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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

148冊目:「アルケミスト 夢を旅した少年」

2016-03-26 19:24:19 | 
総評:★★★★★ 何かすごい。人生に大事なことが書いてある気がする。
面白い度:★★★★★ 面白くてあっという間に読んでしまった。
読みやすい度:★★★★★ すいすい読んでしまう。
ためになる度:★★★★★ ためになるというか、純粋な気持ちになれる。
また読みたい度:★★★★★ また読み返したい!


でました!おそらく今までで4冊目の満点本!!
とあるサイトで紹介されていた本。amazonのレビューが高得点だし、Facebookもどなたかが紹介していたので読んでみた。

そしたら、本当に面白い。というか、なんかすごい深いことが書かれているし、不思議な気分になる小説であった。
ちなみに作者はブラジルの方で、日本語訳の小説だった。
星の王子様もかなり名作だと言われているが(前に読んだが内容は忘れてしまった。。。)、雰囲気としてはそれに似たような感じである。

内容としては、羊飼いの少年があるきっかけでエジプトに向かうことになり、その過程でアルケミストと呼ばれる人に会い、いろいろな学びを体験しながらエジプトに行くという話。
ちなみにボリュームとしては短いのであっという間に読める。しかし書いてある内容としてはかなりいろいろなものが詰まっている。
読みやすいし、小説の独特な雰囲気もあり、読む人に不思議な体験をさせてくれる本であった。


感想としてはちょっと色々まとめられないので、面白いと思った箇所を抜粋する。

・彼は一枚の上着と、他の本と交換できる一冊の本、そして羊の群れを持っていた。しかし、最も大切なことは、少年が日々、自分の夢を生きることができることだった。

・少年は太陽の位置をもう一度たしかめながら、夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろいのだ、と思った。

・少年はその町に知り合いがたくさんいた。それが彼にとっての旅の魅力だった。彼にはいつも新しい友人ができたが、すべての時間を彼らと過ごす必要はなかった。神学校にいたときそうであったように、同じ友人といつも一緒にいると、友人が自分の人生の一部となってしまう。すると、友人は彼を変えたいと思い始める。そして、彼が自分たちの望み通りの人間にならないと、怒りだすのだ。誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な考えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった。

・「この本は、世界中のほとんどの本に書かれていることと同じことを言っている」と老人が言った。「人は自分の運命を選ぶことができない、と言っているのだよ。そして最後に、誰もが世界最大のうそを信じている、と言っている」
「世界最大のうそって何ですか?」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。
「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ」

・少年は人の「運命」がどういうものかわからなかった。
「おまえがいつもやりとげたいと思ってきたことだよ。誰でも若い時は自分の運命を知っているものなのだ。
まだ若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ」

・「そうだ。宝物を探したいということでさえそうなのだ。『大いなる魂』は人々の幸せによってはぐくまれる。そして、不幸、羨望、嫉妬によってもはぐくまれる。自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。すべてのものは一つなんだよ。
お前が何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

・少年は老人に、宝物についてあなたは何か言っていましたね、とたずねた。
「宝物は流れる水の力によって姿を現し、また同じ流れによって姿を隠すのだよ」と老人はいった。「もしおまえの宝物について知りたかったら、羊の十分の一を私によこしなさい」
「宝物の十分の一でどうでしょうか?」
老人は失望したようだった。「まだ手に入れていないものをあげると約束して始めたのでは、おまえはそれを手に入れたいとは思わなくなるだろうね」
少年は、ジブシーに宝物の十分の一をあげる約束をすでにしたことを、彼に話した。
「ジプシーはそういう約束をさせる専門家だよ」と老人はため息をついた。「とにかく、おまえは、人生のすべてには対価が必要だということが学ぶことができてよかったではないか。光の戦士がおしえていることはそれだからね」

