正」を押し通そうとする安倍政権の暴走を止められるか否か、極めて重要な選挙です。
 あの又市氏も、今回が改選です。もし、国会に又市氏を失うようなことがあれば、安倍「改憲」により、国民は人権を奪われ、自由を制限され、義務で縛られることを想定しなければなりません。
 私は、私が享有してきた人権や自由を、子どもたちの世代にも受け継いでいきたいと思っています。自民党の憲法改正草案のような、人を奴隷化するような案は、やはり承服しかねます。
 国会の随所で、野党をまとめ上げ、国民生活の向上や、憲法に保障された人々の権利」を、最も真剣に考え、行動しているのが又市征治氏だと思います。
 


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kajiwara)
2013-06-30 22:13:27
久々のご投稿ですね。
安倍内閣の支持率が高いからとマスコミが政権批判に及び腰になる中、こうした記事をお待ちしておりました。

相変わらずのご慧眼、さすがだと思います。
しっかりと国会に筋を通させる又市征治氏の動き、なるほどと思いました。
いつもながら、渋いところに目を付けられますね。感心いたします。

お忙しいようですが、これからもgoo-needsさんには、ぜひいろいろとお書き頂きたいと思っております。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。