■禍なすもの(第267話) 発表1986年9月
評価 ★★★★
依頼人 なし
ターゲット なし
報酬 なし
今回弾丸発射数 7/ 通算弾丸発射数 1,531
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 1,669
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 90
<ストーリー>
アメリカ・モンタナ州にソ連の原子炉衛星が落下。原子炉を回収したKGB工作員が、別荘にて休暇中のゴルゴと鉢合わせる・・・
<この一言>
俺を巻き込まない方がいい
<もう一言>
一人だけの人質の”価値”を・・・向こうが認めてくれるかどうかだな・・・
<解説>
ソ連の人工衛星”スピカ”がアメリカ・モンタナ州に落下。ソ連は新型原子炉の機密を守るため、KGB工作員をモンタナ州に派遣、電源部の回収にあたらせる。一方、アメリカも”スピカ”の原子炉を入手すべく、KGB工作員確保に向け軍を動員、落下地点の山狩りを行う。
ゴルゴはモンタナ州の山荘で束の間の休暇を取っていた。アメリカ軍・落下傘部隊の登場に異変を感じたゴルゴは山荘の廻りを巡回、KGB工作員と鉢合わせる。KGB工作員はハイカーを装い、山荘でケガの治療を依頼し、ゴルゴはこれを応諾。KGB工作員の足取りを追ってアメリカ軍はゴルゴの山荘にたどり着き、山荘を一斉に攻撃する。しかし、ログハウスと思われた山荘は、窓が防弾ガラス・扉が鉄製で堅牢な造りとなっていてびくともしない。
アメリカ軍の呼びかけからKGB工作員の荷物が原子炉であることを察知したゴルゴは、
「武器がそんなものじゃあ、最期を飾るにも心もとないだろう・・・地下に武器がある・・・」と
言葉巧みに地下室に誘導する。工作員が地下室に降りるや、扉を閉めて工作員を原子炉もろとも地下室に閉じこめる。地下室は核シェルターになっており、原子炉をシェルターに封じ込めてしまえば被爆を回避できるとした、ゴルゴの瞬時の判断力が素晴らしい。
ゴルゴの正体に気付いた国防総省の”J・J”は核シェルターの開封を要請するが、ゴルゴは頑としてこれを拒否。J・Jとゴルゴの睨み合いは、本作最大の見所だ。
休暇をとるための山荘一つをとっても、「鉄の扉」と「防弾ガラス」で壁面を固め、地下に「核シェルター」を設けているゴルゴの用意周到さに恐れ入る。しかも、これ程の装備を施した山荘に「三年ほど」訪れていないというのだから驚きだ。ゴルゴの財産の一端を垣間見ることができる貴重な作品。ストーリー展開もサスペンスの連続で非の打ち所がない。ただ、「地下に武器がある」と言うセリフにも関わらず、1階にライフルが大量に陳列されているガラス戸の家具があり、KGB工作員はこの家具の前で食事を取っている(P37)。KGBもライフルには気付くはずだが・・・、まあ、ドンマイだ(実際、地下室にはバズーカ砲があった)。
こんな重箱の隅をつつくような真似は野暮だろう。無条件に楽しめる傑作なのだから。
ズキューン
ゴルゴ13 (78) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
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