・「宝物を見つけるためには、前兆に従って行かなくてはならない。神様は誰にでも行く道を用意していて下さるものだ。神様がおまえのために残してくれた前兆を、読んでゆくだけでいいのだ」
少年は何か答える前に、一匹の蝶々が現れて、少年と老人の間をひらひらと飛んだ。少年は、昔、彼のおじいさんが、蝶はよい前兆だと言ったことを思い出した。こおろぎも、期待を持つことも、とかげも、四葉のクローバーもよい前兆だった。

・「これからおまえがやってゆくことは、たった一つしかない。それ以外はないということを忘れないように。そして前兆の語る言葉を忘れてはいけない。特に、運命に最後まで従うことを忘れずにな」

・『では、たった一つだけ教えてあげよう』とその世界で一番賢い男はいった。『幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』

・「僕は早く羊たちのところへ戻りたいのです。幸運が自分の側にある時は、それを利用しなくてはいけません。そして、それが私たちを助けてくれるうちに、できるだけのことをしなくてはなりません。それを幸運の原則と呼びます。あるいは初心者のつきとも言います」

・「人生に起こるすべてのことが前兆なんだよ」とイギリス人は読んでいた雑誌を閉じながらいった。「誰もが理解できたのに、今はもうわすられてしまった『宇宙のことば』があるんだ。僕はその『宇宙のことば』を探しているんだよ。僕がここにいるのはそのためだ。僕は『宇宙のことば』を知っている人を見つけなければならないんだ。錬金術師をね」

・「幸運と偶然の一致という言葉についてだけで、大きな百科事典が書けるだろう。『宇宙のことば』はまさにこの二つの言葉で書かれているんだ」

・自分の運命の実現に近づけば近づくほど、その運命がますます存在の真の理由になってゆく、と少年は思った。

・その災害は私にアラーの言葉を理解させてくれました。人は、自分の必要と希望を満たす能力さえあれば、未知を恐れることはない、ということです。

・少年にとって最も興味深い本は、有名な錬金術師たちの物語だった。彼らは実験室の中で金属を純化することに一生を捧げていた。彼らは、もし金属を何年も何年も熱すれば、それぞれ固有の性質が蒸発してしまい、残るものは「大いなる魂」だと信じていた。この「大いなる魂」は彼らに、地球上にあるすべてのものを理解させてくれるはずだった。なぜなら、それはすべてのものが意思を通じ合うためのことばだからだ。彼らはそれを発見することを「大いなる作業」ーそれは液体と個体からなっていたーと呼んだ。

・「大いなる作業」の液体の部分は「不老不死の霊薬」と呼ばれ、それはすべての病気をいやし、錬金術師に年をとらせないということを、少年は学んだ。そして個体の部分は「賢者の石」と呼ばれていた。

・「僕が学んだことは、世界には魂があるということ、そして、その魂を理解する人は、ものごとの言葉を理解できるということです。たくさんの錬金術師が自分の運命を実現し、『大いなる魂』と『賢者の石』と『不老不死の霊薬』を発見したということもわかりました。
しかし、それにもまして、ものごとというものは、すべて、とても単純なので、エメラルドの表面に書くことができるということを学びました」


・「私は生きています」と彼はある夜、ひとふさのなつめやしを食べながら少年に行った。その夜は火もなければ、月の明かりもなかった。「私は食べているときは、食べることしか考えません。もし私が行進していたら、行進することだけに集中します。もし私が戦わなければならなかったら、その日に死んでもそれはかまいません。
なぜなら、私は過去にも未来にも生きていないからです。私は今だけにしか興味を持っていません。もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。砂漠には人生があり、空には星があり、部族の男たちは人間だから戦う、ということがわかるでしょう。人生は私たちにとってパーティーであり、お祭りでもあります。なぜなら、人生は今私たちが生きているこの瞬間だからです」

