呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

上海高島屋大苦戦中

2013年06月20日 | 日記

 昨年オープンした上海高島屋が非常に苦戦しており、当初の目標だった年間130億円の売り上げを80億円に下方修正しました。そして、これとあわせて総経理も交代したということが現地の新聞記事で紹介されています。

  

 昨年12月にオープンした高島屋、地下1階、地上7階、建築面積6万㎡(ららぽーと横浜の店舗面積と同じくらい)、ショッピングモールと比べると小ぶりですが、百貨店としてはまあまあの規模でしょう。ところが、中国のメディアでもしばしば紹介されているのですが、お客さんが少ないのです。大幅なディスカウントセールを行っている店舗や、飲食店の中には設備メンテナンスを理由に営業をストップしているところもあり、もうかれこれ1-2か月になります。これに関して上海高島屋によると営業に必要な証書類の取得ができないことが原因であり、それが取得できれば営業を開始するとしています。

 

 さて、もっと根本的な話に戻りますが、とにかくお客さんが少ないと言われている上海高島屋、その原因はどこにあるのでしょうか。いくつか指摘されています。

 

(1)タイミングが悪かった

 Eコマースの台頭、高額な賃料等の影響もあり、中国の百貨店市場の状況はあまり芳しくなく、多くの百貨店は飲食スペースを増やして物販の面積を減らすことで営業額を確保しようという動きが見られています。ところが、上海高島屋はその反対でアパレルや化粧品等の店舗が多く、逆に飲食店が少ないことから、マイナス面の影響をもろにかぶる形になっています。スイス銀行の発表によりますと、2012年より百貨店の人の流れはマイナス成長し始めており、百貨店業は相対的にネガティブな産業とみられるようになってきているとのことです。

 

(2)マーケティングの不足

 様々な要因もあって、上海高島屋あまり積極的な宣伝活動が行われておらず、今日に至ってもオープンセレモニーが行われていないそうです。こうしたマーケティング不足の状況にある一方で、高島屋内の店舗には知名度にかけるブランドも多く、顧客を引き付けることのできない要因になっているとのことです。要するに中国では知名度の高くない日本ブランドが多いということですね。しかも日本ブランドは品質もいいので価格も高くなってしまいます。要するに中国人からすると「知らないブランドなのに値段は高い」と見えてしまっているということです。

 

 (3)立地

 入り口があまり有名でない道路(紅宝石路×瑪瑙路)の交差するところにあり探しにくいと言われています。個人的に思うのは、この周りには商業施設はほとんどないため、出かけたついでに高島屋に依っていくという行動はありえず、高島屋目当てに行く人をどれだけ取り込めるかということになるのですが、うーん、それだとちょっと厳しいでしょうねえ。

 

 

 以上のような逆風の中で、売り上げの当初目標を引き下げたわけですが、最初の5年間は損してもいいと考えているという話もあるようです。中国はスピードが速いと言われますが、5年間でどこまで状況が改善できるでしょうか。ただ、下の地図をご覧ください。

 

 

 

 上にある婁山関路という駅から一番下の上海高島屋のある位置あたりまで地下街を作ろうという計画があります。いつできるかわかりませんが。これができあがると人の流れも増えてくるでしょう(希望的観測)から、その時には状況が変わっている可能性はあると思います。ただ、それができる具体的な時期がいつのことかはちょっとわかりません。しかしこれができるとかなり北から南までざっと1.5kmくらい、大きな地下街になりますね。


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2 コメント

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尚嘉中心との競合もあります (JAMES)
2013-08-12 01:29:17
もし婁山関路からの地下街ができても、多分お客さんは尚嘉中心(ビトンビル)に流れるんじゃないでしょうか?
尚嘉中心の久光、これも苦戦のように見えるけど、スーパーの品揃えは大したもので、そこそこ人が入っている。
高島屋は全面的なリニューアルをしない限り絶対に勝てないでしょうね。
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Unknown ()
2013-08-12 09:00:43
そうですねえ。婁山関路からタカシマヤまで歩くとなると結構な距離ですから尚嘉中心(ビトンビル)の方が有利でしょうね。ただ、全面的なリニューアルをしても高島屋のあのロケーションだとやはり難しそうな気がします。ということで、地下街による高島屋への人の流れと言うのはあくまで希望的観測と言うことなのです。
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