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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

69冊目:「嵐が丘」

2012-01-23 00:19:12 | 
総評:★★★★★ スゴい!
面白い度:★★★★★ 深いし複雑だけど面白い!
読みやすい度:★★★★☆ 外国文学の中ではすらすら読んでしまった。
ためになる度:★★★☆☆ ためになるというか、心温まり、泣ける。
また読みたい度:★★★★★ 機会があればぜひ!


エミリー・ブロンデによる映画化にもされた小説。
ケイト・ブッシュにて同名の曲が歌われており、曲が今は終わってしまった「恋のから騒ぎ」の番組の主題歌にも使われた。

内容としては、ある貴族の家に拾われた孤児、ヒースクリフが紆余曲折を経て、育ての親の家であるアーンショー家と、もう一つの家系のリントン家に復讐を行うという話・・・でいいのか?

とりあえず、こんな一文で終わらせられる程簡単な物語ではない。
この小説にはいろいろな要素がとても深く絡み合っている。
実際に本当にヒースクリフが主人公なのかも分からない。


結果として、読み終えた感としては、「スゴい・・・」って感じだった。
とても重厚な複雑な物語だった、、、が、最終的にはとてもシンプルに落ち着く、そしてとても爽快な気分で終わった。
ここまでの充実感をもって読み終えた小説はあまりないと思う。

とりあえず、アーンショー家とリントン家の年代記的な感じで書かれていて、イギリスのヨークシャーの自然を舞台に、時がどんどんと流れていき、その中の二つの家族?とヒースクリフが係わった出来事がつらつらと語られている。
ヒースクリフの他にもう二人の主人公と言えるべき人物もいて、一人はヒースクリフと同じ幼少時代を過ごしたキャサリン。もう一人はヒースクリフによって悲劇的かつ運命的に人生を左右される、キャサリンの娘の二代目キャサリンである。ちなみにどちらも同名なので、二代目キャサリンをここではキャシーと書く。

イメージ的には、「ドラゴンクエストⅤ」の家族や年代がどんどんと変わっていくような感じと、「ジョジョの奇妙な冒険」の第一部でDioがジョースター家に来たような感じの印象であった。ちなみにDioがこの小説ではヒースクリフに当たる。
そんな名作のエッセンスが巧みにブレンドされたようなこの小説は本当にすごいと思った。
そんなとても複雑な物語なので、上に書いたような一文であらすじを説明できるような物語ではない。


この小説はいろいろなエッセンスがちりばめられている。楽しみ方として自分が考えた限りでは以下の4つである。
1、ヒースクリフを主人公とした復讐劇。
2、二人のキャサリンを主人公とした二つの人生をまたいだ物語。
3、アーンショー家とリントン家の年代記。
4、ヨークシャーを舞台にした広大な自然を描いた物語。


1、としてはヒースクリフという人物がとても強烈に印象に残る。
ヒースクリフは主人公としては全く好きになれない。自分を陥れた二つの家族の復讐に異常な執念を燃やし、時には狡猾に時には強引にちょいちょい物語に現れては好き勝手に暴れまわる暴君である。
夫としても父としても人間としての心がなく、本当にひどいことばかりする。ここまで徹底した「悪」は今までの小説で見たことがない。

ちなみに最終的には二つの家族の財産は全てこの男のものになる(爆)。
頭も良いので最終的にそこまでできたのだが、よくそっちの方面ばかりに頭を使えたもんだとも思う。
アーンショー家の主人がこの人を拾ってこなければ二つの家族も存続したんだろうなぁと思ったりもする。
そんなキャラが強烈に印象的でした。
でも最終的に残った人たちに、ヒースクリフの血が残らなくてよかったなぁと思った。


2、としては、キャサリンのヒースクリフとの恋愛や、深いつながりの物語がある。ちなみにこのキャサリンとヒースクリフとの関係が、ヒースクリフを復讐に走らせるきっかけになっている。
それとキャサリンの娘として生まれたキャシーの純粋で穏やかな成長の過程と、父との大きな信頼。そして恋愛などを通じた成長の物語がある。

キャシーは性格としては、若干高飛車な面はあるが、とても素直で心優しい人物である。
そのキャシーの成長するなかでのメイドのネリーや父エドガーとの心温まる関係が見ていて楽しかった。
最後の方で、同居するヘアトンと距離を縮めていく所では、見ていて感極まってしまった。
ヒースクリフや周りの人たちには色々振り回されてしまったりはするが、最後まで自分を諦めず、今の状況の中で小さな幸せを見つけ出そうとする姿に心を打たれた。
そんな心温まるストーリーもあったりします。むしろこれがメインな話なのかもしれない。


3、としては、二つの家系の年代記としての物語である。
この小説の最初に出てくるロックウッドさんは、ただの狂言回し的な役割でしかない。
物語のほぼすべての内容はロックウッドさんのメイドであるネリーによって語られたものだ。
ネリーから語られる二つの家系の変遷。屋敷に住む人物はどんどん変わっていき、家系は複雑になっていく。

色々複雑だが、よくこの変化の歴史と出来事をしっかり描けたものだと思う。
ちなみに小説の最後に年表が載っているが、それを元に物語をおさらいするのも面白い。


4、としては、この小説を最終的にすがすがしい気分で終わらせているのは、この「自然」というのをそれとなく読者に印象づかせているからかも知れない。
普通だと、物語の人物や出来事に目が行ってしまうが、この小説ではところどころ、自然や、移り変わる四季といったようなものもちりばめている。

ヨークシャーの広い大地の中で暮らしている人々と、その中で育まれる人間関係。自然とのかかわりを通してそんな自然の雄大さがこの小説の根底を流れているからこそ、全編を通してこの小説がなぜか爽快なイメージを与えるのかもしれない。。。


色々書いてしまったが、そんなとても深い物語でした。総括すると、「スゴい」。
結構長かったが、楽しみながらスイスイを読んでしまったような気がします。
そんなんで自分はかなり好きだし、オススメできる小説だと思います。以上☆
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68冊目:「ジキル博士とハイド氏」

2012-01-10 21:36:59 | 
総評:★★★☆☆ 普通
面白い度:★★★★☆ 面白い
読みやすい度:★★★★☆ 短いし読みやすい
ためになる度:★☆☆☆☆ 普通の物語なのでためにはならないと思う
また読みたい度:★★☆☆☆ あらすじは分かったし、2回目はいいかなと


恐らく誰でも名前だけは聞いたことのある小説を読んでみた。
2重人格がどうたらって内容はちょっとは知っていたが、よく耳にするこの小説は一体どんな物語なんだろうと思って読んでみた。

内容としては、アタスンが親戚の知り合いからハイドという名の悪い噂の流れる人物について聞き、その人物と以前から親交のあるジキル博士が懇意になっているということを聞き、その関係性など、謎の解明に乗り出すという話。

ジキル博士とハイドは2重人格というが、顔だけでなく背丈や体のサイズなど、人格というか人物がまるっきり変わったようになってしまう。
そんなことは実際にあるわけないとは思うが、2重人格とはいえ人相や体の大きさがそこまで変わったら誰も同一人物とは思わないであろう。

実際話の中でもジキル博士の告白文を見るまで、アタスンは最後まで同一人物だと分からなかった。

ジキル博士はある薬によってハイドになることを発見する。それは醜悪な人物ではあるが、自分の奥底に眠っていたある解放感を見つけることになった。
それからたびたびジキル博士は今までに得たことのない解放感を得るために、ハイドに変わることを続ける。

ある日、ジキル博士は薬を使用することなしに、ハイドに変わってしまうことに気付いた。
ハイドの状態で人も殺してしまった前科があるので、ジキル博士はハイドにならないように自制をするが、ジキル博士は焦りから神経を擦り減らせていく。。。


感想としては、短い小説だったが、面白く読むことができた。
2重人格的な面は誰にでもあるみたいなことが書かれているが、それはたぶんそうなんだろうと思う。

ためになるかというと、そこまでためになったとは思えないが、有名な小説のあらすじが分かって良かったと思っている。

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