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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

67冊目:「蝿の王」

2011-12-27 20:26:17 | 
総評:★★★☆☆ 3.5星!くらい
面白い度:★★★★☆ 面白い
読みやすい度:★★★☆☆ 読みやすい方です
ためになる度:★★☆☆☆ あまり・・・
また読みたい度:★★☆☆☆ 2回目はいいかなと思う


ウィリアム・ゴールディング作の小説。
いかにもいかついようなタイトルだが、内容としては、少年たちが無人島にたどりつき、救助を待っていろいろなサバイバル生活を送る、というお話。

主人公のラーフは、自分が島の生存者の中で一番年上であることからリーダーとなり、うまく秩序を保ちながら、なんとか島の近くを通る船に気づいてもらうよう救助を待つ。

ただし、リーダーに選ばれなかったもう一人の同い年のジャックからは、あまりよく思われてはいなかった。
二人は、烽火を上げ続けおとなしく救助を待つ側と、島にいる豚を狩って食料を確保しようとする狩猟側とで、明確に意見が分かれる。

とある事件からラーフの秩序組とジャックの狩猟組でグループは真っ二つに分かれることになってしまう。
そこから島の秩序は崩れ出し、凄惨な出来事が起こることになってしまう・・・


ボリュームはそこそこで、結構さらっと読むことができました。
内容としては最後の凄惨な場面になっていくにつれてどんどん面白くなって行きました。
とりあえず、感想としては、皮肉だなぁ・・・という感想です。

ネタばらし的に言ってしまうが、本能で動こうとする子供たちを、ラーフはなんとか説得し、大人らしく理性を持って事に当たろうとするが、それが狩猟側にとって逆効果になってしまい、ラーフの友人も死んでしまったり、自分の命も奪われそうになってしまう。

読み手からすると、ラーフの考えていることと行動は正しく、それが人間としてそうあるべき姿だと思うが、そんなことをしようと思っても子供たちの集団だけではそれが全く通用しない。
結局狩猟側が豚の肉を食べたり、秩序側の人たちがそちらについたりと、狩猟側ばかりがいい目を見て、秩序側が痛い目ばかり見ることになってしまった。これが一つの皮肉。

もうひとつは、狩猟側が結局ラーフの命の狙おうと探し出すが、その狩猟側がラーフを火でいぶし出そうとする。その時の火が島全体に燃え広がり、大きな災害となってしまうが、それが結局沖を通る船に気づかせることになり、ラーフ達に救助の助けが来ることとなる。
狩猟側が本能的にやってきたことが、結局一番秩序側のやりたかったことに繋がったという最大の皮肉な結果となってしまった。


そんな感じのとても悩ましいお話。
人が悪魔に変わっていくことを蝿の王を呼んだのだと思います。でも面白かったです。
作者は何を言いたかったのかは分からないが、これほど主人公が報われないのも珍しいなと思いました。

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66冊目:「罪と罰(下)」

2011-12-21 06:50:01 | 
総評:★★★★☆ やはり名作!
面白い度:★★★★☆ 面白い
読みやすい度:★★★☆☆ 名前を覚えて読みやすくなった
ためになる度:★★★★☆ 学びは結構あった
また読みたい度:★★★★☆ また読みたいです


罪と罰、読み終えました。

率直な感想としては、面白かったな~っていう感想です。

あらすじとしては、ラスコーリニコフの罪の意識が日に日につのっていく中、検察のポルフィーリィには容疑者としての疑惑を暗にかけられ、精神的に追い詰められていく。
そんな中ラスコーリニコフは別の形で自分と同じ境遇にいる者(ソーニャ)と出会う。
ソーニャは自分と同じ境遇にいる(とラスコーリニコフは思っている)中で、希望をなくしてはいない。それはなぜかとラスコーリニコフは考えた時、ソーニャは聖書を救いとして、希望をつないでいたことが分かった。

自分と共通点があるソーニャにラスコーリニコフは影響を受け、心を動かされていく。
そんな中、ソーニャには自分の罪を告白する。
ソーニャはそれを聞き、償いなさいとラスコーリニコフを説得する。
ラスコーリニコフは心を動かされた結果、警察に自分の罪を告白し、自分を法の裁きにゆだねることを選んだ。。。

ざっとこんな感じです。
そんな中にも、スヴィドリガイロフという登場人物なども出てきて、ラスコーリニコフとの対比なども書かれていたり、いろいろなその他の物語も書かれている。


何度も書いているが、やっぱり引き込まれていく場面が多く、自分は次の場面が面白かったです。
・ラスコーリニコフとポルフィーリィの問答
・ソーニャが聖書を朗読する所
・ラスコーリニコフがソーニャに告白する所
・スヴィドリガイロフとドゥーニャの対面


人物もとても多彩な人物が登場してきて、そこも魅力的な小説でした。
冷静で頭がよく、常に思考をめぐらせているラスコーリニコフ、
「普通の人」だが、とても人情味があるラズミーヒン、
金持ちだが自分の境遇に悩むスヴィドリガイロフ、
自分を見失うことなくラスコーリニコフに尽くすソーニャ、
などのキャラがいいなぁと思いました。


そんなとても印象に残り、かつためになる内容が多かった小説でした。
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65冊目:「罪と罰(上)」

2011-12-06 00:41:15 | 
総評:★★★★☆ さすがドストエフスキー!
面白い度:★★★★☆ 面白い
読みやすい度:★★☆☆☆ 名前が覚えにくい・・・
ためになる度:★★★☆☆ ためになる所もいくつかあった
また読みたい度:★★★★☆ 読みたいです


ドストエフスキーの名作。
カラマーゾフの兄弟を見て、こっちもいけるかと。

ストーリーとしては、主人公、ラスコーリニコフが自分の正義感?のために人殺しをしてしまう。
またそこに居合わせたもう一人も殺してしまった。

運よく決定的な証拠は殺人現場には残すことはなかったが、自分のやったことに罪悪感を覚えつつ、自首するかどうかの葛藤に悩む・・・
といったざっくりこんな話。

話としては面白く、前回の「魔の山」の反動もあってか、とても引き込まれる物語でした。
キャラクター、話の盛り上がりやメリハリなどで際立っており、やっぱりドストエフスキーの話って面白いなぁと思った。

特にカラマーゾフの兄弟と同じく、雰囲気の出し方が本当にすごく、最後ら辺のポルフィーリィとラスコーリニコフの「凡人」「非凡人」の話のくだりがとても雰囲気が出てて面白かった。

ちなみに、ドストエフスキーの作品は一人の人物にいくつも名前がついていて、そこがとても紛らわしいなと思いました。
主人公だけでも、ロージャ、ラスコーリニコフ、ロジオン、ロマーヌイチなど、いろいろ名前が出てきて最初はよく分からなかった・・・


最後に面白かった箇所を引用する。

・明朗な心と、清新な感覚と、素直な清らかな情熱を老年まで保っている夫人は、たいていは若く見えるものだ。ついでに言うが、これらすべてのものを保つことが、おばあさんになってからも自分の美しさを失わないたった一つの方法である。

・偉人はもとより、ほんのわずかでも人並みを出ている人々はみな、つまりほんのちょっぴりでも何か新しいことを言う能力のある者はみな、そうした生れつきによって、程度の差はあるにせよ、絶対に犯罪者たることを免れないのだ

そんな感じの小説でした、以上☆

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