・一方少年は宝物のことを考えていた。彼が夢の実現に向けて近づけば近づくほど、ものごとがよけいに困難になってきていた。年老いた王様が「初心者の幸運」と呼んでいたものは、もはや働かなくなっているようだった。夢の追求の過程で、彼はやる気と勇気を常にテストされていた。あせってもいけないし、いらいらしてもいけなかった。もし、衝動にかられて先を急ぐと、神様が道すじに置いてくれたサインや前兆を見落としてしまうだろう。
神様はサインや前兆を僕の進む道に用意していてくださるのだ。少年はそう考えてから、自分の考え方にびっくりした。今までは彼は前兆を現世的なものと考えていた。それは食べたり、寝たり、愛を求めたり、仕事を探したりするレベルと同じだと思っていたのだ。彼は今まで、それを、自分が何をすべきか示してくれる神様の言葉という意味では、考えてことがなかった。
「そんなにあせることはないよ」と彼は自分にくり返して言った。「らくだ使いのおじさんが言っていた通りだ。『食べる時には食べる。そして動く時が来たら動くのだ』」

・その瞬間、少年は時間が止まったように感じた。「大いなる魂」が彼の中から突きあげてきた。彼女の黒い瞳を見つめ、彼女のくちびるが笑おうか、黙っていようか迷っているのを見た時、彼は世界中で話されていることばの最も重要な部分ー地球上のすべての人が心で理解できることばーを学んだのだった。それは愛だった。それは人類よりももっと古く、砂漠よりももっと昔からあるものだった。それは二人の人間の目が合った時にいつでも流れる力であり、この井戸のそばの二人の間に流れた力だった。彼女はにっこりほほ笑んだ。そして、それは確実に前兆だったー彼が自分では気づかずに、一生の間まちこがれていた前兆だった。それは、羊や本やクリスタルや砂漠の静寂の中に、彼が探し求めていたものだった。

・勇気こそ、大いなることばを理解するために最も重要な資質なのだ

・砂漠を愛さなければならぬが、全面的に信頼してはいけない。なぜなら、砂漠はすべての男をためすからだ。それはあらゆる段階で挑戦してくる。そして取り乱したものを殺すのだ

・「では、もし僕がここにとどまったら、どうなるのですか?」
「どうなるか教えよう。お前はオアシスの相談役になるだろう。たくさんの羊とたくさんのらくだを買うためのお金も、十分に持っている。ファティマと結婚して、二人とも一年間は幸せに過ごす。おまえは砂漠が好きになり、5万本のやしの木の一本いっぽんを知るだろう。それらは、世界が一刻一刻変わってゆくのを証明しながら育っていくだろう。おまえは前兆の読み方がどんどんうまくなってゆく。それは、砂漠が最高の先生だからだ。
 二年目のいつ頃か、おまえは宝物のことを思い出す。前兆が執ようにそのことを語りかけ始めるが、おまえはそれを無視しようとする。おまえは自分の知識をオアシスとその住民の幸せのために使う。族長はおまえのすることに感謝する。そして、おまえのらくだはおまえに富と力をもたらす。
 三年目にも前兆はおまえの宝物や運命について、語り続けるだろう。おまえは夜ごとにオアシスを歩き回り、ファティマは、自分がおまえの探求のじゃまをしたと思って、不幸になる。しかしおまえは彼女を愛し、彼女はおまえの愛にこたえる。おまえは、ここにいてくれと彼女が決して言わなかったことを思い出す。砂漠の女は、自分の男を待たなければならないと知っているからだ。だからおまえは彼女を責めはしない。しかし、おまえは砂漠の砂の上を歩きながら、もしかして自分は行けたかもしれない・・・もっとファティマへの愛を信じることができたかもしれない、と何度も考えてしまう。なぜなら、おまえをオアシスに引き止めたものは、二度ど帰って来ないのではないかというおまえ自身の恐れだったからだ。その時、おまえの宝物は永久に埋もれてしまったと、前兆は語るだろう。
 そして四年目のいつか、前兆はおまえを見捨てるだろう。おまえがもう、それに耳を傾けるのを止めてしまうからだ。部族の長たちはそれを発見して、おまえは相談役の地位を解かれてしまう。しかし、その時にはおまえは金持ちの商人になっていて、多くのらくだや商品を持っている。おまえはその後の人生をずっと、自分は運命を探求しなかった、もうそうるすには遅すぎると思って、暮すだろう。
男が自分の運命を追求するのを、愛は決して引き止めはしないということを、おまえは理解しなければいけない。もし彼がその追求をやめたとしたら、それは真の愛ではないからだ・・・大いなることばを語る愛ではないからだ」

・「わしは錬金術をわしのおじいさんから学んだ。彼はそれをその父親から学び、そうしてどんどんさかのぼってゆくと、この世界ができた時まで行きつくのだ。その頃、この『大いなる作業』は、エメラルドの上に簡単に書かれていた。しかし、人間は簡単なものを拒否し始め、論文や解説書や哲学的研究を書き始めた。彼らはまた、自分たちは他の人よりももっと良い方法を知っていると思い始めた。しかし、エメラルド・タブレットは、今も生きている」

・賢人は、この自然の世界は単なるまぼろして、天国の写しに過ぎないと言っている。この世が存在しているということは、ただ単に、完全なる世界が存在するという証拠に過ぎないのだ。目に見えるものを通して、人間が霊的な教えと神の知恵のすばらしさを理解するために、神はこの世界を作られたのだ、それが、行動を通して学ぶとわしが言ったことなのだよ

・「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ。」
「夢を追求する一瞬一瞬が神との出会いだ」と少年は自分の心に言った。「僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ。本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは、羊飼いには不可能だと思える勇気がなかったならば、決して発見することができなかったものだった」

・そして、彼の心はその日の午後ずっと、静かだった。その夜、少年はぐっすり眠った。そして目覚めた時、彼の心は大いなる魂からやって来たことばを、彼に語り始めた。幸せな人はみな、自分の中に神を持っていると、心は言った。そして、その幸せは、錬金術師が言ったように、砂漠の一粒の砂の中に見つけられるのだと語った。なぜならば、一粒の砂は創造の瞬間であり、しかも宇宙はそれを創造するために何億年もかけていたからだった。「地球上のすべての人にはその人を待っている宝物があります」と彼の心は言った。
「私たち人の心は、こうした宝物については、めったに語りません。人はもはや、宝物を探しに行きたがらないからです。私たちは子供達にだけ、その宝物のことを話します。そのあと、私たちは、人生をそれ自身の方向へ、それ自身の宿命へと、進んでゆかせます。しかし不幸なことに、ごくわずかの人しか、彼らのために用意された道ー彼らの運命と幸せへの道を進もうとしません。ほとんどの人は、世界を恐ろしい場所だと思っています。そして、そう思うことによって、世界は本当に恐ろしい場所に変わってしまうのです。
 ですから、私たち人の心は、ますます小声でささやくようになります。私たちは決して沈黙することはありませんが、私たちのことばが聞こえないように望み始めるのです。自分の心に従わないばかりに、人が苦しむのを、私たちは見たくないからです」
「なぜ、人の心は夢を追い続けろと言わないのですか?」と少年は錬金術師にたずねた。
「それが心を最も苦しませることだからだ。そして心は苦しみたくないのだ」

・「おまえが自分の内にすばらしい宝物を持っていて、そのことを他の人に話したとしても、めったに信じてもらえないものなのだよ」

・目は、その人の魂の強さを示す

・「わしは本物の錬金術師たちを知っていた」と錬金術師は言った。「彼らは実験室の中に閉じこもって、金のように進化しようとした。そして、彼らは賢者の石を見つけた。なぜなら、何かが進化する時、まわりのすべてのものが進化することを、彼らは理解したからだ。
 ある者は偶然に賢者の石にぶつかった。彼らは最初からそのように生まれついていて、その魂は他人の魂よりも、こうしたことに対してずっと準備ができていたのだ。しかし、こうした人は何人もいない。非常にまれな存在なのだ。
 ただ単に、金にしか興味を持たない者もいた。彼らが秘密を発見することは決してなかった。鉛や銅や鉄が、それぞれに果たすべき運命を持っていることを、彼らは忘れてしまったのだ。そして、他の者の運命をじゃまする者は、自分の運命を決して発見しはしない」

