asano.net

読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

58冊目:「カラマーゾフの兄弟(下)」

2011-09-21 01:08:57 | 
総評:★★★★★ オススメできる
面白い度:★★★★★ すごかった。っていう感想
読みやすい度:★★★☆☆ 相変わらず長いが、かなり読みやすくなった
ためになる度:★★★★☆ いろいろためになる
また読みたい度:★★★★★ また是非読みたい


やっとカラマーゾフの兄弟を読み終えました。
読み終えて、ひたすら、すごかった・・・って思いました。

何だろう、一つの小説としてとてもうまくできていました。
さらに無駄なところがなく、さらに読者をこれほどまでに引き込み、さらに1回見ただけでは分からない程何か深いものが根底に流れているような濃厚さ。
そんな充実した1つの長い作品を読み終えました。

最初はほんと読みづらかったが、物語の背景をつかんでくると、登場人物の心の動きもとらえることができ、難しいことを言っている中でもよく読むと、こういうことねと理解することができる。そんなやさしさもありました。
外国文学の日本語訳なのに、本当に登場人物の心情や、その場の雰囲気がひしひしと伝わってくるような迫力がすごかったです。

超大作として、メインとするキャラが十分かつ丁寧に紹介され、それも余分なところはなくコンパクトにまとまっていて、それぞれ思想や思惑があり、それぞれキャラに命があってこの物語を作っている。
本当によくできた話だし、丁寧に書かれた大作だなと思いました。


この作品は場面の雰囲気を出す手法が本当にすごいなと思ったが、全体を見た中で印象に残った場面は次の通りです。
・上巻の反逆~大審問官の流れ
・中巻のゾシマ長老の過去の話
・中巻のアリョーシャが苦悩に苦しむシーン
・下巻のスメルジャコフの告白
・下巻のフェチュコーウィチの弁護の場面

こんな所です。その他にも思い出せばまだ色々あるが、マジで映画やマンガにしたらどのくらいの雰囲気が出るんだろう?
かなり不気味なシーンがあったりするので、ぜいたくな話だが荒木飛呂彦先生だったらうまく不気味さを書けるような気がする(笑)。

裁判についても、実際見たことないので、こんな風に進むのか~って思ったり、お互いの検事と弁護士の言っていることもなるほどと思わせる話し方をしていて、やっぱり頭いい人がこういう職業に就くんだな~って思った。
それにしてもクライマックスの弁護の場面はすごかったです。思わず泣ける場面もありました。
そして最後、思いがけない判決が下る・・・


また、テーマとしても幅広く、多くのことが語られている。
自分の感じたテーマとしては、神と人間、良心、父と子ってな気がしました。
これも見る人にとっては感じるテーマが違ってくると思う。

小説なのになるほど、と考えさせられることも多数。
難しい内容もあり、いろんな感じ方ができ、東大生が見て1位になる作品であるのもうなずけると思いました。

そんなんで充実した小説でした。
長くて難しいかもしれないけど、しり上がりに上がっていき、やっぱり最後はすごかった。って終わる小説だと思います。
是非ともほかの人にもオススメしたいので総評は★5でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

57冊目:「カラマーゾフの兄弟(中)」

2011-09-09 01:10:30 | 
総評:★★★★☆ うってかわって面白い
面白い度:★★★★★ 面白い
読みやすい度:★★☆☆☆ 多少読みやすくなった
ためになる度:★★★☆☆ まあまあ
また読みたい度:★★★☆☆ 


中巻は異様な雰囲気で語られた「大審問官」の後から。
話は現実に戻り、アリョーシャが心から尊敬していた長老が亡くなってしまう所から、この物語の核心であるフョードル・カラマーゾフの殺人事件が描き出される。

ゾシマ長老が亡くなる前に、長老は長い話をアリョーシャら修道僧に聞かせる。
この部分はキリスト教の教えに沿った話が進むが、不思議と引き込まれた。

その後、長老の死後、アリョーシャからすると、尊厳の冒瀆にも等しいような事態が起こる。
ここのアリョーシャの失望の場面はとても印象深かった。
そして色々な心の動きがアリョーシャに起こる。どのような心持であったかはうまく表現できないが、ああ、ありえるかもみたいな感情だと思う。

というかこのカラマーゾフの兄弟は、感情の動きがすごく綿密にすごくうまく書かれているなぁと思う。
見ていて、うぉっと引き込まれる場面も多数。
日本語の翻訳でここまで臨場感を出すのもすごいなぁと思った。


そして、その後、ドミートリィ(ミーチャ)の場面になり、ミーチャの感情の動きなどの伏線から、殺人事件が起こる前後と、殺人事件を知らずにミーチャの豪遊する場面がある。

ミーチャは最初読んでいて、なんだこいつ変な奴だなぁと思っていたが、次第に純粋で、直情的で、短絡的なキャラだということが分かってくる。
ミーチャの後先考えない行動にはほぼ呆れたが、殺人事件が発生してから、尋問を受けるあたりでは、とても紳士に取り調べに答えており、非常に捜査には協力的で、なかなかイイヤツだった。
そして実は自分をちゃんと持っているキャラだということが分かってきた。

しかし、取り調べの過程にて、ミーチャにイライラが次第に募っていき、ミーチャに決定的に不利な証言が取れ、そして言い訳をするには余りにも苦しい証言をしてしまう。


殺人事件の前後の詳細は書かれていない。なので読者にもいったい誰がフョードルを殺害したのかは分からない。
ミーチャではないんだろうなぁとはうすうす思っているのだが、そのミーチャの言い訳とも取れてしまう証言が出てきたあたりから、自分も実はミーチャが怪しいんじゃないかと思い始めてしまった。

そんな読者を引きこむようなうまい流れで中巻が終わった。
いったい誰が殺人を犯したのか?事件の詳細はどうなっているのか?
この時点では全く推察ができないまま、下巻に続くことになった。
そんなんで、ミステリーなのかジャンルはうまく分からないが、中巻でいきなり引き込まれてしまいました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする