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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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なんじゃもんじゃ物語 2-10 ヤマタイ国発電所食堂1

2006-06-13 11:17:21 | なんじゃもんじゃ物語
なんじゃもんじゃ物語 2-10 ヤマタイ国発電所食堂1


なんじゃもんじゃ物語112

 お頭ブラックは、門から中を覗きこみました。

「 おやっ、倒れているぞ?」

門脇の建物の中を見ると門衛さんが机に向かってうつ伏せに倒れていました。

「 ラッキー!
さあー、入るぞ。」

海賊たちは、鉄の門を横にスライドさせて発電所の敷地の中に入りました。

「 おい、ノゾーキ、次は?」
「 はいはい、そのまま正面玄関の扉を開けて入って下さい。」
「 そんなに正面からゾロゾロ入って大丈夫なのか?」
「 はい、行ってください。
入ったら分かります。」

 海賊たちは正面玄関に続くアプローチをどんどん進み玄関の扉を開けました。
先頭に入ったお頭ブラックが叫びました。

「 な、なんと!」

警備員が廊下の彼方此方に仰向けに倒れていました。

「 そうか、分かった!
チンギスチン、良くやった。
給料を上げてやるぞ。
お前の毒ガスは一級品だ。
 我々は、海賊だ。
服も洗わず、風呂も稀にしか入らない。
だから、臭さに免疫がもともとあるのだ。
しかし、こいつ等文明人面している奴は、ぱりっとした臭いの無い服を着て一日一回風呂に入る。
つまり、抵抗力が無い訳だ。
 ふふ、不憫な奴等。
あまりに強烈な臭いに気絶しているぞ。
おい、ノゾーキ、この発電所に動いている人間はいるのか?
透視望遠鏡で調べてくれ。」
「 えっとねぇ。
そうですねぇ。
え~、こっちも倒れているし・・・・。
いないみたいですよ。」
「 よし、早くウランを盗りに行こう。
ノゾーキ、誘導してくれ。」




なんじゃもんじゃ物語113


「 それでは、言います。
まず、正面の通路を真っ直ぐ行って、左に曲がって下さい。」
「 分かった。」

倒れている警備員を跳び越して、ブラック芸者を先頭に六人は一列で通路をどんどん進んで左に曲がりました。

「 曲がったぞ、ノゾーキ、次は?」

通路の正面には、大きな両開きの扉が見えていました。

「 通路の突き当たりの大きな扉を開けて中に入って下さい。」
「 よし、分かった。」
「 もう直ぐです。」

通路の突き当たりの扉を開けると、たくさんのテーブルや椅子が並んでいました。

「 ここは、食堂のように見えるが・・・・?」
「 そうです。」
「 燃料倉庫への近道かな?」
「 カウンターをまわって、厨房に入って下さい。」

六人はぞろぞろと厨房に入って行きました。

「 よし、入ったぞ。」
「 それじゃ、配置を言います。
チンギスチンとたまちゃんは、フォークとお皿。
エッチソンと小僧は、ワイングラスと冷蔵庫の三段目の右から二つ目のワイン。
ベンケーは、右の棚の上から二番目の引き出しを開けてロウソクとマッチ。
お頭は、冷蔵庫からケーキを出してテーブルに並べて下さい。」

エッチソンが、お頭ブラックの耳元で囁きました。

「 お頭、お頭、ケーキよりウランの在り処を聞いておくれやっしゃ。」
「 分かった。
おいおい、ノゾーキ、ケーキじゃなくてウランだよ。」
「 ちゃんと並べないと、ウランの在り処は教えませんよぉ~だ。」
「 ええい、もう、仕方が無い。
おい、お前たち、あっちのテーブルに全部並べろ。」
「 食べられる準備をして下さい。」
「 あのなぁ・・・・・。」
「 ウラン、教えませんよぉ~。」
「 もう、・・・・・・・。
おい、お前たち、早く食べられるように準備をしろ。」

六人の海賊たちは、大急ぎで食卓の準備を始めました。





なんじゃもんじゃ物語114


「 準備ができたぞ、ノゾーキ。」
「 ロウソクを43本立てて火を点けて下さい。」

侍ベンケーがロウソクに火を点け、なんじゃ殿様が部屋の灯を消しました。
テーブルの上のローソクの火が揺らめいて部屋の壁や天井を照らしました。
ノゾーキの大声が携帯を通して聞こえてきました。

「 それじゃ、みんな椅子に座ってください。」

六人は、テーブルを囲んで椅子に着きました。
ノゾーキが、言いました。

「 それじゃ、行きます。」

携帯から、メロディが流れてきました。

“ Happy Birthday to you.
Happy Birthday to you.
Happy Birthday dear お頭.
Happy Birthday to you.”

「 お頭、43才の誕生日、おめでとう!」
「 えっ、わしは今日が誕生日だったのか。
そう言えばさっき着メロの時、生年月日がどうのこうのと言っていたな。
着メロに気を取られていて気が付かなかった。
わしは今日まで、誕生日が何時か知らなかったんだ。」
「 お頭、着メロを調べていた時、生年月日が分かりました。
お頭の村の長老に問い合わせたのです。
それで分かりました。
今日が、誕生日です。
お頭、誕生日おめでとう!!!」
「 ううう・・・・・・。
そうだったのか。
わしは誕生日が分からなかったので,今まで誰からも誕生祝いをして貰えなかった。
そうだったのか、今日だったのか。
うれしい。
良くやった、ノゾーキ。」
「 お頭、喜んで貰えて嬉しいです。」
「 イチゴ大福を帰りに三個買ってやるぞ。」
「 ほんとですか、ぼくちゃん幸せ。
さあ、お頭、早く火を吹き消して下さい。」
「 よし、やるぞ。
せえの、ふ~っ」

ロウソクの火は、すべてきれいに吹き消されました。

「 パチパチパチパチ。」

椅子に座った子分たちは、一斉に拍手をしました。





なんじゃもんじゃ物語115


ロウソクが消えて、辺りが真っ暗になってしまいました。
なんじゃ殿様は、気を利かせて食堂の電気を点けに走りました。
辺りが明るくなって、みんなのニコニコしている顔が見えるようになりました。
椅子に座った子分たちは、一斉にお祝いを言いました。

「 せえのっ!
お頭、誕生日おめでとう!」
「 おお、みんな、ありがとう。」

子分たちが口々に言いました。

「 今日が、誕生日あるか。」
「 知らなかったな。」
「 拙者も知らなかったでござる。」
「 そう言えば、お頭の誕生会ってのは、やってなかったと思いまっせ。
子分みんなのは盛大にやってるのに、おかしいなとは思ってましたんや。
恥ずかしがってやらないのかと思ってましたがな。
この前も、小僧のんを盛大にやりましたで。」
「 そうだよ、飲めや歌えや踊れや、すごかったのでビックリしたよ。」
「 そうだったあるか。
誕生日を知らなかったあるか。」
「 はいはい、ワインでござるよ。
みんな、グラスを持って。」
「 ほな、陽気に行きまひょか。」
「 ほんじゃ、乾杯あるね。
ポク、発声するあるよ。」
「 僕、こんなに飲めるかな?」
「 いいからいいから。」
「 はい、みんな、グラスを持ったあるか。
それじゃ、行くよ。
お頭の誕生日に乾杯!!」
「 乾杯!!」
「 う~、美味しいでんな。」

携帯から声が聞こえました。

「 ケーキは、約51,4度ずつ切って七等分ですよ。
チンギスチン、僕の分を持って帰ってね。」
「 分かったあるよ。
ワインも一本持って帰るあるよ。」
「 ありがとう!」



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