・「恐怖に負けてはいけないよ」と錬金術師は不思議にやさしい声で言った。「恐怖に負けてしまうと、おまえは心に話しかけることができなくなってしまうからね」

・もし、自分の運命を生きてさえいれば、知る必要のあるすべてのことを、人は知っている。しかし夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ

・世界は、神の、目に見える側面にすぎない。そして、錬金術とは、魂の完全性を物質界にもたらすことなのだ

・「錬金術師が存在するのは、そのためです」と少年は言った。「すべての人が自分の宝物を探し出して、以前の人生をよりも良くなりたいと思うからなのです。鉛は、世界がそれ以上鉛を必要としなくなるまで、鉛としての役割を果たすでしょう。しかし、そのあとは、鉛は金に変わらなくてはなりません。
 これこそ、錬金術師が行うことなのです。私たちが今の自分より良いものになろうと努力すれば、自分のまわりのすべてのものも良くなるということを、彼らは教えているのです」

以上、色々書いてしまった。
よく分からないけど、大事なことがいっぱい書いてある印象でした。
本当に色々考えさせられる。あと何か純粋な気持ちになれる本でした。何か困難とかがあって迷ったりつまづいた時には、この本に戻ってこようと思います。
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147冊目:「マーケット感覚を身につけよう」

2016-03-21 15:56:24 | 
総評:★★★★☆ いろいろ学びが多かった。
面白い度:★★★☆☆ 面白さとしては普通。
読みやすい度:★★★★☆ いい感じに読めた。
ためになる度:★★★★★ 結構ためになる部分が多かった。
また読みたい度:★★★★☆ 読み返して感想を書いたが結構いいなと思った。


マーケティングを学びたいと思っていて、厳密にはマーケティングではないがオススメ本として紹介されていたので読んでみた本。

この本の筆者のちきりんという方は有名なブロガーらしい。しかし本人の素性はよく分からないらしい。
前に一時期有名になった「きっこ」さんといい、ブロガーの方は素性がよく分からない方が多いなあと思った。

そんなんで、この本の感想をパパッと書く。

この本では、「市場」の考え方を学ぶことができた。
市場は、多くの人たちが物やサービスを持ち寄って、価値を交換する場所である。
「市場化」することで、公正な値段で物が売買されるようになったり、いろんな物が買えるようになったり、いろんなサービスを受けられるようになる。

「市場」は参入障壁の高い市場と低い市場があり、参入障壁の高い市場は法規制が敷かれている市場である。
例えば、電力や放送、通信網、鉄道などのインフラ(電力は今は参入障壁は低くなったか)などがある。
低い市場はそれ以外のいろんな物である。例えば、人材サービスや車や飲食店など本当に諸々である。

今後世界は「市場化」に向かっていくだろうとのこと。
市場化というのは一つの価値が日本だけでなく世界のいろんな所で売買されるようになることである。
ネットの登場で、本当に色々な物が市場化されることになった。

人材業界や旅行業界などはネットの登場で以前から市場化が盛んになり淘汰が激しくなってきたと思う。
市場は価値のマッチングなので、技術者などのマッチングサイト、人材のマッチングサイトがネットで本当に色々出てきて、そう言った意味では一つの会社にずっと務めることなく、こう言ったサービスを活用してフリーランスで生きるという選択肢も普通に身近になっていると思う。
他にも専門的なスキルを持った人たちのマッチングサイトなどがこれからどんどん出てくるだろう。
そう言ったことで人々の生活も変わるし価値観も変わる。またそういった世界のスピードに合わせていかなければ自分のスキルなども淘汰されていくので、そこは危機感が必要になると思う。

