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けいおん!の聖地をゆく15 その7 変わらぬ景色と思い出

2018年01月20日 | 洛中洛外聖地巡礼記

 京都市バス停「修学院駅前」付近の歩道です。この辺りから白川通交差点までのルートは「けいおん」シリーズ各話に様々なアングルで登場していますが、どの話のどのシーンがどのアングルで出ているかを知悉しているファンは殆ど居ないと聞きます。レイコさんに聞いてみても、「全部は把握してないですね。だって電柱とか信号機しか出てないカットもあるじゃないですか」との答えでした。

 

 平沢唯および憂姉妹が毎日行き来したルートですが、劇中では松ヶ崎エリアでの描写が多いです。こちらの範囲での描写は、HTTのメンバーの場面が多いですね、とレイコさん。言われてみればそうだな、と納得しました。
 「けいおん」シリーズでは、登場する人物によって、登場させる場所をある程度決めてあるのではないかと思われる傾向が見られます。例えば、平沢唯と中野梓は、同じ通学路で家も同じ松ヶ崎エリアにある設定ですが、中野梓は白川通での通学シーンにはあまり出てきません。どちらかといえば修学院エリアや松ヶ崎橋での場面が目立ちます。

 

 白川通との交差点の、お馴染みの横断歩道です。おそらく、通学路ルート上で最も登場回数が多い場所だと思われます。デスデビルの回想シーンにも出てきますので、当時の山中さわ子も同じ通学路を使用していたことがうかがえます。

 レイコさんは、「高校時代の巡礼の時、この横断歩道を渡ったらとても幸せになれました」と笑顔で話しました。そして、白川通を南下して、マクドナルドでハンバーガーをおやつで食べるのが定番コースであったそうです。高校卒業後に実家が兵庫県に引っ越したため、それ以降は「けいおん」聖地巡礼に行く機会が殆ど無くなったそうです。
 しかし、彼女に言わせると、HTTと同じ年で過ごして、放送時期直後にリアルタイムで聖地へ出かけて楽しんでいた事が大変に重要だった、ということです。平沢唯たちとは同級生、という気分になれて楽しかった、というのが良い思い出になっているのだそうです。
 それで、豊郷へは一度しか行っていないのだそうです。訳を訊ねると、「高校生のお小遣いでは豊郷へ行くのは難しいですよ」と言われました。なるほど、それはそうだな、と思いました。

「私の「けいおん」ブームは京都市内の聖地巡礼とローソンの買い物が中心でした。普段のおやつのお菓子を、けいおんデザインで買って、文房具も生活用品も安かったからなるべく「けいおん」グッズで買う。そのへんのアニメグッズと違って、「けいおん」文房具は実用出来るものがけっこうありましたね。ラミーのシャーペンは高くて買えなかったですけど、一乗寺の恵文社で売ってる消しゴムは買いました。コクヨが出してた限定バインダーも買って使ってました。クラスメイトの皆も観てファンになってましたから、グッズの交換はけっこうやりましたし、アニメイトのカードダスの大きい方を買って下敷きとして使うのも流行ってましたね」

 レイコさんの回想談から、当時の「けいおん」ブームを実質的に牽引していたとされる現役高校生ファン層の在り方の一端がよく分かります。同じモケジョのミカさんも同年なので、似たような日々を過ごしていた事を以前に聞きましたが、興味深いのは、当時の「けいおん」グッズが高校生のお小遣いでも充分に買える低価格帯の実用系製品で占められていた状況です。お菓子系の商品も膨大な数がローソンなどで売られていましたが、ファンの高校生たちが一番求めていたのは、学校や家での勉強で使える文房具、次いで日用品、であったことが分かります。それらの「けいおん」コラボ品が最も人気があったのも頷けます。

 例えば、現在「けいおん」にハマって、グッズ集めに奔走しているファンが、コクヨが出してたあずにゃん限定バインダーを知っているでしょうか。トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」が一時期HTTのデザインになっていたことを覚えているでしょうか。マックスが販売していたホッチキスが、「私の恋はホッチキス」に因んで針にもHTTのデザインが施されていたことを知っているでしょうか。
 花王の「けいおん」限定シャンプーセット、資生堂の「けいおん」限定化粧品キットに至っては爆発的な人気を呼んで品切れ続出となり、ロスのショックで泣き崩れる女子高校生が続出したこともあったそうです。
「その、泣いちゃった一人が、私なんですけど」と笑っていたレイコさんでした。

 

 この景色も劇中ではよく見られました。レイコさんが、「そういえば、星野さんが去年にお友達と行かれて銀行の場所を間違えた、っての、ありませんでした?」と聞いてきました。
「ああ、斜め向かいの、北側の銀行の方を間違って紹介したんですよ・・・」
「じゃあ、正しい方の銀行へちょっと行ってみましょう」

