ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第78巻-3メイティング・マテリアル

2007-06-21 23:57:28 | 第076巻~第080巻

■メイティング・マテリアル(第269話) 発表1987年5月

評価   ★★

依頼人  トーマス

ターゲット ハロルド・エマーソン

報酬    不明

今回弾丸発射数      1/ 通算弾丸発射数 1,533

今回殺害人数        1/ 通算殺害人数   1,670

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
チェス好きの「ハロルド・エマーソン」は命を狙われているとのことで、ボディーガードを雇いニュージーランドのコテージに籠もる・・・

<この一言>
”一時間だ。申し訳ないがまた明日”

<解説>
老いたボディーガード「ロバート・ブレディ」は、チェス愛好家の「ハロルド・エマーソン」の警護を引き受ける。殺し屋に狙われているというエマーソンは、ニュージーランドにある海辺沿いのコテージに逃れ、チェスをして過ごす。ブレディとの対局に飽きたエマーソンは、パソコン通信で見知らぬ相手との対局にのめり込む。

500m離れたコテージにゴルゴが到着、ブレディはゴルゴの佇まいから危機を察知する。
しかし、
・500m離れており射程外にある
・コテージ内にいるためスコープに捕らえられない
・海からの風が強い
という状況では狙撃に必要な条件が整わないことから、エマーソンに心配する必要はないと言う。つまり、キングを詰めるために必要な駒が揃わない「メイティング・マテリアル」であり、白黒がつかないというのだ。

チェスに没頭すると窓の外に空気を吸いに出るクセのあるエマーソン。パソコン通信の相手が強いため、思わず窓の外に出てしまうが、待ち構えていたようにゴルゴの銃弾がエマーソンを射抜く。ブレディがゴルゴのコテージに行ってみると、そこにはゴルゴの姿はなくパソコン通信とチェス盤が置き去りにされていた・・・。エマーソンのチェスの相手はゴルゴであり、ゴルゴがエマーソンをチェス上で追い詰めて窓の外におびき寄せたのであった。

エマーソンはパソコン通信チェスの対局相手であるゴルゴを評して「まるで機械と対決しているような気分だ・・・人間臭さのようなものを感じない・・・」と述べている。チェスも強いゴルゴ、普段は誰と対局しているのだろうか・・・
老ボディーガード・ブレディを軸としたサイドストーリー。依頼人が子供で、父親とエマーソンの賭けチェスでの「メイティング・マテリアル=引き分け」をフックに、父親の復讐を果たしているのが面白い。
チェスを扱った作品には第33巻-1『チェック・メイト』第33巻-2『ステール・メイト』がある。

ズキューン

ゴルゴ13 (78) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第78巻-2幻のジゼル

2007-06-20 23:41:10 | 第076巻~第080巻

■幻のジゼル(第268話) 発表1988年8月

評価   ★★★

依頼人  アメリカン・バレエ・センターのスポンサー マックス・モーガン

ターゲット ボリショイ・バレエ団ナタリア・パブロワのハイヒールの踵

報酬    不明

今回弾丸発射数      1/ 通算弾丸発射数 1,532

今回殺害人数        0/ 通算殺害人数   1,669

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
ボリショイ・バレエ団の至宝ナタリア・パブロワがパリ公演中にアメリカ亡命を希望。受け入れ側のアメリカン・バレエ・センターのスポンサーは・・・

<この一言>
脚を大切にするバレリーナが、ハイヒールを履くのか・・・?

<解説>
ボリショイ・バレエ団の「ナタリア・パブロワ」はソ連の意向により、パリのオペラ座でアメリカン・バレエ・センター(ABC)の「ミハイル・レシオフスキー」と共演することになった。レシオフスキーはかつてボリショイバレエ団に所属しており、パブロワとは恋人同士であったが、パリ公演中に亡命した過去を持つ。