他にも例えばamazonが物流の市場を開拓し、appleが音楽業界を開拓し、今まで物流や音楽などでその業界でトップを走っていた会社が新しい波にのまれるのも時間の問題である。新しい市場もこれから出てくるし、市場化することで世の中がどんどん変わっていくし、本当に淘汰が激しくなっているのだ。
自分はシステムエンジニアであるが、自分のスキルも今後世界の人たちが同じ土俵に立ってくることになるので、プログラムが書けるだけではメシを食べていくことは難しいんじゃないかと思う。ちなみにプログラムを書くだけだったら日本以外の中国やベトナムに出したほうが本当に早く品質もよく安く仕上がることが最近業務を通じて分かった。そこら辺は本当に脅威だと思う。
でもシステムは市場自体が今後もかなり広がると思うので、そこはまだ他の業界よりかは大丈夫かなとは思う。

そんな世界が市場化に向かっていくに当たり、そう言った先を見通す力が必要になるんだなあということが分かった。
自分はこれしかできないからこれで行く、ではなく、広い世界を見て柔軟に発想をしていけるようなスキルが必要になっていくんだなあと思う。


あと、洋服の価値の変化についても書いてあったのだが、これも面白い学びだった。
自分は洋服の値段(ユナイテッドアロースやビームスなど)は高いと思っている、パーカーやTシャツが5000円も1万円もするのだが、それ程大金を出して買うような物ではないと思っている。
しかし、洋服は一般的に普通にそんな高い価格を定価として売っている。

それは、洋服はまずはその値段で買う人に対して、その高い値段で売るために、その価格を設定しているということだった。
別にその時はその値段で売れたらいいし売れなくても構わない。それで売れなかった服は徐々に値段を下げていくのだ。
そしてその服はその値段でいいと思った人にどんどんその値段で買われていき、最終的にはバーゲンやファミリーセールなどで人々が考えるそれ相応の価値で売れていくのだ。

だからバーゲンなどで何%OFFとなっている服を見るが、それはその服の本当の価値から何%OFFになっている訳ではなく、その当初の値段では誰も買わないから、なるべくしてなった何%OFFなのだ。なので、その今売られている値段がその服の今の価値ということなのだ。
だから服も良い物は高く売れるし、よくない物はそれ相応の値段に下がっていく。服はそういった売り方が出来る物なんだな~とこの本を見て初めて知ることができた。
確かに服は賞味期限もないしずっと置いておけるから、そういった売り方が可能なんだと思う。


そんなちょっと新しい価値観を得ることができた本でした。
そんなんで、最後に面白かった内容を抜粋する。

・独占状態なら何でも高く売れるはずと考えている人は、市場で取引されている価値について、突き詰めて考える習慣がついていません。先日起業した知人が、「教育サービスを提供する会社を作った」というので、「誰に何の価値を提供するの?」と聞いてみました。ところが、「質のいい教育サービスを提供します!」以上の答えが返ってきません。
 これでは「米を提供する会社を作った」「質のいい米を提供します」と言っているのと変わりません。教育サービスという言葉は、米やスイカと同様、商品名(サービス名)であって、顧客への提供価値ではないからです。このように、自分が売っている商品名は言えても、売っているものの価値を正しく認識できていない人はたくさんいるのです。

・一般的には職業の供給数は市場によって決まります。たとえば自動車業界の景気がよければ、自動車メーカーが大量の技術系学生を採用し、結果として、自動車関連のエンジニアが増えます。市場での需要増に連動して、技術者の供給も増えるのです。
 反対に雑誌が売れなくなれば、出版社は雑誌部門への採用や配属を控えるので、雑誌編集者という職業の供給も減っていきます。こうして、職業の需要と供給は市場によって調整されるのが普通です。
 ところが、博士、弁護士、医師のように、国や業界全体が政策的に供給数を決める職業の場合、それを決める人に市場を読む能力(マーケット感覚!)が欠けていると、一気に需給バランスが崩れます。その結果、その職業を選んだ人たちが、大変な目に合っているというわけです。

 つまりここでもゲームのルールが変化しつつあるのです。これまでの日本は国家資格が必要な職業はほぼ自動的に「いい職業」だと思われてきました。特に合格率の低い難関資格を要する職業ほど、「高級で安定している」と考えられていたのです。
 でもこれからは、お上が国家資格で保証してくれる職業ではなく、市場で強く求められる職業こそが、いい職業です。昔は政府が「すべての都道府県に国立大学をつくる!」と決めれば、大学の先生という職業の数(ポスト数)が、それに合わせて増えました。しかし市場の力が大きくなった現在では、政府の思い通りに需要や供給をコントロールすることはできません。地方大学をいくらつくっても、地方の若者が都会の大学に進学することを選ぶなら、地方大学で教職員のポストが増えるなんてことは起こらないのです。

 市場化する社会では、政府が認定した資格を無思考に目指すのではなく、その資格を必要とする職業がおかれた市場の状況について、正しく理解するためのマーケット感覚が不可欠です。

・ところが今、日本を含め高度に発達した資本主義国では、従来は価値があると認められていなかった(テレビの前の一言コメントのような)ものにも、価値が生まれつつあります。マーケット感覚を鍛えることのメリットは、こういった「非伝統的な価値」についても、「これなら、お金を払ってでも手に入れたいと考える人がきっといる。これは大きな価値だ!」と早々に気がつけることです。

 ただし、ここでの「価値」とは「儲かること」と同義ではありません。ネットビジネスではよくマネタイズという言葉が使われますが、これは、無料で提供されている価値が有料化される(課金される)ことを意味します。つまり、価値の創造(認知)と、価値への課金は別の話だということです。
 たとえば、グーグルのGmailというメールサービスは今のところ無料ですが、その事業に大きな価値があることは明白です。新しいビジネスアイデアについて、すぐに「それでは儲からない」という人がいますが、ここでの「儲からない」とは、たいていの場合、マネタイズが難しいという意味です。ですが私は、マネタイズにはあまりこだわらないほうがよいと思っています。重要なのは儲かるかどうかではなく、「価値があるかどうか」なのです。

・成功しているビジネスパーソンはみんあ、自分の欲望にとても正直だし、かつ、ストレートにそれを表現します。「アレがやりたい!」「コレを表現したい!」と、突拍子もない希望を次々と表明します。
 こうして自分の欲望に素直に向きあうと、自分の中にある欲望センサーの感度が高まり、他者の欲望や、人間全体に共通するインセンティブシステムについても、理解が進みます。そうすると、市場で人がどう動くかもわかるようになり(=マーケット感覚が鍛えられ)、結果としてビジネスも成功するのです。
 だから、たとえ手に入る可能性が低くても、欲しいものを「欲しい!」と強く意識し、自分の欲望に真正面から向きあることが、これからはとても大事になります。日本では学校でも家庭でも、「我慢すること」に価値があるのかのように教えますが、我慢するよりも「自分は何が不満なのか→自分が求めている理想的な状態とは、どのような状態なのか→自分が欲しいものは何なのか」と考えるほうが、よほど建設的です。

・人間も、今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう。しかし、組織に評価される方法と、市場から評価される方法は、大きく異なります。マーケット感覚を身につけるためには、この違いをよく理解し、市場に選ばれる方法に、より敏感になる必要があるのです。

