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知波単学園 特二式内火艇カミ 作ります!! その2

2020年06月12日 | ガルパン模型制作記

 ステップ1の工程が終わったので、次のステップ2に先立っての工作に進みました。今回の製作ではフルインテリアで再現しますので、ステップ2で車体下部を組み立てる前に、車体下部パーツのGの内部にインテリアを作る作業が追加されます。

 最初にキットのパーツをチェックした時点で、Sさんが「カミの内部には補強桁が色々入っておるんですが・・・・、その部品が見当たらないですな・・・・」と説明してキットにそのパーツが含まれていないことを指摘されたので、それらを上図のプラ材にて作ることから始めました。カミの内部の補強桁は、大部分がH字形鋼材だったそうなので、タミヤのH形棒で対応し、次いでエンジンや推進軸用に丸棒2種も揃えました。

 

 まずH形棒をSさんの指示にしたがってカットし、3種類の長さのパーツを準備しました。

 

 続いて、上図のように等間隔で丸穴をピンバイスであけました。カミの内部の補強桁は、少しでも軽量化を図るために穴をあけて肉抜きがなされていたのだそうです。殆どは車体底面の補強に使われており、足回りの耐性強化を目的としていたのだそうです。

 従来の記事類においては、カミの車体はモノコック構造になっている、とされているようですが、Sさんは明確に否定されました。

「・・・厳密にはモノコックでは無いですな・・・。水に浮くために軽量化を図って車体を薄い鉄板で貼り合わせただけ、というのが実態に近い。しかしですな、それでは車体の耐性が無いですからもたないのですな・・・。なにしろ冶金技術からして欧米に後れをとってましたから、満足な車体装甲も作れんかったのです・・・。我々の小隊ですら、配備直後に車体にヒビが入る、隙間が出来る、という体たらくですよ・・・・。陸軍さんの戦車ですら装甲を満足に張れんような状態でしたからな・・・。それであの時点ではモノコック構造というものはまず有り得んわけです。どうしても補強材を入れないといけない。特にカミは内火艇ですので、水圧にも耐えうる構造にしないといけないわけです。しかも車体の底板は装甲用鋼板ではなくて軟鉄の鉄板ですから、僅かな衝撃にも弱い。だから重点的に補強材を井桁のように張ってあったわけです・・・」

 

 そして、キットの下部車体パーツには、底面の補強材の配置を示すリベットの配列が忠実にモールドされています。Sさんが「こういうところもきちんと再現してあるのは素晴らしいですな、精巧なプラモデルです。本物と変わらんですな・・・」と感心しながら、これらが補強材をリベット留めしてある位置なので、これに合わせてブラ材をカットしてゆけば良い、と指示してくれました。

 

 まず、中央にメインの補強桁が縦に2本入っていたそうなので、最初にそれをセットしました。これがエンジンと駆動系の諸装置を支える基台の役目を果たしていたそうです。

 

 続いて、横の補強桁を2種類作りました。上図は長い方です。一本に肉抜きの丸穴を4つあけました。

 

 そして、横の補強桁の短い方を作りました。肉抜きの丸穴は3つあけました。

 

 準備した2種類の横の補強桁を、Sさんが戦時中に記録していたメモ図を参考にしながら、底面のリベット配列にあわせて取り付けました。

 

 低い位置から見ますと、御覧のように肉抜きの丸穴もちゃんと見えます。2種類の横の補強桁のうち、肉抜きの丸穴が3つのものは、サスペンションの軸部の両側の支持材であるのだそうです。この材の上にカミ特有のサスペンションのスプリング据え付け部が付くのだそうです。

 

 セットした補強桁の全体図です。上から見るとこういう形になります。転輪の軸部も忠実にモールドされていますから、補強桁を取り付けるのも簡単であり、各桁の寸法も忠実に合わせることが出来ました。転輪の軸部を挟み込む2本の補強桁のうち、前の1本はやや短いので、そのように作ってあります。

 

 次に、底面にモールドされている左右の脱出用ハッチが、内側ではモールドすら無いのでした。そこで、Sさんの指示にしたがってブラ板で自作して取り付けました。上図のように方形のブラ板を二枚重ねてハッチと外枠を作り、外枠にボルトを16個取り付けました。
 Sさんによれば、工場から出荷されて部隊に引き渡された時点で、カミの底面のハッチはボルト留めで固定されており、内火艇として海上で行動する場合はそのままで、陸上にて車輌として行動するときはボルトを全部抜いたのだそうです。

 実車ではハッチ周縁にゴムパッキンが3重に仕込まれて水密化が図られていたそうですが、それでも航行中に海水が漏れてきて浸水するため、Sさんの艇においては布を詰めたうえで溶接してしまったそうです。ずっと海上で行動していたため、このハッチも不要だと判断したからだそうです。

 次に、サスペンションのスプリングを仕込みました。カミは他の戦車と違ってスプリングが艇内にセットされているのですが、Sさんによれば、それは九七式中戦車の部品を使っていたのだそうです。

「・・・雑誌の記事とか読みますとね、足回りは九五式軽戦車をベースに、とか書いてあるんですけれども、これは違うんですよ。ごく一部だけだったんですよ・・・。確か、転輪ぐらいじゃないかなあ・・・、うん・・・。・・・殆どの部品はね、訓練教程の時に教わりましたが、九七式中戦車の部品と同じのを使用してるんです。・・・・まあ、そのほうが量産には都合が良いですしね・・・。操縦装置だってね、九七式中戦車のものをそのまま入れてますからね・・・・、呉での操縦訓練はね、九七式中戦車でやってましたからね・・・」

 この証言は大変に重要でした。おかげで、ファインモールドの九七式中戦車のキットの余りパーツが大量に有効利用出来ることになったからです。

 

 なので、上図のように片側に3セット取り付けたスプリングは、ファインモールドの九七式中戦車のキットの余りパーツを使用し、位置に応じて改造またはブラ材と組み合わせて再現工作しました。

 

 かくして、自作する積りだったスプリングは6個ともファインモールドの九七式中戦車のキットの余りパーツで間に合いました。この段階での作業計画時間が大幅に短縮出来ました。

 以前に知波単学園チームの九七式中戦車を4輌作りましたが、そのうちの2輌はファインモールドの公式キットを使用しました。それにはスプリングが2輌分入っており、指示通りに作るとA2とA7の組み合わせを4個使います。そしてB20とB37の組み合わせが4個とも不要になります。2輌作ったのでB20とB37のセットが8個余りましたが、今回のカミにそのうちの6個を転用した形です。
 不要パーツや余りパーツは捨てずにとっておくと、思わぬところで役に立つものだな、と改めて感じた次第です。  (続く)

 


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