豊郷小学校酬徳記念館けいおんコーナーにおけるフィギュアの修復は、あわせて9体にも及びました。二階で作業していたナガシマさんが、次々に「これ壊れてますよ」と持ってくるのでした。
上図は、ウェーブのビーチクイーンシリーズの鈴木純のダボの欠損を模型用ランナーで補っているところです。もともとは鈴木純の足裏にダボが一体成型されていて、それを台座の穴に差し込む形でありましたが、そのダボが折れてしまっているのでした。
とりあえず仮のダボを台座に設けました。フィギュアの破損で最も多いのが、足裏または台座のダボの折れです。かなり重量のあるフィギュアを、直径5ミリにも満たない細いダボで支えるわけですから、普通に立てる状態においても相当の負担がかかっているはずです。だから、無理な持ち方をしたりすると、ボキッと折れてフィギュアが転倒したりします。
そして鈴木純の足裏のダボ位置には、穴を開けておき、台座の仮ダボにはめ込みました。
これで元通りになりました。現時点で酬徳記念館に展示されている鈴木純のスケールフィギュアはこの1体のみですので、ある意味貴重です。セガのハイグレードサマービーチシリーズにも鈴木純がラインナップされていますが、それも水着姿です。鈴木純の制服姿のスケールフィギュアは、実はまだどのメーカーからも出ていないのですね。きゅんキャラ等のミニフィギュアのほうにはありますが・・・。
この2種類の田井中律も台座のダボ折れでした。同じように修理して旧に復しました。ですが、左の5thあにばーさりーシリーズの方は、付属パーツのパーカーが失われています。どこかに紛れ込んでいるのかな・・・。
フィギュア修理に没頭するホシノを、いつの間にか二階からナガシマさんが撮っていました。
私が担当していた一階の左側棚の展示の整理および再構成は、このような状態にまとまりました。御覧のように、上部三段のうちの二段目と三段目をミニフィギュアの集約展示コーナーとして再構築し、スチレンボードをカットして組んだ仮の棚を二段目に入れて三段の陳列が出来るようにして、ねんどろいど、きゅんキャラ等のミニフィギュアを並べてみました。
このように縦形の陳列構成はうまくいきましたが、ねんどろいどの平沢憂などがサイズが若干大きいために棚に頭がつっかえてほとんど支持材同然になっていました。
ところが、この平沢憂の支持のおかげで仮棚の強度が増すという意外な効果が出て、後日に右側の棚材が外れてしまった時にも、こちらの左側の棚材は何ともありませんでした。まったく頼りになる平沢憂です。
右側に配置したきゅんキャラシリーズの方でも、頭髪にリボンなどが造形されている中野梓のようなタイプは同じように丈が長いので、棚につっかえてしまいました。これで仮棚材の寸法の修正幅がおさえられました。
今回は二段目に仮棚を入れましたが、下の三段目にも同じような形の棚を入れることにして、とりあえず棚内の寸法を測って記録しておきました。上図では三段目にまだ2体のスケールフィギュア平沢唯が残されていますが、後で二階へ移しました。
ナガシマさんが担当していた二階の陳列再構成も、かなりのところまで進んでいました。
フィギュアが三段目を中心にして見学者の視線ゾーンにまとめて再配列されたため、前よりもスッキリとして見やすくなっていました。
一階の左側棚でも、ミニフィギュアを集約した範囲が、見学者の視線および視線ゾーンにあたります。博物館の展示では、まず見学者の視線の高さに、最も見せたい展示品または重要な展示品を配置します。小さくて見にくい展示品も、基本的には視線の高さに置くことで見やすく捉えやすくし、存在感や印象を高めます。
今回の作業での展示再構成も、その法則にならって実施しました。
この図では、一段目のフィグマHTT5体の並びが綺麗に整えられているのが分かります。ナガシマさんが1体1体のポーズをきちんと直して調整してくれたのでした。こういうことはナガシマさんは大得意です。
右側の一段目は、まだ従来の状態のまま、未着手に終わりました。この範囲は次の機会にやろう、と決めました。色々な種類のミニフィギュアがゴチャゴチャと集められているのみならず、改造品も幾つかありました。整理分類にちょっと手間取りそうな気がしました。
今回の作業で抽出したダブリ分や破損品などは、全て物置に引いてとりあえず箱に仮保管しました。他にも数箱分の非展示品があったのですが、それらを整理するには時間が足りませんでした。破損品だけでも10数体に及ぶので、想定していた以上に時間が必要だと悟りました。
とりあえず観光協会の担当者、手伝いに来て下さった最古参ボランティアの方と相談し、これらの物置の在庫の今後の取り扱いについてある程度のスケジュールをたてておきました。 (続く)