オペラ座で稽古に励むパブロワとレシオフスキーは、6年ぶりの再会に熱く燃え上がり、意気投合。レシオフスキーはパブロワに亡命を勧め、パブロワは亡命を決意する。レシオフスキーはABCのスポンサー「マックス・モーガン」にパブロワの亡命手配を打診する。モーガンはABCのトップバレリーナ「アニタ・シンクレア」と愛人関係にあるため、ABCに女性トップバレリーナは二人要らないという理由でパブロワの亡命を阻止すべく、ゴルゴに接触する。モーガンがゴルゴに依頼したのは、パブロワのハイヒールの踵の狙撃であった。パブロワを転倒させ怪我を負わせるのが目的で、足に怪我を負ったパブロワはモスクワに帰国させられて亡命計画は幻に終わる。

「脚を大切にするバレリーナが、ハイヒールを履くのか・・・?」というゴルゴのセリフが重い。プロフェッショナルが自身の生命線を危険に晒すなどもってのほかである、というゴルゴの信条が伺える。
一方のスポンサー・モーガン。最終項の欲に溺れる表情がなんとも醜い・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (78) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第78巻-1禍なすもの

2007-06-19 23:47:36 | 第076巻~第080巻

■禍なすもの(第267話) 発表1986年9月

評価   ★★★★

依頼人  なし

ターゲット なし

報酬    なし

今回弾丸発射数      7/ 通算弾丸発射数 1,531

今回殺害人数        1/ 通算殺害人数   1,669

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
アメリカ・モンタナ州にソ連の原子炉衛星が落下。原子炉を回収したKGB工作員が、別荘にて休暇中のゴルゴと鉢合わせる・・・

<この一言>
俺を巻き込まない方がいい

<もう一言>
一人だけの人質の”価値”を・・・向こうが認めてくれるかどうかだな・・・

<解説>
ソ連の人工衛星”スピカ”がアメリカ・モンタナ州に落下。ソ連は新型原子炉の機密を守るため、KGB工作員をモンタナ州に派遣、電源部の回収にあたらせる。一方、アメリカも”スピカ”の原子炉を入手すべく、KGB工作員確保に向け軍を動員、落下地点の山狩りを行う。

ゴルゴはモンタナ州の山荘で束の間の休暇を取っていた。アメリカ軍・落下傘部隊の登場に異変を感じたゴルゴは山荘の廻りを巡回、KGB工作員と鉢合わせる。KGB工作員はハイカーを装い、山荘でケガの治療を依頼し、ゴルゴはこれを応諾。KGB工作員の足取りを追ってアメリカ軍はゴルゴの山荘にたどり着き、山荘を一斉に攻撃する。しかし、ログハウスと思われた山荘は、窓が防弾ガラス・扉が鉄製で堅牢な造りとなっていてびくともしない。

アメリカ軍の呼びかけからKGB工作員の荷物が原子炉であることを察知したゴルゴは、
「武器がそんなものじゃあ、最期を飾るにも心もとないだろう・・・地下に武器がある・・・」と
言葉巧みに地下室に誘導する。工作員が地下室に降りるや、扉を閉めて工作員を原子炉もろとも地下室に閉じこめる。地下室は核シェルターになっており、原子炉をシェルターに封じ込めてしまえば被爆を回避できるとした、ゴルゴの瞬時の判断力が素晴らしい。

ゴルゴの正体に気付いた国防総省の”J・J”は核シェルターの開封を要請するが、ゴルゴは頑としてこれを拒否。J・Jとゴルゴの睨み合いは、本作最大の見所だ。

休暇をとるための山荘一つをとっても、「鉄の扉」と「防弾ガラス」で壁面を固め、地下に「核シェルター」を設けているゴルゴの用意周到さに恐れ入る。しかも、これ程の装備を施した山荘に「三年ほど」訪れていないというのだから驚きだ。ゴルゴの財産の一端を垣間見ることができる貴重な作品。ストーリー展開もサスペンスの連続で非の打ち所がない。ただ、「地下に武器がある」と言うセリフにも関わらず、1階にライフルが大量に陳列されているガラス戸の家具があり、KGB工作員はこの家具の前で食事を取っている(P37)。KGBもライフルには気付くはずだが・・・、まあ、ドンマイだ(実際、地下室にはバズーカ砲があった)。
こんな重箱の隅をつつくような真似は野暮だろう。無条件に楽しめる傑作なのだから。

ズキューン

ゴルゴ13 (78) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第77巻-4隠されたメッセージ

2007-06-18 23:55:57 | 第076巻~第080巻

■隠されたメッセージ(第266話) 発表1987年12月

評価   ★★★

依頼人  国家安全保障会議(NSC)レーン

ターゲット イスラエル平和協定に潜む陰謀の阻止と陰謀首謀者の殺害

報酬    不明

今回弾丸発射数      2/ 通算弾丸発射数 1,524

今回殺害人数        1/ 通算殺害人数   1,668

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
イスラエルとアメリカの平和協定調印を目前に控えるなか、イスラエルの核武装化を企てる陰謀が進行していた

<この一言>
やはり・・・”カンマ”か・・・

<解説>
アメリカとイスラエルの平和協定調印の直前、平和協定の趣旨とは逆にイスラエルを核武装化しようとする陰謀が進行していた。
平和協定を取材していたニュース・キャスター「フレディ・ルイス」は陰謀を察知するが、陰謀を企てる勢力に殺されてしまう。ルイスの親友「国家安全保障会議レーン」は、ルイスの死に潜む闇を調べ、極右組織『KII』とアメリカ政府上層部が陰謀に関与していることを突き止める。しかしながら、具体的証拠がなく、首謀者の特定ができないでいた。調印を24時間後に控え、レーンはゴルゴに陰謀の阻止とその首謀者の殺害を依頼する。

調印直前になり、レーンはルイスが陰謀の証拠を「隠されたメッセージ」として息子に託していたことに気付くものの、調印文書の謎の究明には至らなかった。しかし、ゴルゴは調印文書に”コンマ”を追加することで、核保有の禁止の内容が核保有の許可になるトリックを見抜いて、調印文書に加えられた”コンマ”を狙撃、同時に陰謀の首謀者である「国防省副長官」を射殺する。

アメリカ政府上層部も解明できない協定文書のトリックを、短時間に見抜くゴルゴの明晰な頭脳が凄い。調印文書の”コンマ”を射抜く射撃術も神業だ。ところで、本作の表紙のトランプの配置にはどんなメッセージが隠されているのだろう。「JOKER」×2枚、「ACE」×2枚、「3」×1枚、「KING」×1枚。JOKER=G,ACE=O,3=L,KING=13とすると、GOLGO13と読めるのだが考え過ぎか・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (77) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第77巻-3汚れた重賞

2007-06-17 23:37:58 | 第076巻~第080巻

■汚れた重賞(第265話) 発表1988年5月

評価   ★★

依頼人  リック・ジェファーソン

ターゲット 競走馬ハーディーリーフ

報酬    不明

今回弾丸発射数      1/ 通算弾丸発射数 1,522

今回殺害人数        0/ 通算殺害人数   1,667

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
英国伝統のダービーで不正工作の陰謀が。不正を防ぐためゴルゴが受けた依頼内容は・・・

<この一言>
ジャパンD・Nのイワシロだ・・・

<解説>
1780年に始まったイギリス競馬の最高峰レース”ダービー”。毎年6月にエプソム競馬場で開催されるこのダービーで、不正工作が進行していた。

タタミール卿は、20年前のダービーで八百長を企てるも失敗した過去を持つ。この時、英国王室所有馬とタタミール卿の馬が接触し大事故となったが、タタミール卿は王室を逆恨みし、復讐の機会を窺っていた。タタミール卿は獣医と結託し、王室馬「ハーディーリーフ」に薬物投与を行い、ダービー疾走中に骨折させることを計画。この計画を察知した「リック・ジェファーソン」は、伝統のダービーを守るためゴルゴに接触、狙撃を依頼する。

その狙撃の内容は、疾走中のハーディーリーフにホルモン剤を打ち込み、タタミール側が投与した薬物を中和させるというもの。全力疾走中のサラブレッドの1点を狙うという難易度の高い狙撃である。果たしてゴルゴは、依頼通りの狙撃を完遂、タタミール卿の企ては失敗に終わる。

難易度の高い狙撃ではあるが、ゴルゴからすれば朝飯前の内容だろう。ストーリーも淡泊でこれといった見所がない。英国ダービーを扱った作品には第70巻-2『血統の掟』があり、失踪中のサラブレッドの1点を狙い撃つという内容も共通している。新鮮味に乏しい作品だ。

ズキューン

ゴルゴ13 (77) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>