 

 交差点から白川通の西側歩道を100メートルほど歩いて、上図の「正しい方の銀行」である京都中央信用金庫の前に行きました。
「そうそう、こっちだったわけですな。OPにも出てるんじゃなかったかな」
「はい、出てますね。斜めのアングルで」

 

「2期の「先生」って話で、HTTが下校中にさわちゃん先生を見つけて尾行する場面ありますでしょう?」
「ああ、ありましたな。確かムギが探偵気分で気合入れて一番に駆け出すシーンとか」
「そのムギちゃんの駆け出すシーンが、だいたいこの辺なんですよ」
「えっ、そうなのか。北山通のほうだと思ってた」
「いいえ、こちらなんですよ。銀行の隣が駐車場になってますけど、昔はそこにビルが建ってたんです。そのビルが劇中にちょこっと出てくるんです。そこからHTTの尾行がスタートしてますので」
「それは知らなかった・・・」

 

 したがって、HTTの山中さわ子尾行ルートは、かなりの距離にわたっていたことが分かります。北山通へ左折して、上図の和菓子店「ゆうづき」の店先を過ぎて、修学院駅の方へと移動していたわけです。

 

 北山通の景色です。至るところに「けいおん」スポットがあって、聖地エリアにおける密集度は白川通に次いでいます。レイコさんは高校三年の一年間に七回訪れて、聖地巡礼を楽しんだそうてす。一緒に巡礼したクラスメイトの一人が、白川通ルートの巡礼中に京都造形芸術大学に立ち寄り、その雰囲気が気に入って受験先に決め、見事に合格して進学したそうです。

「レイコさんは確か、高校時代までは桂の川島(京都市西京区川島)に住んでたのでしたか」
「はい。星野さんも御存知の革嶋城跡の近所です」
「ああそうか、河内源氏の系統で桂の地頭職を任された革島氏の城の・・・
「はい」
「すると「けいおん」巡礼に行くのは割と簡単だったわけですな」
「はい、家の最寄りの駅が阪急の桂でしたので。桂から河原町まで行って、市バス5系統に乗るか、京阪の祇園四条から出町柳に行って叡電に乗れば、修学院や北白川へは一時間もかかりませんし。学校帰りにちょっと道草するみたいな感じで行ったこともありますよ。その場合は地下鉄東西線の西大路御池から三条へ行って、京阪に乗り換えましたね」
「西大路御池って、斎宮邸の遺跡のある所かね・・・。すると、もしかして、通ってた高校は斎宮邸跡の位置にある?」
「はい」
「おお・・・名門だな・・・。確か京都の公立高の偏差値ではベスト3に入るんじゃなかったかね」
「はい。三番目ですけど」

 レイコさんが、才女揃いのモケジョのサークルでも一目置かれている理由が、ようやく分かった気がしました。それが大の「けいおん」ファンであれば、その巡礼ぶりも熱心で真剣で、全てをしっかり記憶するぐらいのレベルであったのは間違いないでしょう。ただ雰囲気だけを楽しんで散漫に回っているアホなホシノの巡礼とは全然違います。

 

 さて、この歩道です。このルートを、山中さわ子に気付かれないように、セブンイレブンの手前のビルの円柱列のところまで尾行してゆくHTTですが、劇中では、円柱列のところでの場面のみが出てきます。その理由を、レイコさんは「隠れるのが簡単だったからじゃないですか」と分析していました。

 

 最終的には、山中さわ子が修学院駅付近で相手の紀美と会い、それを見届けたHTTでしたが、その後に舞台は六地蔵のファミリーレストランにいきなり飛んで、HTTは紀美との邂逅に進むわけです。

「あのレストランの場所探し、ほんとに大変でしたよ。当時は修学院から白川通にはレストランは無かったから、初めは北山通のどこかやろう、と思って、友達とバスに乗って窓の外を一生懸命見て探したんです。でもネット上で六地蔵の方だと知って、なんでそんなところへ飛ぶねん、って思いました」
「それで六地蔵には行ったのですか」
「はい。地下鉄東西線の終点ですから、何とか行きました。ちゃんと聖地のレストランで御飯も食べました」
「それは良かったですな」

 

「この看板も新しくなってますね。前はもっと汚れてて、さび付いてて・・・」
「そうですな」

 

 とりあえず一巡したので、叡山電車に乗って出町柳まで戻る事にしました。これで聖地スポットは全部おさえたかな、と思っていると、レイコさんが「まだ一ヶ所ありましたよ、ここ」と上図の景色を教えてくれました。
「どこかで見たような図だな・・・」
「そりゃそうですよ、「夏季講習」の一場面です。律ちゃんとムギちゃんがホームにいるシーンです」
「あっ、あったな、あった」

 とにかく、レイコさんは大変に詳しくて色々と勉強になりました。よく覚えているもんだねえ、と言ったら、「けいおんの聖地巡礼の思い出は、いつまでたっても鮮やかなままですから」と言われました。
「今日久しぶりに訪れてみて驚いたんですけど、景色もあんまり変わってないですし」
「それは同感ですな。自分が造形大に通っていた17年前とあんまり変わってない。変わった所もあるけど一部でしかない。自分の思い出も鮮やかに甦ってきますな」
「星野さんの造形大在学時に、お友達の方が何人かこのあたりに下宿されていたんですね」
「そうです」
「いまも皆さんと連絡取り合ってるんですか?」
「いや・・・、今も続いてるのは二、三人程度ですね。後は物故されましたから・・・」
「そうなんですか・・・」

 思えば、最もよく一緒に活動していた愛知県岡崎市の方、および広島県東広島市の方、の二人は既にこの世に無く、また親しくしてよく世話になった嵐山の方も数年前に逝きました。ゼミが同じだった5人のうちでも、既に4人と連絡が取れなくなっています。恩師の先生も三年前に亡くなられたので、造形大との縁というか、精神的な繋がりというものが歳月とともに褪せてゆくような感にとらわれます。
 ですが、その分、思い出がより鮮やかに、より大切なものになってゆきます。いまでも変わらぬ景色が沢山あるため、余計にそれらの思い出が補強されて、懐かしさと安らぎの気持ちをも与えてくれます。

 そのことをレイコさんに話したら、「それ、凄く分かります。私の場合はまだ数年前のことですけど、高校時代の思い出って、ものすごい大切で貴重に感じられるようになってます。大学もそれなりに楽しかったんですけど、自分は高校の時に「けいおん」が大好きになって、それが生活の中心になってました。それで面白い日々を送れましたんで、「けいおん」というアニメには、単なるアニメとは違うよ、って気持ちが常にあるんです。その聖地の景色が今もそのまんま在るので、あのときの自身を振り返って色々考えることも出来る。それって、すっごく重要な事なんですよ・・・」と応じてくれました。

 電車に乗ってから出町柳駅までの数分間は、それぞれの感慨に浸っていたので、会話は全くありませんでした。

 

 ですが、出町柳駅の改札を出た途端に、いきなり「もしよろしければ、これから大阪の恵美須へ行きませんか?」と聞かれました。一気にモケジョさんモードになったようでした。

「えっ、それって模型店巡り?」
「はい、色々見たい模型があるんです。有ったら買いたいのもあるんですけど」
「何のプラモデル?」
「やだなあ、ガルパンに決まってるじゃないですか。でなきゃ、星野さんに同行お願いしませんよ」
「なるほど・・・、じゃあ、行きますか」
「やったー」
「そしたら、京阪で北浜まで行って堺筋線に乗り換えるのが手っ取り早いですな」
「特急で行きましょう」
「ですな」

 ということで、上図の9時59分発の淀屋橋行きの特急に乗りました。北浜で大阪地下鉄堺筋線に乗り換えて恵美須町で下車、日本橋のジョーシン、ボークス、中古ショップ等数軒を回りました。色々見ましたが、私は欲しい製品が無かったので、塗料を二つ買ったにとどまりました。
 レイコさんは、ガルパンのCV33の公式キットを買っていました。ガルパンプラモデルの中でも難度が高い方に属すると言われていますが、小さいし可愛いから、という理由を優先させたとの事でした。

 そういえば、私もアンツィオ高校チームのCV33はまだ作っていません。2018年度中には仕上げてみたいと思います。

 


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2 コメント

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知らないのは仕方ありません (ナガシマ)
2018-01-20 15:18:05
「けいおん!」が好きです。
グッズ集めに奔走していましたが、文中にあるような文房具や化粧品は知りません(笑)ぼくは最近ファンになったので、当時を知るべくもありません。物理的に追いつくのは不可能です。
「当時、こんなモノがあった」のくだり、もう少し違う書き方をされた方が良いと思います。"オレたちリアルタイム組はオマエたち新参者とは違うのだよ"と言われているようで、あまり良い気持ちになりません。
もし逆の立場で「〜年代の黄金期を知らないんだぁ。可哀想だね」と言われたらどう思われますか。

当時からファン、新しいファン、詳しく覚えている、詳しくない。そんなことはどうでも良いではありませんか。
楽しくやりましょう。
返信する
お礼 (長澤怜子)
2018-01-20 18:32:49
楽しい記事に仕上げて下さって感謝!でございます。
次の巡礼は、ひょっとして山梨県?イヌイヌイヌ子さん?
返信する

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