「鵜の岬」は、その名前の通り、本当に「海鵜」がやって来る岬だ。
宿泊棟の東側には、砂浜の他に断崖絶壁の岬があり、
そこには日本唯一の「海鵜」の捕獲場がある。
藁で出来た捕獲場の外側にオトリとなる鵜を置き、
やって来た鵜を内側にいる捕獲人が、足をカギ棒でひっかけ捕獲する。
鵜の岬で捕獲された海鵜は、長良川など全国各地の鵜飼いに送られ、
日本古来から続く伝統文化の伝承の一役を担っている。
鵜の岬の敷地内には、「鵜のパラダイス」という飼育施設があり、
捕獲され次のオトリとなる鵜が数羽飼育されている。
鵜を間近で見る機会は少ないので、金網の隙間から観察した。
鵜飼いの歴史は古く、『日本書紀』神武天皇の条に
「梁を作つて魚を取る者有り」が記されているようだ。
『古事記』にも鵜養のことを歌った歌謡が載っているようだ。
全国11か所すべての鵜飼は、茨城県日立市(旧十王町)の伊師浜海岸で
捕獲されたウミウを使用している。
鵜飼は鵜を使ってアユなどを獲る漁法のひとつである。
日本の鵜飼は、岐阜県、愛知県、京都府、愛媛県、大分県、福岡県など
11府県、13箇所で行われている伝統的な漁法であるが、
多くの場合、漁業の一形態というより、観光化されている。
郷里日田市では安土桃山時代に宮城豊盛が長良川の鵜匠を招き、
日田市三隈川で鵜飼を定着させたと伝えられている。
高校時代に三隈川で鵜飼師が数匹の鵜を紐で操り鮎を獲った思い出ある。
つづく