・もうひとつの組織と市場の意思決定方法の違いは、組織が「決めてから→やる」のに対し、市場は「やってみてから→決める」という点にあります。
 テレビCMや雑誌広告は高額なギャラのタレントやカメラマンを起用し、手間暇をかけて作りこみます。このため、試しに複数のCMを作ってみて、実験的にすべてをテレビで流してみる、などということはできません。
 ところがサイトのデザインを変更するコストが安いネットビジネスでは、複数の広告デザイン案を実際に使ってみた上で、最も消費者に支持されたデザインを残すという手法がよく使われます。アマゾンドットコムのサイトでも、買い物をするたびに、価格の表示方法やお勧め商品写真の配置など、画面のあちこちが微妙にかわります。おそらく、どのデザインが最も多くの購買につながるのか、テストしているのでしょう。これが「やってみて決める」方式です。(ただしこの方式は、何でもかんでもやってみる方法ではありません。最終段階に残った複数の有望な案の評価を、市場に委ねるという方法です。)

・マーケット感覚を鍛えるための4つめのポイントは、成功と失敗の関係を正しく理解することです。日本人はよく、「シリコンバレーは失敗に寛容だが、日本社会は失敗した人を許さない」と言いますが、この理解は完全に間違っています。シリコンバレーは失敗に寛容なのではなく、「失敗経験のない人など、全く評価しない」のです。
 なぜなら、「失敗経験がない」ということは、「これまでの人生において、チャレンジをしてきていない」と見なされるからです。「できる範囲のことしかやってこなかったのでは?」「高い目標を掲げた経験がないのでは?」と疑われるのです。
 また、失敗経験のない人は「成功するのに必要な学びを得ていない」とも思われます。失敗から得られる学びは非常に大きく、成功のために不可欠な経験と考えられているため、一流大学を出ていても失敗経験のない人は、学びの量や質が足りていないと判断されてしまいます。
 このためしばしば若者は、「早く失敗しろ」と急かされます。「できるとわかっていることばかりに時間を使わず、できないかもしれない大きな目標に早くチャレンジしろ。もちろん失敗するだろうが、話はそれからだ」というわけです。

・このように市場化の波は、その変化によって得られるインパクトができるだけ大きな分野を狙い撃ちしてきます。分相応な利益が温存され、そこを突破すれば大きな利益が得られると思うからこそ、海外企業も含め、さまざまな人や企業がその分野に参入しようとするのです。研究者や技術者も、技術によって、今までバカ高かったモノが格安になる分野に、(その技術があってもなくても大して価格が変わらない分野より)強い興味を持ちます。だから規制に守られた、市場的でない分野ほど、大変革に見舞われる可能性が高いのです。

たとえば過去の数十年の間に、市場化によって大きく変わった分野、そしてこれからの数十年、大きな変化が起こると考えられるのは、次のような状況にある業界です。
1、規制によって、消費者が妥当と感じる価値と大きいくかけ離れた価格付けが行われている
2、規制によって、新規参入が意図的に低く抑えられている
3、流通経路が複雑で、付加価値を生んでいない中間業者が多数存在する
4、経営者の怠慢により、人材を含む貴重な資源が活用されていない
5、関係者の怠慢と安定志向のため新技術が導入されておらず、生産性が低い
6、規模の小さな企業が多く、運営が非効率で大きな投資もできていない
7、時代に合わなくなったものが、淘汰の仕組みがないために温存されている

見方によれば1は「超高収益な分野」に、2は「競争の少ないラクな業界」に見えるのかもしれません。3は「付加価値を生まなくても給与のもらえる業界」だし、4は「プレッシャーのない気楽な会社」です。5は「新しい技術を覚える必要のないのんびりした職場」で、6は家庭的で和気あいあいとした会社、7は変化なんてしなくても潰れる可能性のない安泰な業界です。これらら安定したすばらしい業界に見えるのか、それとも、今後大きな変化に見舞われる可能性の高い、極めて不安定な分野に見えるのかは、まさにマーケット感覚の違いと言えるでしょう。


以上、そんな感じでした。書いてみるとそれなりに学ぶことは多かったなあと思える本でした。
久しぶりの本の感想はこんな感じで以上⭐︎
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